ランナーズの本に以前、萩往還の特集があったので久しぶりに読んでみた。1枚の写真に目が止まった。左の写真である。雨の中、上り坂を木の枝にしがみついて必死に歩いている。
写真を見たとき、初めて250kmに挑戦したときを思い出した。250kmという距離は体力と気力をしだいにおかしくしてしまう。
私だけかもしれないが、毎回170kmあたりで、めまい、はきけ、腹痛、全身の筋肉のけいれんが起こってくる。しばらく、動けないほど、顔をゆがめるほどの苦しみである。しかもめまいは30分以上続く。
初めての挑戦のときは、発作が起こったとき、死にはしないかと驚いてすぐにリタイヤした。2回目のときは、起こるとわかっていたが、発作に耐えきれず途中でリタイヤ。3、4回目でやっと発作をうまく切り抜ける要領がわかり、なんとか耐えられてゴールまで行けた。しかし、発作をなくすことはまだできない。いろいろ薬、サプリメントを試すがなかなか効果がない。
発作をなんとか切り抜けても、220kmあたりから一升谷の急な上り坂が4km続き、またもや試練が始まる。ぼろぼろになった体にさらにムチを入れるような仕打ちが始まる。写真のように何かに寄りかかっていないと坂が上れない。
写真の方はおそらく230kmあたりの坂で撮られたものと思うが、「絶対ゴールまで行くぞ!止めてたまるか!」という気力が感じられる。写真の説明には「もう2本の脚だけでは進めない!ランナーの誇りだけが彼を前に進ませているのだ!」と書いてあった。目頭が熱くなった。
ある選手は足の裏の皮がすべてむけたり、あごをかぱっと切っているのにもかかわらず、走るのを止めようとしなかった。ものすごい気力だ。
本を読み終わって思った。今度の「岡の里」は出よう・・・・と。