JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

中波用ミニループアンテナ

2012年10月21日 | コイル作り


 ソレノイドコイルのボビン(巻き筒)を大きくすればするほどゲルマラジオの感度は上がります。通常は直径8cm程度でしょうか。さらに大きなものはループアンテナということになります。どの大きさまでソレノイドコイルでどこからがループアンテナなのか?特に定義があるわけではないと思いますが、自分的には外部アンテナを付けなくとも受信できる状態であれば、それはループアンテナ、と言ってよいのでは、と考えます。

 ネット上には大きなループアンテナの製作例をたくさん見ることができます。でも、小回りが利き、かつ単体でゲルマラジオが鳴る程度のものはあまり見当たりません。そこで次のような課題で作ってみることにしました。

1、ゲルマラジオが外部アンテナなしで受信できること。
2、なるべく小さなサイズとすること。
3、フェライトコアは使わず、コイル単体のみとすること。

 <材料>
・巻枠 100円ショップのアクリルケース
    縦22cm、横15cm、深さ4.5cm
・線材 リッツ線 0.1mm×100本 長さ18m(一次コイル用)
     リッツ線 0.1mm×40本  長さ2m(二次コイル用)
・2連ポリバリコン1個
・かまぼこ板、端子、その他

<製作>
 アクリルケースに沿って、はじめに一次コイルを巻いていきます。今月号のCQ紙でも紹介されてあった100円ショップのグル―ガンが大活躍してくれました。巻き始めと終わりを固定するのにたいへん重宝します。LCメーターで所々インダクタンスを測りながら巻いていきました。バーアンテナと違って、なかなかインダクタンスが上がりません。20m巻きのリッツ線のほとんどを使いきって23回巻き、188μH。ピックアップ用の二次コイルは、一次コイルと同じ向きに4回巻き。これで枠幅ぎりぎりとなりました。以上、コイル部分完成。


グルーガンでサクサクと固定

一次コイル188μH


 続いて、これを木台の上にセットします。今回は同調型アンテナなので、一次コイルを2連ポリバリコンに接続。二次コイルはターミナル端子へ。一次コイルと二次コイルは電気的には接続していませんが、一次コイルでとらえた電磁波を電磁誘導により二次コイルでピックアップし、ラジオに受け渡す仕組み。一応、一次コイルへも直接接続できるようにターミナル端子を取り付けました。工作は以上です。


完成

バリコンを挟んで左が一次コイル端子、右が二次コイル端子


 はじめに一次コイルのターミナルにゲルマラジオを接続してみました。ミニループのバリコンを中間あたりに設定して、ゲルマラジオ側のバリコンを慎重に回します。聞こえるのか、聞こえないのか、どの程度の音量で聞こえるのか? コイル作りは、この瞬間が一番の楽しみです。と、NHK仙台第一が期待以上の大きさでマグネチックイヤフォンを鳴らしてくれました。仙台第二も十分な音量。分離も悪くありません。指向性が強く、きちんと方角を合わせると、フェライトバー16本を束ねた極太バーアンテナを上回る感度となりました。


ゲルマラジオに接続




 続いて、二次コイル側に接続。ループのバリコンを回すと、こちらも先ほどと同様の音量で聞こえてきました。少し低音が増したような印象。きちんと電磁結合されていることが確認できました。

 この二次コイル端子に結合ループ線をつないで、こんどは2ICラジオのバーアンテナに絡めてみました。つまり、一次コイルで目的の周波数の電磁波をとらえる→その磁場と結合して二次コイルに電気信号が発生する→その信号をループ線でICラジオに受け渡す、というルート。双方のバリコン調整が必要で、うまく合わせた個所では明らかな感度アップが実感できました。二つのバリコンを使うためか、分離の方も改善がみられます。


2ICラジオにループ線を絡める



 ついでに、RF-U700Aのジャイロアンテナにもループ線をからめてみました。こちらの方はもともと感度が良いので、信号の強弱は確認できませんでした。夜間にでもまた実験してみたいと思います。




 外部アンテナなし、フェライトバーを使わず、コイル単体でゲルマラジオを鳴らす、という課題は一応、クリアできました。Qを高めるため太めのリッツ線を使用したのも好結果になったように思います。バーアンテナと比べると大きくはなりますが、B5版ほどのミニサイズでこの性能・・・。ループアンテナの実力、侮りがたし。


<追記>

 夜間の受信実験の結果。RF-U700Aの傍にミニループを置くだけで感度が上がります。ループ線をジャイロアンテナに絡めなくともOK。RF-U700Aでなんとか聞き取れる程度の弱めの信号を受信し、脇に置いたミニループのバリコンを回すと急に信号が強くなる箇所があります。ミニループに発生したエネルギーが電磁的にラジオ側に受け渡されているわけです。そして角度を合わせる。これで了解度5に改善。
 RF-U700Aは9KHzステップの電子チューニング。なので微妙な周波数調整はできないのですが、ミニループのバリコンでアナログ的な微調整ができるようになります。これも一つの発見でした。








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