JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

もう一台のハンディ機 DJ-S57

2010年12月08日 | 移動運用装備
 アンテナを作って山頂で初使用というような時は、別のアンテナとの比較をしてみたくなります。実際、数本のアンンテナと三脚2台を担ぎ上げて、聞き比べをしたことも何度かあります。そんな時は、試したいアンテナを1本1本リグ側で取り替えながらの作業となるわけです。その間にコンディションが微妙に変わってしまうこともあるわけで、本当にアンテナ性能の違いによる変化なのか、よくわからず、同じことを何度も繰り返すことになります。また、アンテナのコネクター形状がBNCとMPが混在しているため、コネクターごと交換という面倒なケースも少なくありません。こんな時、もう一台ハンディ機があれば・・・、といつも思案しておりました。2台あれば、同じ相手局に対して二つのアンテナから送受信でき、性能比較は一目瞭然。

 そんなわけで、今回、懸案だったもう一台のハンディ機として、アルインコの新製品DJ-S57を購入しました。ハンディ機とはいえ新規リグは3年数ヶ月ぶり。特にこの機種にこだわったわけではありません。送受信性能が大きく異なることもないでしょうから、他社製でも良かったのです。

 選定するにあたっては、山で使うことを前提に次の要件で検討しました。
 1)最高5W以上出力
 2)乾電池でも数W可
 3)防水能力が高い
 4)なるべく軽量

 いろいろ悩んでみたのですが、上記1~4の条件を満たそうとすると、結局アルインコのDJ-Sシリーズに行き着いてしまうのです。ハンディ機は進歩しているように見えて、そうでもないです。乾電池で3W~5W出せるのは未だに数種類。かつ防水で小型軽量となるとこのシリーズの他はほぼ皆無なのです。

 ということで、機種はDJ-S57としました。145MHzと430MHzのデュアルバンド。5W(乾電池でも可)、防水、270g。当局、これで、同シリーズの3台すべてを所有することとなりました。3年半前に購入したDJ-S17と同47は、不具合もなく働いてくれています。特にDJ-S17(145MHz)の方は使用頻度が高く、延べ交信時間はかなりなものです。丈夫なだけが取り柄、と言えなくもありませんが、わざわざ重いモノを山に担ぐのだから、壊れた時の精神的ショックは平地以上。丈夫さも性能の内かと・・・。

 今回のDJ-S57。デュアルバンドになって、使い勝手や肝心の送受信性能はどうなのだろう?と心配もないわけではありません。地味な存在で特別なことは何もない機種ですが、以下、第一印象を書いておきます


左からDJ-S57 DJ-S17 DJ-S47

 ラインナップ3機種、見た目はほぼ同じ。右下に印字してある17、47、57の型番を確認しないとどれがどれなのかわかりません。バッテーリーや急速充電器、乾電池ケース、スピーカーマイクなどはすべて共通で使えます。2台持って行っても使い回しできるので助かります。操作方法もほとんど同じ。主な変更点をあげてみると。

 (外観)
 ・スピーカーマイク端子の防水キャップがねじ込み式に変更
 ・付属ホイップはデュアルバンド用に変更(見た目はDJ-S47と同じ)

 (性能)
 ・430MHzも最高5W出力となった(DJ-S47は4.5W)
 ・ミッドパワーが加わった。1W~3Wの間で設定可
 ・ローパワーは0.5W(これまでの2機種は0.8W)
 ・周波数安定度が145MHzも+-2.5ppmに向上(DJ-S-17は+-5.0ppm)

 (機能追加)
 ・バンド切り替え
 ・バッテリー残量を細かく表示する機能
 ・オートリピーター機能(430)
 ・着信ベル機能、など


スピーカーマイク端子は金属のねじ込み式カバー


右から2番目がバンド切り替えボタン


 細かいところばかりですが、改良と言ってよいと思います。スピーカーマイク端子のゴムキャップは外れやすく改善してほしいと感じていました。2段階しかなかったパワー設定も不満の一つでした。ミッドパワーが1W~3Wの可変式というのも新機軸かなと思います。たとえば超コンパクト機VX-3のパワーが1.5Wですが、このパワーでどの程度使えるものなのか?などということをおおよそ把握できます。だから何だと言われるとそれまでですが、パワーは可変できた方がなにかと実験には好都合なのです。

 一番ありがたいと感じたのは、バッテリー残量を6段階で表示できる機能ですね。これまでは2段階表示しかありませんでした。音量設定ボタンを長押しすることで、Sメーターの表示がバッテリー残量表示に切り替わります。使い勝手もよく、他にない優れた機能と思います。なお、Sメーターも9段階ではなく、6段階です。実用上問題ないのですが、アマチュア的遊びの要素が濃いDJ-G7に対して、防災など業務を意識した機種なのかな?と思わせるところです(お遊び機能なし、実用本位)。


満充電時は6個表示されます


 〈受信性能〉
 常置場所(145は3エレ八木、430はスイスクワッド)でIC-910、DJ-S-47、DJ-S-17との聞き比べをしてみました。固定局からの弱めの信号でリグを替えながら繰り返し聞いてみました。

 まず感じたのは音質の違い。シリーズ他2機種に比べると低音が加わったように感じました。これにより、ノイズが耳障りでなくなり、変調が聞きとりやすくなっています。Sメーターもこれまでより一つ大き目に振れます。これは感度が良くなったというよりも、そういう仕様になっただけのようです。信号の強さに変わりはないが、うまくノイズ音を抑えてS/Nが向上した、という印象です。430についても同じ。デュアルバンドになったからといって悪くはなっていません。ひと安心。

 1点気になったのは、スケルチが深めになっていることです。もっとも浅い「スケルチ1」に設定しているのですが、DJ-S17で開く信号がDJ-S57で開かないということがありました。MONIキーを押して開けば、部分的に了解できなくもないすれすれの信号。「着信ベル機能」が加わったことで深めの仕様になっているのかもしれません。CQを出すときはスケルチオープンにしておいた方が無難ですね。

 固定機のIC-910との比較では、両バンドとも了解度はほとんど変わりませんでした。IC-910で了解できず、DJ-S57ではなんとか了解できる、という場面もありました。総じて受信性能は悪くないと思います。ハンディ機の欠点である強い隣接信号からのかぶり(選択度)についてはまだわかりません。


 最後に、要望を一つ。付属するバッテリー1100mAhでは中途半端。はじめから1600mAhにすべきでしょう。または選択できるようにするとか。そして、もっと大容量のオプションバッテリーを作ってほしいですね。付属の急速充電器が使えて手持ちできる限界のもの。3200mAh程度(1600mAhを2つ張り合わせたくらいの厚み)。いかがでしょう。





コメント (2)
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