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児童虐待防止法改正案が通りそうです。この法案は,おそらく,多くの国民の皆さんが待ち望む法案ではないでしょうか。裁判所に勤務する者としては,また一つ,厳粛な職務(児童相談所への令状発付)が増えたと感じています。がんばらないといけないですね。以下は,読売新聞からです。


児童虐待防止法 施行が来年4月では遅すぎる

 家庭の中で虐待され、助けを求められずにいる子どもが、今もどこかにいる。命を救うためには実力行使も必要だろう。

 超党派の国会議員グループが児童虐待防止法の改正案をまとめた。今国会に議員提案し、5月にも可決・成立する見通しだ。

 改正案の眼目は、児童相談所の権限を大きく強化した点にある。

 虐待を疑われる親が任意調査や出頭の求めに応じない場合は、都道府県知事が裁判所の令状を取り、児童相談所の職員が強制的に住居に立ち入れるようにした。その際に警察官も同行する。

 当然、行政に持たせるべき権限だ。むしろ遅すぎたと言わざるを得ない。

 前回2004年の法改正時にも、児童相談所や警察の立ち入り権限を強化すべきだ、との議論があった。だが、「人権侵害の恐れ」を強調する野党などの反対で見送られた経緯がある。

 その後、悲惨な虐待事件が数多く明るみに出た。

 特に昨年5月、福島県で3歳の男児が衰弱死させられた事件では、親が玄関のドアに鍵をかけるなどして児童相談所の訪問調査を拒んだために、子どもの保護に至らなかった。

 この事件を受けて、警察庁は「人への危害が切迫した場合、建物に立ち入ることができる」という警察官職務執行法の規定を積極的に活用するよう通達している。しかし現実には、危害が切迫しているかどうかの状況判断は容易でない。

 今後は、定められた要件と手順に従って強制調査が行えるようになる。主体は児童相談所であり、警察は支援する立場だが、必要とあれば警察官はためらうことなく調査の前面に立つべきである。

 改正案はさらに、施設に一時保護した子どもを連れ戻そうとする親に対して、児童相談所が知事名で罰則付きの接近禁止命令を出せるようにした。

 児童相談所や市町村についても、虐待情報があった場合は必ず子どもの安全確認を行う義務を明記する。行政は強力な権限を与えられた以上、しっかりと職務を果たさなければならない。

 昨年1年間に、家庭で虐待されて死亡した子どもが59人もいる。対策は待ったなしの状況だ。にもかかわらず、改正案は施行期日を来年4月としている。1年近くも先だ。これは、あまりに悠長ではないか。

 役所の事情を考慮してのことなら、理由にならない。令状を請求する児童相談所や、これを許可する裁判所の体制づくりは、今年度中でもできるだろう。子どもの命が第一だ。



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