いよいよ、明日スタートです。天気もよさそう。あとは気力、やる気、やめん気を持つこと。
「やめん気」の象徴のような人を紹介します。2009年の私のブログから「やったね!みどりちゃん」、ご覧ください・・・・・・
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午後6時10分スタート。Yさん、Tさん達と一緒の第5グループに並んだ。しばらくゆっくり走行。一応どういう走りをするかみどりちゃんと相談したら、エイドでは長居しない、下りは飛ばす、上りはゆっくり、時々歩く。私の走り方と一緒である。これなら長く一緒に走れそうな気がした。
10km過ぎたころより、二人のスピードが上がってきた。どんどん前の選手を抜いていく。59kmの豊田湖に130番ぐらいで到着した。5番スタートなので50人は抜いている。絶好調である。100kmも13時間半ぐらいで通過した。
俵島からはYさんと一緒になり3人で走った。川尻岬の手前の道で木を見つけて、3人とも杖代わりについて走った。それが良かったようで、この辺でいつも脚がパンパンのこわるのだが平気だった。
しかし、最初の異変は仙崎(143km)過ぎて起こった。
彼女がしだいに遅れだした。足裏の皮が剥げたらしく、走れないようだ。島の途中の静ヶ浦キャンプ場でYさんと相談。「もう無理ではないか、宗頭へ1人ではやれない。仙崎でリタイヤさせたほうがいい」と言うのだが、昨年私も同じように足を痛めて島の往復に4時間かかった。しかし4時間かかってもまだ時間に余裕はある。私は彼女を待つことにした。
15分ぐらいして痛々しい姿で現れた。時間はまだ充分あることを説明して、一緒に歩いたり、早歩きしたりして鯨墓(153km)を目指した。
ここで異変が起こった。「痛みが和らいできた。少し走れます」と言うのだ。良かった、少しでも走れればかなりタイムは違ってくる。結局3時間45分で島を往復した。昨年の私より早い!仙崎にはYさんも心配して待っていてくれた。また3人で宗頭をめざすことになった。
ここでまたまた問題が・・・・第二の異変。
5km行ったところで彼女の足が腫れ上がってしまい、痛くて早歩きができなくなった。私は宗頭には10時までに到着して1時間仮眠をとる予定にしている。このままのペースでは11時過ぎる可能性もある。また、仮に宗頭に着いてもさらに75km行けるか問題である。
そこで彼女に宗頭まで数キロなので1人で行ってもらい、私達は宗頭へ急いだ。離れる際に「私達は11時に宗頭を出る。それまでに宗頭に着いたら、一緒に行くか考えよう。ダメだったら、宗頭でリタイヤしなさい」と言った。
きついかもしれないが、共倒れになってはいけない・・・・・・このとき、おそらくリタイヤするだろうと思った。
宗頭で30分仮眠をとり、着替えて下階に降りると、Yさんと彼女がいた。あれから必死に早歩きで来たそうで、我々の30分後に着いたそうである・・・・驚いた。
しかし、一難去ってまた一難。Yさん曰く、「もう無理ではないか。あのパンパンに腫れあがった脚ではゴールどころか虎ヶ崎(206km)も無理だ。本人もやる気がなさそう。ここでリタイヤさせた方がいい」。
私は悩んだ・・・走っているとき「仕事場ではみんなが応援している。会報にも自分は載った。絶対完踏しないと帰れない」と言う話をしていた。私も「この調子なら絶対ゴールできる」と言った。なんとかゴールまで連れていってあげたい。
ゆっくり歩いても午前6時までに虎ヶ崎に着けばまだゴールの可能性はある。30数キロを7時間でいけばいい。可能性はまだある。あとは本人の気持ち次第だ。
「自信がない、したくないというのならここでリタイヤしたほうがいい。でも、やれるところまでやりたいというのなら、虎ヶ崎まで一緒に行くよ」
しばらく考えていた「・・・・・・・・・・・・・」。
「行きます!」
ただし、睡眠をとらせる余裕はないので、脚の手当てをしてすぐ2人でスタートした。「ゆっくり歩こう。走らなくても大丈夫。自分も昨年はここから全部歩いてゴールできたから」と気分を和ませ、眠気覚ましに話を続けた。
ここで信じられないことが起こった。鎖峠の下りで彼女が早歩きをし始めたのだ。痛みが和らいできたそうだ。よかった。また、痛くなる可能性があるので、今のペースでできるだけ進むことにした。
ところが、またまた悪いことが・・・第三の異変。今度は睡魔!
萩市内に入ると彼女がまた遅れるようになってきた。振り向くとフラフラして歩いている。歩いて寝ているのだ。仕方ないだろう。スタート前からおそらく40時間は寝てないのだから。
虎ヶ崎に午前6時に着いた。しばらく寝たいということで、ここで私と別行動とることにした。普通でも虎ヶ崎ーゴールは10時間かかる。脚が悪い時は12時間かかる。
そこで彼女に「1時間だけ寝なさい。それ以上寝たら間に合わない。必ず1時間で起きなさい。途中であきらめてはいけない。やればなんとかできる。ゴールで待っているよ。必ず帰っておいで」と言って、先に出発した。
・・・・・・・私は45時間でゴールした。ゴールで休んでいると、佐々並(236km)に彼女がいるという情報を得た。しかし、残り時間は2時間半。普通、佐々並からは3時間かかる。さらに悪いことに雨が降り出し、雨足が強くなってきた。
周りにいる人も「おそらくダメだろう」「リタイヤするように言いましょうか」「いや、間に合わなくなったら係員が止めさせるだろう」とすべて否定的。
私はゴールは100%無理と思いホテルにもどった。お風呂に入って、ビールを飲んでいると携帯が鳴った。話を聞いて・・・・ビールを飲む手が止まり、全身に鳥肌が立った。
ナント!みどりちゃんがゴールしたとのこと!泣きじゃぐってのゴールだったとか!
思わず涙が出た・・・・と同時に「ゴールで待っているよ」と言っておきながら、ホテルに帰った自分が情けなかった・・・・「ごめん!」
しばらくして彼女がホテルに帰ってきた。彼女の顔にはすでに涙はなく、最高の笑顔があった。最後の4kmは必死に走ったそうである。
信じられない。すごい気力・やる気・やめん気である・・・・参った
みどりちゃん、おめでとう・・・・・あんたはスゴイ!