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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

アベノミクス・消費は停滞中

2015年03月29日 | 経済(主なもの)
 底入れと言うと安心感があるが、これが続くと底バイになってしまう。2月の家計調査の結果は伸び悩んでおり、こんな調子では、1-3月期のGDPは、前期に続いて年率2%を割りかねない。今年1年かかって、消費増税前の水準に戻せるかどうかというペースである。原油安や賃上げの効果が言われるが、まだ期待が先行しているように思えるね。

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 消費は1月がマイナスだったことから、2月にどれだけ取り戻せるかが焦点だった。結果は、家計調査の二人以上世帯の実質消費支出の1,2月の平均は96.3にとどまり、前期比+0.4であった。GDPの消費の見通しは、いつものごとく、消費総合指数の2月分の発表を待ちたいところだが、2,3月が0.8ずつという高めの伸びが実現して、ようやく年率2%成長になる。

 1-3月期のGDPは、前期に続き、外需が押し上げてくれそうだが、6割を占める消費がこのペースだと、1.5%成長だった10-12月GDPと同様に、2%を割りかねない。特に気になるのは、ニッセイの斎藤太郎さんも指摘するように、消費の基調を示す「除く住居等」の前期比が-0.7とかなり低くなっていることだ。軽自動車の駆け込みにお金を取られている可能性があるにしても、それはそれで、あとで反動減が来る。

 収入面では、勤労者世帯の実質実収入の前月比が1月-0.1、2月+0.2となり、それまでの回復基調が鈍ったように見える。労働力調査の就業者数の季調値は横ばいであるし、新規求人数の季調値も低下していることとも整合的だ。大手企業の春闘結果は昨年を上回ったが、労働需要の高まりがないと、中小への浸透が心配である。

 実質消費支出の96.3は、縮まってきたとは言え、消費増税前の2013年の水準100.0から3.7も離れている。ここに来て、回復ペースが鈍りだしたのは痛い。この水準を超えなければ、アベノミクスによって恩恵を受けたという感じにはなり難いし、内需向けに供給を強めようともならないのではないか。再加速が必要な局面となっている。

(図)


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 商業動態統計も似たような印象である。1月に大きく落ちた小売業は、2月の季調済前期比は+0.7と、若干、戻した程度である。また、卸売業は-3.7となって、昨年8月以来のかなり低い水準となった。足を引っ張っているのは鉱物や燃料であり、原油安の反映ではあるが、他の伸びで補い切れていない状況だ。ちなみに、東大売上高指数は、3月に入って大きく下げている。まだ年度末の追い込みが残るものの、留意しておきたい。

 ここで鉱工業生産指数を見たいところであるが、残念ながら、今月は週明け30日の公表予定である。1月は生産が+3.7%と高い伸びとなって、政府の景気判断を上方修正させる要因の一つとなった。ただし、2,3月の予測は+0.2%、-3.2%となっている。これは、春節の影響を見ておく必要があろう。国内向けに「爆買い」分が含まれているようにも思われる。したがって、2月の反動減は十分あり得るところだろう。

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 今年の景気の焦点は、原油安と賃金増がどれくらい効くかである。筆者は臆病者なので、二つを当然視できないと思っている。原油安メリットがあっても、企業段階で留まると、収益と税収が伸びるだけで、消費を押し上げることにはならないし、高めの春闘結果も、あくまで、大手企業の話である。設備投資のように、大企業は順調でも、中小企業が苦しく、全体が伸びずじまいのものもある。こういう展開も考えておかねばならない。

 筆者の思考法は独特で、「原油安と賃金増は効かなかったという現実を目の前にしたら、どんな要因があったと考えるか」というものである。そうやって、チェックポイントを探しておく。思ったような結果が現れるには、何段階かの経路がクリアされなければならないのに、得てして、それを忘れがちなのだ。まあ、それだけ失敗した経験が多いということでもあるがね。

(今日の日経)
 大手採用は来春14%増。サービスが映す脱デフレの芽・小栗太。

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