JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

コイルの巻き方実験

2012年10月20日 | コイル作り


 鉱石ラジオ全盛時代よりコイルの巻き方にはさまざな工夫がこらされてきたことは、『ぼくらの鉱石ラジオ』に詳しく紹介されています。8の字コイル、ハニカムコイル、スパイダーコイルなどなど。その一つに逆巻コイルがあります。普通に線を巻いていって、途中から反対向きに巻くという単純な巻き方なので、何度か作ったことがあります。なぜ、先人たちがこんなコイルを作ったのか?自分としては次のように考えました。コイルの巻き数は多い方が感度は良くなる、でも、多く巻くとインダクタンスが上がって放送の周波数帯に合わなくなってしまう。そこで、途中から逆向きに巻くことで、インダクタンスを相殺し、かつ巻き数を増やして感度を上げる、ということだったのでは?

 
 途中から逆巻にすることで、インダクタンスが下がることはこれまで確認していますが、感度は上がるのかどうか?今回、同じ材料、条件で、比較してみることにしました。ついでに、密巻コイルとスペース巻コイルの違いも実験してみました。

<基準となる密巻コイル>
 長さ16cm、直径1cmのフェライトバーを4本束ねたものに、リッツ線(0.1mm×40本)を普通に密巻したバーアンテナ。巻き数は34回。インダクタンス140μH。

<逆巻コイル>
 上記と同じ材料を使い、まず29回巻き、途中で反転させてさらに39回巻く。合計58回の密巻き。インダクタンスは174μH。

途中から逆向きに巻く


<スペース巻コイル>
 同じ材料に隙間をあけて巻く。巻き数39回。インダクタンス140μH。


 逆巻コイルだけはインダクタンスをうまく合わせられず、若干大きめです。


上から密巻コイル、スペース巻コイル、逆巻コイル


 さっそくゲルマラジオにつないで聞き比べてみました(外部アンテナなし)。
 その結果は、感度の良い順に

 スペース巻コイル>基準の密巻コイル>逆巻コイル  となりました。


 予想に反して、逆巻コイルは芳しくありません。基準のコイルの半分程度の音量で、あきらかに感度は低下します。逆向きに巻き過ぎたのがいけなかったのかと考え、少しずつ、リッツ線を外してみたところ若干感度が上がったものの、結局、反転させた箇所まで外してみて、感度はそのままでした。コイルの巻き数を多くすることによる感度アップは実感できませんでした。

 一方、スペース巻の方は、密巻より1.5倍ほどの音量となり、明らかな感度アップが実感できました。NHK仙台第二も十分聞き取れます。気を良くして、もう一つスペース巻コイルを作ってみました。

<スペース巻コイル2>
 同じ材料に、はじめの20回は小さなスペースで巻き、徐々にスペースを大きくとって巻く。巻き数37回。インダクタンス141μH。




 聞き比べたところ、等間隔のスペース巻きと同様の音量で、さほどの違いはありません。

 続いて密巻コイル、スペース巻コイル2本の計3本を直列で接続。1本より2本、2本より3本と音量は大きくなりました。それぞれのコイルの向きを逆にすると聞こえなくなります。並列で接続にした場合も何も聞こえませんでした(放送帯をはみ出した?)。

3本直列


 また、前回同様、ゲルマラジオにつないだ1本のバーアンテナの両端に残りの2本を置いてみました。単に置いただけですが、3本直列につないだ時以上に音量は大きくなりました。この方が簡単で効果大です。


今回の実験のまとめ
1、 コイルはスペース巻が感度アップに有利。
2、 逆巻コイルはインダクタンス調整には使えるが、感度アップにはつながらず、存在理由は不明のまま。
3、 複数のコイルを直列または並列すると感度がアップする。
4、 コイルの巻き方や数を増やすより、フェライトバーを長く太くした方が効果は大きい。



コメント (4)
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