JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

HB9CV 145MHzロッド式

2009年12月14日 | HB9CV
 開局当初、半年ほどミニマルチの2m用HB9CVをベランダに設置していました。諸事情により、軽量3エレに取って代わり、長く物置に眠ったままになっていたのですが、今回、移動用アンテナとして作り直してみることにしました。


移動用軽量HB9CV ヘアピンマッチ


 当初のアンテナ(ミニマルチ)は、1)2エレなのに重さが1.8キロもある、2)設置環境によってはSWRが下がりにくい、3)調整ができない(組み立てたらそのまま使うしかない)、等の使いにくさがありました。ミニマルチの添付説明書は種々の解説付きのすばらしいものですが、エレメントを切ったりして調整しないようにと、くどい程書かれています。設計書通りに組み立てれば、無調整で使えるということですが、現実は、そうでもなかったです。当局の設置環境では、SWRが2.0以下に下がることはありませんでした。それでも同じベランダのモービルホイップでまったく聞き取れない信号が、はっきりと了解でき、けっこう遠方と交信できた記憶があります。

 今回は、1)移動用に特化して軽量化を図る、2)へアピンマッチは再利用し、ロッドエレメントの長さでマッチング調整できるようにする、という対策を施すことにしました。



《材料》
1、約50センチのロッドアンテナ4本。今回、通販で1本180円で入手することができました。
2、 ヘアピンマッチの材料。これはミニマルチのアンテナから取り外して、そのまま再利用しました。直径4mm程の銅パイプと丸端子で自作も容易と思います。前エレメントと後エレメント間をパイプで交差させて逆位相給電しますので、交差部分にはビニールテープを貼る等、絶縁処理しておきます。
3、塩ビパイプ50センチ1本。
4、 12センチ長のプラスティック仕切り板2枚、結束バンド、ボルトなど。


材料一式


《製作》
1、 塩ビパイプの上から3センチとそこから27センチの間隔を開けて、2カ所に穴を開け、裏まで貫通させます。
2、プラスティック仕切板2枚に、それぞれ3カ所の穴を開け、中央の穴にボルトを通し、1)の塩ビパイプに固定します。
3、芯線、網線の両端に丸端子を半田付しておきます。それぞれ長さは5cm。
4、 前方は給電部となりますので、上下ロッドエレメント、ヘアピンマッチ部品、同軸ケーブル丸端子を、後方は上下ロッエレメント、ヘアピンマッチ部品をそれぞれボルトで固定して全体の形を組み上げます。
5、あとは塩ビパイプとプラスティック仕切板に結束バンドで4カ所固定します。製作は以上です。


給電部

フェーズライン 一方をビニールテーブ等で絶縁しておきます

ブームへの取付け

完成


《調整》
 ロッドエレメントの長さで調整します。後方のエレメントを上下とも43.5センチ(ロッド5段ちょうどでキリがよいというだけの理由ですが・・・)に固定して、前方のエレメントのみで調整しました。その結果、上下とも42.0センチでSWR1.1~1.2と良好な状態になりました。上下の長さは同じにします。移動地の状況で若干変わるはずですから、とりあえずは、これで良いことにします。ミニマルチ同様、直接給電とし、いつものパッチンコアを取り付けました。おまじない程度かと思いますが、SWRの特性は安定します。


AA-200での測定結果 バンド内どこでも使えそうです。



《ベランダ実験》
 ベランダで受信実験をしてみました。モクソンアンテナと比較しましたが、感触としてはほぼ同じ性能です。どちらが特に優れているという感じはありません。3エレより少し弱いかなという程度でした。重さもほぼ同等で300グラム弱。デイパックに十分収納できるサイズに収まりました。


収納状態


《使用感》

 神行堂山(本吉郡南三陸町 標高460m)でこのアンテナを使ってみました。この山でのQRVは2度目ですが、前回、福島県郡山市と交信でき、南にFBなロケーションであることを確認しています。






 山頂に着いて、さっそく、設営。三脚クリップにブームを挟んで、ロッドエレメントを伸ばすだけなので、あっという間です。まず、AA-200で測定してみると、部屋での測定値とほぼ同じ結果でした。ただ、方角によっては1.5弱までSWRが上がります。少しロッドを調整したのですが、なかなかピタリとはいかないので、結局、最初の寸法に戻して使うことにしました。リグはいつものアルインコDJ-S17、4W(エネループ電池運用)。




 ワッチすると、山形県大江町移動局のCQが聞こえてきました。いつも交信いただいている局です。モービル機10Wとのこと、53-52でレポート交換、ハンディ4Wにしては良く届いているとのことです。大江町はここから西に位置し、約120Km。奥羽山脈を越えて、まずまず飛んではくれていることを確認しました。このアンテナでの初交信です。続いて、一関市、大崎市より59。仙台市泉区からも59をいただきました。若林区からは47。仙台までの距離は南に70 Km程です。さらに南方面、福島県飯舘村固定局のCQが聞こえ、41-52で交信。地上高2メートルのGP、50W送信とのことです。コールサインを聞き返され、厳しいかなと思いましたが、アンテナの方向を合わせて、安定してQSOできました。距離にして約150Km。




 北方面は、盛岡市の記念局のCQが聞こえ、何度か応答したのですが、まったく反応がありません。こちらには51程度で入感しており、十分了解できる信号です。相手局はこちらの信号にまったく気がつかない様子で、そのままCQを出し続けてしまいます。スケルチも開いてくれない?そんな感触でした。盛岡市までは距離にして110 Km程ですが、目の前に連なる北上山地が壁になっている? もしかすると、こちらの微弱な信号を捉えてくれるFBな局があるかもしれないと、今度は、同じ方向でCQを出してみました。うれしいことに、さっそく盛岡市固定局からコールバックあり。驚くほど強い信号でこちらから59。相手局からも59のレポートをいただきました。12エレ2段2列のFBなアンテナとのことでしたが、ディスコーンアンテナに切り替えても十分了解できるとのレポートもいただきました。先ほどの記念局はモービルホイップでの運用との情報もいただき、少し納得しました。この他、宮城県内、岩手県大船渡市、陸前高田市各局と交信できました。


 シンプルな構造のアンテナですが、十分使える性能と思いました。山移動で使うアンテナがまた増えてしまいました。ただ、エレメントの長さ調整は、八木より難しいです。よくHB9CV単体で八木の4エレ並などの記述を目にすることがあります。エレメント寸法の効果的な組み合わせによっては、そのような性能を引き出せるものなのか? 検討の余地ありです。




山の神平から望む神行堂山


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする