JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

24KGとラジアル実験

2010年02月09日 | 移動用市販アンテナ
 前稿で今ひとつの印象と書いたコメットの24KGについて、OMより「何度も使って飛び受けとも悪くないのだが・・・」とのお話をいただきました。モービル半固定で車体にしっかりとアースを取って運用されているとのことでした。当局の場合は、モービル運用はしませんので、ラジアルを自作して、何度か使ってみての印象を書きました。このアンテナを使う時は、期待感も高いことから、使ってみては少しがっかり、を何度も繰り返しています。なぜか、寒い季節になると、思い出したように使ってみたくなって、物置から取り出します。たぶん、里山は登山時間も短く、軽身なので、少々重いこのアンテナでも持っていこうか、という気持ちになるのだと思います。

 そんなわけで、ラジアルを工夫すれば、なにか手応えが得られるのでは?と考え、実験を試みました(145MHz)。


1)常置場所ベランダにて

 当局のベランダは一般的なアルミ製です。これにステンレス製のBK-10という固定金具を使って、モービルホイップを設置しています。ラジアルなしで24KGを設置した場合、SWRはバンド内1.5フラットです。BK-10に加えてアルミであっても多少、ラジアルとして機能しているのか、この状態で送信できなくもありません。これに約50センチの細い銅バイプを1本ラジアルとして取付けると、方向によって違いますが1.3~1.1に下がります。ラジアルの効果は1本でもてきめんです。2本から3本に増やしても、SWRに関してこれより下がることはありませんでした。


銅パイプラジアル 少し下向きに角度をつけてあります


2)カメラ三脚にて

 続いて、山移動を想定して三脚での実験。以前に紹介したとおり、モービルホイップの三脚への取付けは、モービル用の同軸付きコネクターをエツミのセットスクリューに接着したものを使用します。24KGもしっかりと固定できます。


エツミのセットスクリューに接着して作製

三脚ネジで固定


 まず、ラジアルなしの場合ですが、SWRは2.5程度で高めです。このままで送信は厳しいです。次に銅パイプラジアル1本をコネクターにセットしてみました。SWRは1.1に下がります。3本取付けるとかえって少し上がって1.2~1.3となりました。ベランダ内での測定なので、手すりなどの影響があると思います。送信についても電界強度計で測ってみました(いつもの室内定位置)。
 ・ラジアルなし  2.0
 ・ラジアル1本  7.0
 ・ラジアル3本  4.0(いづれも最大値 トリフィールドメーターの目盛読み)

 ・SBB7 ノンラジアル 2.8(参考)

 ラジアル1本の場合は、明確に指向性が出ます。トリフィールドメーターにラジアルを向けると最大値を示しました。





 銅パイプは角度を何度も変えたりすると、簡単に折れてしまいます。そこで、全長54センチのロッドアンテナでラジアルを作ってみました。MJコネクターにすっぽりと入る銅製のワッシャー(ホームセンターで購入)にロッドアンテナ3本をハンダ付けしました。長さや角度が自由自在、これでVUモービルホイップのGP化が簡単に実現・・・?


材料一式

ワッシャーにハンダ付け

コネクター取付け

収納状態


 試したところ、ラジアルの角度は下向きにしすぎない方が良好でした。水平よりも少し下げる程度です。ちょうど固定用のGPアンテナそのものという感じです。長さは約48センチでSWRは1.0近くに下げることができました。ロッドアンテナなので限界まで追い込むことができます。
 電界強度計の測定では
 ・ロッドラジアル3本 4.5(最大値) 
 あまり変わりません。SWRが下がった分、ほんの少し強くなった程度です。




 ラジアル1本で指向性が出るのであれば、これをもっと強めて、一定方向に利得を高めることはできないか?ということで、もう一つ作ってみました。




給電部より下にして水平に取り付け

 ロッドアンテナ1本で長さと角度を変えられるラジアルです。いろいろな取付け方に対応できるように、銅パイプを曲げたものを間に挟みました。給電部から3センチ程下に張り出すような形になります。やはり、下向きに角度を付けすぎない方が良好です。ほぼ水平の状態で、ロッドの長さが43センチ、銅パイプ等の部分が4センチ、給電部から約47センチ。これで SWR1.1以下となりました。
 電界強度計では
 ・ロッドラジアル1本 9.0(最大値)
 明らかに強くなっています。

 興味深い結果でした。無指向性の24KGにロッドラジアル1本を取付けてゆるやかな指向性アンテナに変えてしまう。こういう使い方も面白いかなと思いました。

 ロッドラジアル3本の長さをそれぞれ変えてみるとか、ノンラジアルアンテナにラジアルを付けたらどうなるか?とか、受信の聞き比べもしようと思ったのですが、ここまでで、少し疲れました。


 ノンラジアルでないということは、確かに面倒ではありますが、ラジアル次第でアンテナの性能(利得)とか性格(指向性)が変化するというのは、工夫して遊べるということでもありますね。天気のよくない休日にでもまた実験してみます。








コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« モービルホイップ考 | トップ | 大年寺山 仙台市太白区 »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (さかた)
2010-03-27 15:51:49
初めまして。
24KGでググっていてお邪魔しました。

色々と実験されていて大変感心し、そしてとても参考になりました。
私は屋根の上(雪国なのでトタン屋根)に大型マグネット基台で
24KGを立てていますが、今ひとつ、カタログ性能が感じられずに
いました。
やはり、ラジアルがあると大きく変わるものですね。
私の場合は、マグネット基台ですのでまずは、マグネットアースMAT50を付けてみようかと思いました。

とても参考になる記事を有難うございました。
返信する
さかた様 (jo7tcx)
2010-03-30 07:43:06
はじめまして。コメントありがとうございます。

トタン屋根+マグネット基台であればアースは取れているように思いますがいかがでしょうか。記事には書きませんでしたが約1メートル四方の鉄板中央に24KGをマグネット基台に乗せてSWRを測ってみましたが、たいへん良好でした。

マグネットアース、効果の程は?な気がしないでもありませんが、なにごとも試してみないことにはわかりませんね。私の場合は、思いついたことの結果を予測したり、実際に実験したりの過程が一番面白いと感じます。

返答が遅くなってしまいました。年度末で更新もチェックもままならない状態が続いていますが、気が向いた時にでもご笑覧いただければうれしいです。
返信する
ノンラジアル (bandit)
2014-07-14 12:30:30
お邪魔します。
 私はダイアモンドのSGM507(ノンラジアル)をバイクで使用しています。
2Mでラジアル容量(?)が足りない様で(SWR1.3)、裸圧着端子に8sqのケーブル(オーディオ用-対側開放絶縁約48cm)をシートに沿わせています。
 指向性がでるとのことですが、圧着端子を出す方向を12時として、ケーブル(こちらでは銅線・ロッド)を3もしくは9時方向に曲げて出した場合(自車の状態なのですが・・・)どのような指向性になるのでしょうか?
 もしお時間ございましたら、教えていただきたく思います。不躾な質問失礼いたしました。
返信する
banditさま (JO7TCX)
2014-07-15 17:08:29
こんにちわ。コメントありがとうございます。
ラジアルが1本のみ空中にある場合はラジアル方向に指向性が出ます。ラジアル線を車体に添わせているとのことなので、どういう影響を与えるのか?です。車体を回しながら固定局からの弱めの信号を受信して変化をみるとか。バイクの場合、人体の方が伝搬への影響が大きいかもしれませんね。

返信する

コメントを投稿

移動用市販アンテナ」カテゴリの最新記事