経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

何のための金融政策

2024年04月28日 | 経済
 ドル高に苦しんでいるのは、日本だけではなくて、途上国では、辛くても通貨防衛のために利上げを忍んでいるだから、日本も、そうすれば、良いだけである。期待を裏切るようなことをすれば、円安が進むのは当然で、それを望んでいたとしか思えない。それとも、緩和に拘るのは、プライドのためなのか。金融緩和が物価を動かすと思っているのなら、黒田日銀総裁の時と大して変わらないことになる。 

 異次元緩和の頃から、金融緩和で設備投資が促されるとは、つゆぞ思っていなかったが、円高是正で輸出が拡大すれば、景気は良くなることは見えていた。デフレ脱却に失敗したのは、その効果が十分大きくなかっからに過ぎない。もし、黒田総裁が円安が行き過ぎた局面で、あっさり金融緩和から撤退していれば、金融政策で為替をコントロールした、悪辣だが有能なリアリストとして名を残したように思う。

 しょせん、金融政策は、為替と住宅しか動かせない。為替には、多少なりとも効くのだから、それに割り当てるべきで、住宅に弊害が出るのなら、財政で補うのが定石になる。こうした割り切りができないのが、今の政策状況である。円安対策の財政支出は、賃上げでやめられそうだし、金利が上がって国債の利払いが増すのも嫌だみたいな、気分で政策は動いているのだろう。

 コロナ後は、円安で輸入物価が上がっても、実質維持で名目消費は増える現象が起こったが、普通なら、消費増税の時のように、名目維持で実質消費が減る。今の円安局面では、消費の復元過程ではないので、名目消費が伸びず、物価が停滞することになるだろう。これって、持続的な物価上昇の抑制ではないか。すなわち、持続的な物価上昇には、利上げが適当という理屈になる。

 もっとも、円安にはメリットもあって、資源高とダブルだったときとは、重みが違う。だから、植田日銀総裁も、今の円安は放置なのだと見るべきかもしれない。消費者物価は、3月までの全国では上昇が緩んできたが、円安でインバウンドの「消費」が増えれば、物価を押し上げるかもしれない。かつては財の輸出で景気を浮上させたが、いまはサービスで稼ぐ時代である。

(図)



(今日までの日経)
 円安止まらず、158円台半ば。円安進行、歯止め役なく 日銀現状維持、市場肩すかし。強まる「悪い円安」論。744自治体「消滅可能性」全国の4割。対策、流出阻止に偏り。


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