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復活なるか絶滅カワウソ 知床博物館、大陸種と比較研究

2016-01-14 | アイヌ民族関連
北海道新聞 01/13 06:50、01/13 08:11 更新

1955年に斜里町で捕獲されたカワウソの毛皮と村上隆広さん
 【斜里】かつて道内にも生息した絶滅種のニホンカワウソ。61年前、道内で最後に姿が確認されたオホーツク管内斜里町で、知床財団と町立知床博物館が、カワウソを野生によみがえらせることができるかについて調査研究している。大陸のユーラシアカワウソが同一種と確認できれば、将来的には国内に放つことも考えられるが、カワウソが暮らせる自然環境をどう取り戻すかなどについての論議も必要になってくる。
 道内のカワウソは、アイヌ民族が狩猟の対象としていた。明治期から大正期にかけて年間数十~数百匹が主に毛皮用として乱獲された。すみかである河川周辺の自然破壊も重なり、1955年に斜里町で捕獲された1匹が道内最後の確認例だ。毛皮が知床博物館に保管されている。国内の哺乳類は、ほかにニホンオオカミとエゾオオカミ、コウモリ3種が絶滅している。
 斜里町は、知床国立公園内の農地跡に原生林をよみがえらせようとする「100平方メートル運動の森・トラスト」の一環で、多様な動物が生息できる環境づくりも探っている。カワウソの調査は、企業から寄付を受け、15年度まで5年間の計画で進めてきた。
 知床博物館の村上隆広学芸員(45)らは、ニホンカワウソと似たユーラシアカワウソが生息するロシアの沿海地方やサハリンなどで生息環境を調査。カワウソのふんや足跡を探したほか、餌場となる河川にどんな魚がいるかを調べた。
 村上学芸員は「知床をはじめ道内の失われた自然を、カワウソが生息できる元の姿に近づけるにはどうすればよいか、考えるきっかけになる」と話す。
 道内のカワウソの遺伝的特徴の分析も進めている。安藤元一(もとかず)ヤマザキ学園大教授(65)によると、ニホンカワウソは、大陸に生息するユーラシアカワウソの亜種とされるが、分類学上の詳しい関係は明らかになっていない。
 分析作業は北大が行っており、道東の遺跡から出土したカワウソの骨を、ユーラシアカワウソと比較する。安藤教授は「サハリンなどと近い道内は、ユーラシアカワウソとまったく同じ種のものがいた可能性も十分に考えられる」と話す。
 国内でトキの人工繁殖が始まった際、同一種である中国のトキを用いた。カワウソも同一種であれば、ユーラシアカワウソを国内で放つことに向けて遺伝面で条件が整うという。
■環境の回復も課題
 ただ、カワウソを再び野生化すると、一度バランスが崩れてしまった現在の生態系や、漁業など人間の生活にも影響する。豊かな自然環境の回復に向けて課題は多い。知床財団と知床博物館は今年3月、調査研究の報告をまとめる。
 知床の 世界自然遺産 登録の際、科学委員会委員長を務めた北大名誉教授、石城(いしがき)謙吉さん(81)=胆振管内安平町=は「カワウソは水辺の捕食者の中で最上位に位置する。そのカワウソがいない自然は冠を失い、自立しているとは言えない。復元は考えていくべきことで、知床が議論の発信地となってほしい」と期待する。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/science/science/1-0222359.html
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