経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

公的年金運用と国民経済

2014年04月25日 | 経済
 昨日の経済教室で伊藤隆敏先生が公的年金の積立金の運用について書かれていたので、コメントしようかなと思ったが、今日の玉木伸介先生の「下」を待って正解だったね。ポイントを押えた内容で、とてもありがたい。特に、スプレットに関しては、厚労省もこのくらい分かり易く説明してほしいものだ。またぞろ、高過ぎ批判が横行しそうなのでね。

 アベノミクス前、年金積立金の運用損失に散々批判が出たことを考えれば、玉木先生が言われるように、リスク投資を高めて振れを大きくすることは、国民の支持を得がたいと見るべきだろう。厚年基金は、高利回り狙いの失敗に懲り、アベノミクスを奇貨として、撤退の方向にある。資産運用は、結果が出た後の「納得」も大事である。

 むろん、今後、経済成長が加速していけば、国債中心の運用では成績が劣るということはあるだろう。その場合、誰が「得」をするのかも考える必要がある。そこが民間の年金運用とは異なる側面である。言うまでもなく、「得」をするのは、低利で資金を調達した「国」ということになる。

 つまり、国民にとっては、年金部門で損をして、政府部門で得をするわけである。年金の保険料率が固定されていることからすれば、国債中心の運用は、若者に有利で、高齢者に不利ということはあろうが、国民全体では差し引きになる。この側面を、株式や外債で運用することと比較してみてほしい。

 もっとも、絶対にアベノミクスが成功するというのなら、成長加速を見越して株式運用を重くする手もあるかもしれないが、消費増税という大きなリスクを犯しているのだから、格好の売り場を提供する、単なる株価維持策に墜しかねないおそれがある。パッシブの運用で十分ではないだろうか。

(昨日の日経)
 TPP日米合意へ最終調整。豪比が空軍力を増強。大機・数と率で見る高齢化・隅田川。経済教室・公的年金運用・伊藤隆敏。飛躍狙う科学者が奈良先端大に。

(今日の日経)
 日米がTPPで異例の延長協議、尖閣は安保対象。広がる家事代行。経済教室・公的年金運用・玉木伸介。

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