ふたまん+ 2024.5/29
映画『ゴールデンカムイ』(C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
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原作の再現度の高さが注目される“実写化作品”だが、なかには原作通りのシチュエーションを再現するため、過酷な現場での撮影を余儀なくされた作品も存在している。原作再現の裏に隠された、驚きの撮影秘話について見ていこう。
■耳の“つらら”はまさかの天然もの!? 『ゴールデンカムイ』
2014年から『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて連載された野田サトルさんの『ゴールデンカムイ』は、明治末期の北海道を舞台にアイヌが隠した金塊をめぐり、登場人物たちが熾烈な争奪戦を繰り広げるサバイバルバトル漫画である。
手に汗握るバトルシーンやとにかく“濃い”個性を持つキャラクターたち、そして時折挟み込まれるアイヌ文化の豆知識やグルメシーンが話題を呼び、瞬く間に人気を博した。
そんな本作は2024年に俳優の山﨑賢人さん主演による実写版映画が公開されているのだが、非常に高い再現度を誇る一方、実は撮影が難航した場面も多かったという。
とくに出演陣がインタビューなどで多く口にしていたのは、撮影時の圧倒的な“寒さ”について。原作の舞台が北海道であることから、俳優陣もある程度は覚悟していたという。しかし、実際に味わう現地の寒さには、かなり苦心していたようだ。
なにせ、撮影時の気温は容易に氷点下に達し、なんと耳などに“つらら”ができてしまったほど。このつららは作中そのまま披露されているのだが、CGではなく自然によって作り出されたものだったことに驚かされてしまう。
また、衣装の材質によっては寒さで凍結してしまうこともあり、体にくっつかないよう緩衝材を挟み込んで撮影するなど、細かな配慮が必要だったという。
なにより壮絶なのは、この極寒の状況でもなお俳優陣は激しいアクションをこなし、数々の名台詞を叫ばなければいけないことだろう。急激な体力の消耗もさることながら、呼吸がうまくできない状態での演技はとにかく過酷だったようだ。
数々の“極寒”エピソードが披露された本作だが、それゆえに原作そのものともいえる再現度を誇り、高い評価を受けている。氷点下の世界で奮闘する俳優陣の熱演の数々を、ぜひご自身の目で確認してみてほしい。
■暑さと砂埃が舞う漢たちの“決戦”の場…『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』
2017年より『週刊少年マガジン』(講談社)にて連載された和久井健さんの『東京卍リベンジャーズ』は、“タイムリープ”の力に目覚めた主人公・花垣武道が愛する人を救うため、過去に戻り不良たちのなかで“成り上がり”を目指し奮闘する青春バトル漫画だ。
ヤンキー漫画にSF要素を加えた斬新な設定が話題を呼び、2024年4月時点で世界累計8000万部を突破するなど、凄まじい人気を誇る作品となっている。
その高い人気から2021年、2023年と実写版映画が公開されているのだが、なかでも『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』のなかに登場したとあるシーンの再現には、演者をはじめスタッフたちも過酷な撮影を余儀なくされたという。
そのシーンとは、映画のなかでもとくに盛り上がりを見せる、東京卍曾VS芭流覇羅の“決戦”の場面だ。主要キャラクターをはじめ、各勢力が入り乱れての大乱闘が展開されるのだが、この舞台となっているのが原作を忠実に再現した“廃車場”のセット。群馬県の廃工場を映画のために作り替えた特注セットとなっており、スクラップ車150台が設置された姿はまさに圧巻の一言である。
ここで総勢約200名が殴り合いを繰り広げるのだが、まず問題となったのは“暑さ”だった。上に行けば行くほど気温が高く、積み上がった車の上は体感でも40度以上だったという。
また、乱闘時に砂埃が舞うことから、スタッフたちも防塵マスクを着用して撮影に臨むなど、キャスト以外の面々にとっても過酷な撮影環境だったようだ。
暑さと砂埃に包まれた廃車場で繰り広げられる漢たちの壮絶な殴り合いは、まさに“決戦”と呼ぶにふさわしい名シーンとなっている。
■水中での体当たりな演技にあの漫画家も大苦戦…『岸辺露伴は動かない』
1986年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が始まった荒木飛呂彦さんの『ジョジョの奇妙な冒険』は、特殊能力を用いたバトルとホラー、サスペンスの要素を組み合わせた大人気バトル漫画だ。
今もなお時代や舞台を変え連載が続いている作品だが、第4部に登場する漫画家・岸辺露伴を主人公にした短編シリーズ『岸辺露伴は動かない』が実写ドラマ化され、その再現度の高さや卓越したシナリオがファンをうならせている。
2024年5月に放送された最新エピソード「密漁海岸」。本作では、今回は伝説のアワビを求め、夜の海に“密漁”に赴く露伴の姿が描かれることとなった。
原作でも高い人気を誇るエピソードだったことに加え、『ジョジョ』第4部に登場するイタリア人のシェフ、トニオ・トラサルディーも登場するとあって、公開前からファンの間でも期待が寄せられていた。
密漁……というキーワードが指し示す通り、本作では海中でのシーンがかなり多く、ドラマ版では海岸と特設プールを活用し撮影がおこなわれた。
水中深く潜り、潜水状態で演技をしたあとに浮上する場面があるなど、今までの『岸辺露伴』シリーズとはひと味違うこの撮影現場。主演である高橋一生さんもかなり苦心したらしく、繰り返す潜水と浮上のため、ときには息ができなくなり気を失いかけてしまったこともあったのだとか。
岸辺露伴の担当編集・泉京香役の飯豊まりえさんはこの撮影をはたから見ていたそうだが、高橋さんの身体能力の高さや、撮影スタッフのチームワークに圧倒されたことを明かしている。
終始、水の存在に苦労させられた撮影現場だったようだが、それによって臨場感や芸術的とも呼べる独特のカットが完成した。俳優陣が体当たりで挑み再現した“奇妙”なエピソードは、原作ファン必見の出来となっている。
極寒の地で、熱波と砂埃にまみれながら、水中で……など、漫画原作の実写作品には、俳優陣やスタッフまでもたじろがせてしまう過酷な撮影環境がしばしば登場する。その過酷さを乗り越え描かれる“再現度”の高さに、原作ファンも思わず納得してしまうことだろう。
https://www.msn.com/ja-jp/news/entertainment/なんと-耳のつらら-は本物だった-実写化作品の-あまりにも過酷-な撮影現場のエピソード/ar-BB1ne8dU?ocid=BingNewsSearch