根子岳は昔は「猫岳」と書いていたそうです。おもしろい言い伝えがありました。むかしむかし・・・・・・
一ノ宮に住んでいた男が高森に行こうとした。回り道するより、近道の日ノ尾峠をのぼることにしたそうな。
しかし、道に迷ってしまい日が暮れてしまった。困っていると遠くに明かりが見えた。こんなところに家はないはずだが・・・と思ったが、お腹も減っていたのでその家に行った。
戸をたたくと、きれいな娘が出てきた。「すいません、道に迷ったので泊めてもらえないだろうか」「いいですよ、お食事、お風呂も用意してあります。どうぞゆっくりされてください」
男はまず風呂に案内され、湯船に入ろうとした時、窓の外から「おじさん、お風呂に入ってはだめですよ。ここは化け猫屋敷。お風呂の水に触れたらそこから猫の毛がはえますよ。食事もしたらだめですよ。食べたら猫に変身してしまいますよ。すぐにここから逃げてください」「お前は誰だ、なぜ私を助けようとするのか」「私はあなたの家の隣の三毛猫です。いつもやさしくしていただいているお礼です」
男は驚いて、すぐに服をきて家から飛び出した。後ろからさきほどのきれいな女が形相を変え「逃げるな、猫になれー」と叫びながら、ひしゃくで水を飛ばしながら追いかけてきた。
やっとのことで家に帰った男は疲れ果てて、朝までぐっすり。朝起きてみると水が手にかかったのか、うっすらと手の甲に猫の毛がはえていた。さっそく隣の猫を見に行くと、ここ数日家にいないとのこと・・・・・
男が道に迷ったのは根子岳北側の登山口「ヤカタ(八方)ガウド」(ガウド=谷)。ここには猫屋敷の話が残っているそうな。
新月(満月の逆)の夜にはここに猫が集まるそうです。家の猫がもし数日家を留守にしたら、ここにきているのかもしれませんよ・・・・・・