日刊スポーツ[2024年8月26日5時0分]
映画「ルックバック」公開記念舞台あいさつを行った吉田美月喜(2024年8月撮影)
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
この夏話題となった映画「ルックバック」(押山清高監督)で初声優を務めた女優の吉田美月喜(21)を取材する機会に恵まれた。記者側の1つ1つの問いかけに対し、熱を持って答えてくれる姿が印象的だった。
同作は、東北の田舎町に住む小学4年生の藤野(河合優実)と不登校の同級生京本(吉田)が漫画を通じて出会い成長していく青春物語。京本役はオーディションで勝ち取った。声優業に興味を持ったのは、コロナ禍でのアニメ鑑賞がきっかけになった。それまで、ほとんどアニメを見たことはなく「自粛期間にはやった『鬼滅の刃』を見て、アニメって面白いんだなって思いました」と日々に楽しみが生まれた。「そのあと『東京喰種トーキョーグール』を見たんですけど、両作品で主人公を演じている花江夏樹さんが作品によって全然ちがっていて」と、声のみで性格や年齢も異なるキャラクターを表現する声優の技術は衝撃だった。「これ同じ人がやっているの!? って驚いて。まずそこで声優に興味を持ったというのがありますね」。役者と声優。畑は違うが、同じ表現者として刺激を受けた。
以来、声優オーディションでは不合格を経験しながらも何度もトライ。同作の押山監督に「地声にひきこもりの要素がある」と見いだされ、今回の大役を得た。初のアフレコは「想像以上に難しかったです。自分が思う声を出そうと思っていると体が動いてしまったり、力んでしまったり」と回想する。役者業を軸とするからこそ、生きたこともある。「表情から声を想像するというのは演技と似ているというか、演技をやっていて分かるとことかなと感じました。(劇中の)絵から、私だったらこういう声をしているだろうな、京本ならこういう声を出しているかな、って想像できたのは生きたのかなと思います」と応用。経験値を重ねた。
役者としてはこれまでにTBS系「ドラゴン桜」など王道学園モノへ出演したほか、主演映画「カムイのうた」ではアイヌ文化伝承者の女性を演じるなど硬派な作品も経験。現在は「今後のために」とボイストレーニングで歌の練習を積んでいるという。
「ルックバック」は6月28日の公開から動員97万人、興行収入16億円を突破。国内外で高い評価を受けており、吉田にとってより弾みを付けるステップアップ。今以上に活動の幅を広げた姿を早く見てみたい。【望月千草】
◆吉田美月喜(よしだ・みづき)2003年(平15)3月10日生まれ、東京都出身。17年にスカウトされ、芸能界入り。19年映画「町田くんの世界」でスクリーンデビュー。20年日本テレビ系「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」で連ドラ初出演。24年TBS系「マイストロベリーフィルム」で地上波連ドラ初主演。ほか、21年TBS系「ドラゴン桜」23年映画「あつい胸さわぎ」で常盤貴子とダブル主演。同年映画「カムイのうた」でも主演を務めた。162センチ。
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