JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

黒いログペリELK 2M440L5

2010年07月05日 | ログペリアンテナ
 アペックスラジオのホームページを見て、以前から気になっていたVU帯の黒いログペリアンテナを購入してみました。ELKという米国メーカーの製品で、外国製は初めて。移動用や軍用アンテナを手がけている会社だそうで、輸入品なので時間がかかるかと思ったら、注文翌日には自宅に着いてしまいました。ログペリアンテナの現物を見るのも初めてです。

 Wikipediaによると、ログペリとはログペリオディックアンテナの略で、対数周期アンテナと訳されるそうです。「使用可能な周波数帯域が広く、鋭い指向性があり、多数のエレメントを持つアンテナである。インピーダンスと放射の特性は励起周波数の対数関数として規則的に繰り返す。八木・宇田アンテナと同じような構造で、隣り合うエレメント同士を逆位相に給電する。隣り合うエレメントの長さと間隔は対数関数的に増加している」。難解で理解不能。緻密な数値解析で設計されるアンテナのようです。八木と違ってすべてのエレメントに逆位相給電されるところは、HB9CVと似てますが、最大の特徴は広帯域という点にあるようです。今回の2M440L5も型番の通りアマチュアバンドの145と430の両方で送信できる仕様です。

 実際のところ、広帯域アンテナの用途って何なのでしょうか。受信用ならまだしも、送信も広帯域が必要な用途?何かの測定とか・・・?アマチュア的な利点としては、1本で多バンドOKなことや、バラツキが少なく安定的に使えるところでしょうか。山岳移動で指向性のあるアンテナを複数バンド使いたいというような時は、広帯域アンテナのメリットはあるのかもしれません。
 
《仕様》
エレメント 5エレ(上下分割で10本)
送信可能周波数範囲135-155MHz、400-530MHz
受信周波数範囲110 - 1100 MHz
ゲイン144MHz帯 8.7dBi、430MHz帯9dBi
F/B比20 dB
ブーム長約0.61m 
重量約 635g
耐入力200W (FM)
コネクタM型


ELK 2M440L5の一式


 パッケージには、給電部の付いた金属製ブーム、エレメント10本、マウント部品、手持ち用のポールが1セットになっています。ブーム長は61センチなので、少し大きめのザックでないと収納できません。重さはラディックスのデイパック3エレより少し重い程度。

 10本のエレメントは、黒いカバーで覆われたアルミ製で驚くほど軽量です。1本1本色分けされて、ねじ込むようになっており、組み立てで悩むところはありませんでした。


色分けされたエレメント

ブームにねじ込んで取付け

給電部

完成


 前方に給電部(MJコネクター)があります。並行した2本の金属ブームを通して各エレメントに給電される仕組みのようですが、それぞれのフェーズラインの構造は、今ひとつわかりません。上下各5本のエレメントは微妙に位置をずらしながら並んでいます。見た目でも八木アンテナでないことはすぐわかります。作りはいかにもアメリカ的で、よく言えばおおらか、どちらかと言うと自作アンテナに近いです。

 続いてELK独自のツイストマウント方式。水平、垂直どちらにも対応します。アンテナ本体の重量を中央で支えることになるので、バランスに優れ、三脚に設置した場合の座りも良さそうです。エレメントの取付け方法と言いマウント方式と言い、常設設置よりも移動運用を前提にしたアンテナと言ってよいと思います。ただ、マスト差込み口の直径が3.3センチあります。固定方法をいろいろ考えたのですが、この部分は三脚への取付けを考えて作り直すことにしました。


付属のマウント部品(上)と塩ビパイプで作り直したマウント(下)


《AA-200での測定》
 ベランダで測定したところ、予想外の複雑な波形になりました。中心も145に合っていないし、SWRもよくありません。広帯域という感じでもないです。コネクターが緩んでいるのでは?と思い、 点検しましたが変化なし。このアンテナ、調整する部分もないので、これではお手上げですね。



 ふと、水平設置ならどうだろうと試したところ、こちらはきれいな波形になりました。145MHzを中心でSWR1.1、+-10MHz程で2.0以下。送信可能周波数範囲135-155MHzの仕様通りでした。

 この時に、同軸ケーブルの引き回しによる変化があるのでは?と思い、垂直に戻して、実験してみました。英文の説明書には、引き回し方のイラストが載っています。またアペックスラジオのホームページにも設営時の写真が掲載されています。最初はこれを参考に、給電部から緩やかに曲げた上で、ポールに沿わせてみたのですが、上記の通りで、よろしくありません。結果的には、何もしないで、ぶらりと垂れ下げて接続するのがベストでした。給電部からある程度の長さを垂れ下げるというのがポイントのようです。この状態で、145MHzを中心にSWR1.2程度、+-10MHz程で2.0以下。これらは秋月電子の青いケーブルでの実験ですが、5DFBではさらに安定しました。ケーブルの種類でも多少違うようです。


この引き回し方はNG

こちらがベスト


上の状態でのAA-200の測定(レンジ違い上中下) 

(中)

(下)

 ちなみに、受信周波数は110 - 1100MHzとたいへん広帯域ですが、送信もこの範囲で可能というわけではなく、145から430まで通してSWRフラットというわけでもありません。それぞれのバンドで個別に同調するということのようです。実際に送信できる範囲は+-5MHz程でしょうか(145MHzの場合)。430についてはアナライザーが未対応なので、別の方法でそのうち試してみます。


《トリフィールドメーターでの測定》
 垂直設置でいつもの定位置から0.8Wで送信したところ、トリフィールドメーターの針は8まで振れました。先日作った3エレ八木やHB9CVと同等。見た目は5エレですが、ログペリというのは5本全てを一つの周波数に使っているわけではないので、利得は2エレ~3エレ程度と考えてよさそうです。この点は、仕様通りの性能が出ているように思いました。


《使用感》
 ベランダで簡易的に設置してIC-910につないでみました。ラディックスの3エレ(固定)と比較しながら受信したのですが、信号の強さは3エレがわずかに上、ログペリの方は信号が弱くともそこそこ了解できる印象です。夜遅く、酒田市鳥海山移動局と59-55で交信できました(相手局10W、当局30W)。

 翌日、設営の手順など練習のつもりで、大年寺山で運用しました。ログペリ本体はけっこう重みがありますが、重心が中央にあり、三脚でもなんとかOKです。さっそくRH770と取り替えながら聞き比べました。さすがに、ログペリの方がSで2~3つくらい違います。方角を合わせると、場合によっては42だった信号が57くらいまで振ってきます。一関市、石巻市などの移動局と0.8Wでも59-59で交信できました。


 簡単に考えていたのですが、同軸の引き回しなど、けっこう手ごわいアンテナでした。米国では水平偏波での使用が多いのでしょうか?






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