先住民族関連ニュース

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北海道のアイヌ団体 漁業を規制しないよう求める 豪国際シンポ

2024-05-26 | アイヌ民族関連

NHK2024年5月25日 18時21分

「先住民の漁業」をテーマにした国際シンポジウムがオーストラリアで開かれ、北海道のアイヌの団体の一つが「先祖と同じように川でサケをとって生きていきたい」と訴え、法律などで漁業を規制しないよう求めました。

漁業権を持たずに川でサケ漁を行うことは水産資源保護法などで禁じられていますが、北海道浦幌町のアイヌの団体「ラポロアイヌネイション」は、地元の川でサケをとることは先住民の権利、先住権によって認められるとして、法律などで規制されないことを求めています。

団体は25日、オーストラリア南東部キオロアで、日本や台湾など、5つの国と地域の先住民が集まるシンポジウムに参加しました。

この中で、先住民として川でサケをとる権利を求めて全国で初めて裁判を起こし、札幌地方裁判所が先月、訴えを退けたことから控訴したことを紹介しました。

団体の長根弘喜さんは「先祖と同じように川でサケをとってアイヌとしての誇りを持って生きていきたい」と訴えました。
このほか、会場ではオーストラリアのアボリジニの人たちが、魚介類の漁が種類によって規制されていることなどを報告しました。
シンポジウムを主催した地元のアボリジニの団体のウォーリー・スチュワートさんは「世界中の先住民が同じような状況に置かれていることがわかり、強いつながりを感じた。皆で団結し、いい成果が生まれることを期待する」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240525/k10014460631000.html


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「先住民の漁業」をテーマにオーストラリアで国際シンポジウム(動画)

2024-05-26 | アイヌ民族関連

NHK05月25日 19時13分

「先住民の漁業」をテーマにした国際シンポジウムがオーストラリアで開かれ、北海道のアイヌの団体のひとつが「先祖と同じように川でサケをとって生きていきたい」と訴え、漁業を規制しないよう求めました。
オーストラリア南東部キオロアで開かれているシンポジウムには、地元オーストラリアのほか日本や台湾など5つの国と地域の先住民が参加しました。
この中で北海道浦幌町のアイヌの団体「ラポロアイヌネイション」は、先住民として川でサケをとる権利を求めて全国で初めて裁判を起こしたことや、札幌地方裁判所が先月、訴えを退ける判決を言い渡したことを紹介しました。
メンバーの長根弘喜さんは「先祖と同じように川でサケをとってアイヌとしての誇りを持って生きていきたい」と訴え、漁業を規制しないよう求めました。
このほか会場では、オーストラリアのアボリジニの人たちが、魚介類の漁が種類によって規制されていることなどを報告しました。
シンポジウムを主催した地元のアボリジニの団体のウォーリー・スチュワートさんは「世界中の先住民が同じような状況に置かれていることがわかり、強いつながりを感じた。皆で団結し、いい成果が生まれることを期待する」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20240525/7000067223.html


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特許出願で起源明示義務 先住民知財保護、WIPO

2024-05-26 | 先住民族関連

共同通信2024/05/25

 【ジュネーブ共同】世界知的所有権機関(WIPO)は24日、企業が新製品の開発で先住民の伝統知識や動植物の遺伝資源を使用した場合、特許出願時に起源を明示させる条約に加盟国が合意したと発表した。AP通信によると、南米アンデス山脈に生息する植物に由来する新薬の発明といったケースを想定。植民地の入植者に搾取されてきた先住民の知的財産を保護する目的がある。

 対象は医薬品だけでなく、化粧品や衣料品にも及ぶ。WIPOによると、30以上の国が既に同様の法律を整備している。

 日本は2017年5月、利益を提供国に適切に分配するルールを定めた「名古屋議定書」を批准している。

https://nordot.app/1167040899400532936?c=302675738515047521


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輪になり心つなぐ「鶴の舞」 道内4団体が伝統舞踊「サロルンリムセ」

2024-05-26 | アイヌ民族関連

十勝毎日 2024/05/25 14:18

「鶴の舞」を踊る来場者(金野和彦撮影)

 【音更】道内各地に伝わるアイヌ伝統舞踊を通して、アイヌ文化を発信する「第6回十勝川サロルンリムセ」(実行委員会主催)が18日、音更町の十勝川温泉アクアパークで開かれた。「サロルンリムセ」は鶴の舞...

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https://kachimai.jp/article/index.php?no=609526


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6月から「ウニ」が旬! 札幌&小樽からも近い「神威岬」積丹ブルーの絶景「現地レポ」

2024-05-26 | アイヌ民族関連

BRAVO MOUNTAIN 2024/05/25

昔は女人禁制の地となっていた神威岬(撮影:桃井ふわわ)

© BRAVO MOUNTAIN

日本海側に位置する、北海道積丹半島の神威岬(かむいみさき)。札幌から車で2時間、小樽から1時間半ほどで行ける人気スポットだ。

「積丹ブルー」と呼ばれる青く透き通った美しい海を眺めながら、岬の先端まで散策できる。また、積丹はウニの産地としても知られており、漁の解禁時期となるのは6月から8月で、まさにこれからが絶好の時期だ。

■遊歩道から見える絶景と、意外と険しい道のり

神威岬の遊歩道「チャレンカの小道」は、片道徒歩20分ほど。美しい青い海を見ながら歩ける。

短い距離だが、アップダウンが激しく、運動不足の筆者はかなり疲れた。訪れる際はスニーカーのような歩きやすい靴が望ましい。また、岬は風が強いので、帽子が飛ばされないようにあごひも付きのものを選ぶなど、対策をして歩くことをおすすめする。先端まで行かなくても十分に絶景を味わえるので、体力に自信のない方は途中で引き返してもよいだろう。

■女人禁制の言い伝えが残る「神威岬」

岬の入口に「女人禁制の地 神威岬」と書かれた門がある。現在は誰でも自由に通れるが、かつて女性は入れなかった。その云われとなる伝説がある。

源義経に思いを寄せるアイヌの娘チャレンカは、本土に旅立つ義経を追いかけるが、義経を乗せた船は沖の彼方へ。悲しみに暮れたチャレンカは、恨みの言葉を残し海に身を投げてしまう。悲しみと恨みを抱いたチャレンカの体は神威岩となり、それ以来、その周辺に女性を乗せた船が近づくと転覆したことから、チャレンカの怒りに触れるとされ、女人禁制の地になったそうだ。

女人禁制が解かれたのは1855年。今は安心して通れるが、悪天候や強風の日は閉門し、女性のみならず誰もが入れなくなるので要注意。

■積丹半島のもうひとつの魅力「ウニ丼」

積丹ブルーを見に行ったら、欠かせないのが名物のウニ丼だ。ウニの漁獲量が日本一を誇る北海道。積丹半島では6月上旬~8月まで漁が解禁され、新鮮でおいしい生ウニが食べられる。

赤みが強い「バフンウニ」と、クリーム色の「ムラサキウニ」があり、積丹半島で獲れるのは8割以上がムラサキウニ。漁獲量が少ないバフンウニは高価で、漁の状況によって価格が変動する。筆者が訪れたときは、バフンウニ丼は8,000円(税込)でムラサキウニ丼が3,000円(税込)。最初は高いと思ったが、食べてみるとその価値がわかった。

バフンウニは濃厚でクリーミーな味わい、比べてムラサキウニはもう少しさっぱりした印象。どちらもまったく臭みがなく、新鮮さがうかがえる。今まで食べたウニの中でダントツ1位のおいしさだった。感動のあまり、しばらくは他のウニを食べたくないと思ったほどだ。

神威岬のそばにはウニ丼のお店がたくさんあるので、積丹ブルーの感動とともにウニ丼も味わってほしい。

■札幌から神威岬へのアクセス

札幌から神威岬までのアクセス方法は車、または電車とバスを乗り継ぐ2通り。

車の場合は、余市ICまで高速道路を使い2時間前後で神威岬まで行ける。電車バスの場合、JR函館本線の小樽駅で降り、小樽市内から中央バスに乗り美国で降車。そこから神威岬まで積丹町生活交通バスを利用するルートとなる。乗り継ぎによっては片道3~4時間ほどかかる。

また、積丹町生活交通バスは前日までに予約が必要な便もあるので、レンタカーを借りて車で訪れるのをおすすめしたい。神威岬ゲートはその月によって開閉時間が違うので、確認が必要。悪天候の日は閉門されるため、要注意だ。

札幌から行くならば、レンタカーで7時ごろに出発し、神威岬で積丹ブルーを見てからお昼にウニ丼を食べるプランがおすすめ。観光名所の小樽や余市に寄り道して札幌に戻るのも楽しいだろう。

ちなみに筆者が神威岬に訪れたときのプランは、小樽で1泊し、翌日にレンタカーで神威岬に向かうコースだ。初日、新千歳空港に到着後レンタカーを借りて小樽に移動。小樽運河の夜景を楽しんだり、天狗山シマリス公園を散策して、翌朝8時ごろ神威岬に向け出発。小樽からだと高速道路を利用して1時間半で行けるので、小樽も楽しみたい人はこのプランもぜひ試してみては。

ぜひ神威岬まで足を延ばし、「積丹ブルー」と「生ウニ」をぜひ堪能してほしい。

⚫️神威岬

住所:〒046-0321 神岬町

https://www.msn.com/ja-jp/travel/news/6月から-ウニ-が旬-札幌-小樽からも近い-神威岬-積丹ブルーの絶景-現地レポ/ar-BB1n15FJ?ocid=BingNewsSearch


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青森へアート旅! 『AOMORI GOKAN アートフェス2024』とは?

2024-05-26 | アイヌ民族関連

madameFIGARO.jp 2024/05/25

青森県内の5つの美術館・アートセンター(青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)が連携した『AOMORI GOKAN アートフェス2024』が、4月13日から9月1日まで開催されている。

訪れることで何かと出合い、何かが起きる「はらっぱ」。5つの美術館・アートセンターを「はらっぱ」に見立て、各館のキュレーターが協働し、合計約50名の作家が参加する展覧会やプロジェクトなど、オリジナルなプログラムを展開している。本アートフェスのための新作も少なくない。

エディターはゴールデンウィークどう過ごす?

フェス全体を統括するアートディレクターによらず、地域に根ざした館の活動をゆるやかに繋げる取り組みは、国内ではこれまでにない新たな形を提案するアートフェスとしてユニークだ。5館の見どころをピックアップ!

「はらっぱ」を散策するようにアートと巡り合う。【青森県立美術館】

青森県立美術館を設計した青木淳は、今回、りんご箱のオブジェを制作すると、館の内外に展示。オブジェは展示室への案内板として機能している。

展示室だけでなく、普段展示しないエリアやコミュニティホールなどを「はらっぱ」に見立て、美術館を巡り歩きながらアートを楽しめるのが、青森県立美術館の「かさなりとまじわり」。青木淳によるりんご箱のオブジェに誘われながら館内を進むと、エントランスでは井田大介の『Synoptes』が来場者を複数の動く瞳によってお出迎え。コミュニティギャラリーでは幼少期に青森に住んでいた原口典之をはじめ、三戸の現代版画研究所の立ち上げに尽力した吉田克朗らの作品が展示されている。

「かさなりとまじわり」展示風景より、青秀祐『Ghost Lightning Kai』(2017/2024年)。航空自衛隊に導入された戦闘機「F35-A ライトニング」を1/1サイズで布地に絵具でペイントしている。

西側の屋外スペースに立つ常設展示作品、奈良美智の『あおもり犬』(2005年)。2024年も4月23日から屋外連絡通路が開通(雪が降るまで)し、近くに寄って鑑賞できる。また南側トレンチに位置する「八角堂」の『Miss Forest/森の子』もお見逃しなく。

三沢基地に配備された戦闘機をモチーフにした青秀祐の『Ghost Lightning Kai』にもあっと驚くが、青森にゆかりのあるアーティストだけでなく、異なるコンセプトによる作品により建築とアートが交わるのもおもしろい。青森県立美術館は、同県出身の奈良美智や棟方志功の作品や、シャガールのバレエ「アレコ」舞台背景画といったコレクションも充実! 奈良美智の『あおもり犬』は青森の代表するシンボリックなアートと言える。青森でしか見られない作品を目に焼きつけよう。

森の中で楽しむ大規模なインスタレーション!【青森公立大学 国際芸術センター青森】

「currents/undercurrents -いま、めくるめく流れは出会って」展示風景より、岩根愛『The Opening』(2024年) 舞台は八戸とほぼ同緯度に位置するカリフォルニア北部ペトロリアのマトール川。川と海がぶつかる様子をドローンで撮影している。

青森市中心部からバスで約40分。八甲田山麓の森の中に建つ青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)では、創作棟や宿泊棟を備えたアートセンターとしての特性を活かし、滞在制作と展覧会プログラムが前後期に分けて行われている。メインヴィジュアルを飾る岩根愛の『The Opening』は、高校時代に住んでいたカルフォルニアの秘境を舞台にした写真と映像からなるインスタレーション。年に一度、川が海に決壊し、渦を巻くダイナミックな光景に圧倒される。

「currents/undercurrents-いま、めくるめく流れは出会って」展示風景より、青野文昭『戦う英雄たち-SACRIFICE 2024』(2024年)今回の制作のために青森市内から箪笥を中心とした不用品を集めた青野。中から出てきた日記帳や古新聞、写真なども作品の素材として利用している。

捨てられた家具などを「なおす」手法で作品を制作する青野文昭は、輿入れ(嫁入り)する時に使われた古い長持(衣類や寝具の収納に使用された長方形の木箱)など、集まってきた不用品をもとに、中央(現代であれば東京など)から支配されてきたと考え得る東北の歴史を考察。行き場の失った古い箪笥を積み上げながら、核処理施設や基地の置かれたいまの状況などを、土地の人々の暮らしに目を向けつつ複合的に表現している。このほか3つの海に囲まれた青森の地誌を鯨類を通して紐解き、古くから漁業を営む人たちの信仰と近代捕鯨の関係などを問い直した、昰恒さくらのクジラを模したテキスタイルの神秘的な姿にも心を奪われる。

「currents/undercurrents-いま、めくるめく流れは出会って」展示風景より、昰恒さくら『双子鯨の夢を見たら』(2024年)青森県内で集められた着物やハギレを解き、裂いて、重ね、また染め直して作られたテキスタイル。16メートルの鯨の胴体と頭部を象っている。

「currents/undercurrents-いま、めくるめく流れは出会って」展示風景より、光岡幸一の作品。東京を拠点に活動する光岡は、最近、津軽民謡を習いはじめ、青森を立体的に感じられるようになったという。水の循環が時間の流れを表すかのようだ。

水のテラスでは光岡幸一の可動する巨大な彫刻が物凄い音を轟かせながら水飛沫をあげている。ACACでは野外彫刻が約20点も常時公開中! 森のきれいな空気を感じながら散策し、作品を見て歩くのもおすすめ。

弘前と青森の地に向き合ったアーティストたちの競演。【弘前れんが倉庫美術館】

「蜷川実花展 with EiM:儚(はかな)くも煌(きら)めく境界 Where Humanity Meets Nature」展示風景より、「弘前の春」。弘前公園の桜の写真で構成された展示。蜷川は弘前を訪ねる年や天候の違いだけでなく、数日の短い間にも刻一刻と変化する桜の一瞬の姿を写真で掴み取っている。

約100年前の酒造工場をリノベーションした弘前れんが倉庫美術館では、写真家で映画監督の蜷川実花が、クリエイティブチーム・EiM(エイム)と協働した個展を開いている。手付かずの自然ではなく、花壇など人の手によって守られてきた四季の花々を写してきた蜷川。花の中でも桜はスペシャルな存在だと語り、全国有数の名所である弘前の桜に魅せられ、2022年より桜の開花に合わせて撮影を行っている。弘前公園のお堀に花筏ができる様子を、昼や夜など時間をかえて捉えた写真もはかなくて美しい。

高さ15mの展示室に展開した立体と映像の大型インスタレーション『Sanctuary of Blossoms』は全身で没入したい。咲き誇る花々や枯れてゆく花々がひとつの生命体のように融合した立体を中心に、四季や一日の光の変化などを表現した映像を投影。それがコールタールの塗られた黒い壁へ反映して空間全体をきらめかせている。

「蜷川実花展 with EiM:儚(はかな)くも煌(きら)めく境界 Where Humanity Meets Nature」展示風景より『Sanctuary of Blossoms』。歴史ある煉瓦倉庫の空間と共鳴するようなインスタレーション。外から見るのと内側に入るのではかなり印象が異なるので、出入りしながら楽しもう。

白神山地をテーマにした「弘前エクスチェンジ#06『白神覗見考(しらかみのぞきみこう)』」も見ておきたいプロジェクトのひとつ。狩野は白神山地が世界自然遺産となったことで人や動物にどんな変化が生まれたのかをリサーチし、津軽のりんご畑で伐採した老木や改修前の美術館に残されていたパーツなどを用いて立体作品を制作している。屋外にも展開する狩野の作品は、レトロな中央弘前駅構内の「ギャラリーまんなか」でも公開中だ。ほか、カフェやゲストハウスを併設した複合施設「HIROSAKI ORANDO」でも展示。美術館のすぐ近くなので足を延ばしたい。

「弘前エクスチェンジ#06『白神覗見考』」展示風景から、狩野哲郎『あいまいな地図、明確なテリトリー』(2024年) 2011年には狩猟免許も取得した狩野。作品制作に際して鳥獣保護区などの位置図を参照したり、動物と人間の共生を研究する関係者や、林野に携わる人々へインタビューを行っている。

アートの家で見つめ直したい自然と人間の関係性。【十和田市現代美術館】

「野良になる」展示風景より、䑓原蓉子『大湊線』(2024年)。本展のための新作を描くにあたって、奥入瀬渓流や恐山、六ヶ所村などを訪ねた䑓原。目にした風景を鉛筆やiPadでドローイングにし、羊毛のテキスタイルへ変換して作品を生み出している。

大小の展示室がガラスの通路で繋がれ、アートの家を歩くような構造で知られる十和田市現代美術館では、主に人間と自然の関係性を捉え直す若手アーティストを紹介する「野良になる」を開催している。

10代の時に祖母から編み物を教えてもらい、独学でテキスタイルを制作する䑓原蓉子は、青森の景色を含めた日々の暮らしで感じたイメージについてウールを用いて表現。雨が降っていれば湿気を吸い込むなど、ウールは環境に合わせて変化する素材だという。また植物や音、香りなどで構成されたアナイス・カレニンのインスタレーションも五感で受けとめたい。秋田や青森の地に滞在し、アイヌの人々の歴史に関してリサーチを行ったアナイス・カレニンは、中庭にアイヌがともに生きていた東北の植物を植え、植物のアイヌ語名から作曲した音の響く作品を展開している。

青森へアート旅! 『AOMORI GOKAN アートフェス2024』とは?

© madameFIGARO.jp

「野良になる」展示風景より、アナイス・カレニン『植物であったことはない』(2024年)。人間による植物の管理と植民地化の歴史との関係に関心を持つアナイス・カレニン。実際に東北の森を訪れると「神聖な気持ちになった」とし、「森が語るストーリーに耳を傾けないといけない」と語る。

レアンドロ・エルリッヒやロン・ミュエク、塩田千春らの世界的アーティストの作品が、1部屋1作品という贅沢な空間で楽しめる十和田市現代美術館。さらにアート広場に点在する草間彌生やエルヴィン・ヴルムの作品や、街中の建物を活かした目[mé]による作品も必見だ。

十和田市現代美術館常設展示より、ロン・ミュエク『スタンディング・ウーマン』。高さ4メートル。血管や髪の毛1本1本まで人体が精巧に再現されている。

「ジャイアントルーム」を舞台に展示内容が変化!【八戸市美術館】

可動式のカーテンや棚が備えられた吹き抜けの「ジャイアントルーム」。漆畑幸男の作品が展示されている。会期中、この体育館のように広いスペースにてさまざまなイベントが行われ、展示内容も変化していく。

巨大な空間「ジャイアントルーム」を会場とする八戸市美術館では、八戸に在住する5人のアーティストが、館のコンセプト「出会いと学びのアートファーム」を体現するプロジェクトを展開している。八戸の取り組みはアートフェスの中でも特にユニーク! なぜなら5名のアーティストが同じスペースで同一の作品を展示するのではなく、約5ヶ月の間、まさに「はらっぱ」を行き交う人のように入れ替わりながら制作を行っているから。

「エンジョイ!アートファーム!!」展示風景より、東方悠平『自由な像、不自由なバナナ』。ベトナムで出合った野生のバナナを新たな文化へと繋がる「扉」、そしてかつての植民地時代のハノイに存在し、現在は八戸の隣町のおいらせ町にある「自由の女神像」(植民地時代のベトナムのハノイにもあったそう)を地域とベトナムを繋ぐ「鍵」として捉え、多様な世界のあり方を可視化するプロジェクトを展開している。なお野生のバナナは種が多く食べられないものの、現地の少数民族がお酒にして飲んでいるという。

東南アジアに長期滞在した経験のある東方悠平は、ベトナムで見つけた野生のバナナを手がかりに、来場者と「自由」についてコミュニケーションをとりながら、ジャイアントルームに現代版の「自由の女神」を建設するプロジェクトを展開している。また女子高生を主題とした木板画を創作するイラストレーターのしばやまいぬは、自らの絵の中の創作世界を現実に立ち上げようと「くにゅぎの森」を作り上げる。どんどん変化していく「ジャイアントルーム」。いまは種を撒いている段階というが、夏にかけて大きく森が育っていく光景を想像するだけでも楽しい。

安藤忠雄の設計による青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)。建物を森に埋没される「見えない建築」をテーマとしている。円形の屋外ステージを備えた馬蹄型の展示棟がユニーク。

三内丸山遺跡に隣接する青森県立美術館。青木淳の設計によるトレンチとホワイトキューブからなる建築が特徴。

歴史・風土的に津軽、南部、下北と大きく3つに分けられる青森県は、各地域で文化圏や都市機能が異なるなど多様性に満ちあふれた県。青森市、弘前市、八戸市、十和田市に点在する5館も、現代美術を中心とした展示を行いながら、それぞれに独自の活動を行っている。また本アートフェスの後半の8月から最終日にかけては、原子炉の形状をした構造物に薬草の香りを帯びた蒸気を発生させ、中に入って熱気と植物のエネルギーを全身で感じられる栗林隆の『元気炉』が開催館を巡回する。(日程の詳細は公式WEBサイトを参照)

緑が深くなり、多くのお祭りも控え、青森が最も活気付く季節、いまこそ「はらっぱ」に出かけて、青森のアートと各地域の持つ魅力を感じたい。

『AOMORI GOKAN アートフェス 2024「つらなりのはらっぱ」』

会期:開催中~9/1(日)

会場:青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館

https://aomori-artsfest.com

editing: Harold

https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/青森へアート旅-aomori-gokan-アートフェス2024-とは/ar-BB1n0Od5?ocid=BingNewsSearch


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ケルト人文化学ぶ 来月2日、福岡でフェス /佐賀

2024-05-26 | 先住民族関連

毎日新聞2024/5/26 地方版 有料記事533文字

 古代欧州の先住民族・ケルト人の文化やアイルランドについて学ぶ「日本ケルト協会」(福岡市)が、今年で発足30周年を迎えた。12月にかけて記念イベントを企画している。

 30周年記念の一環として6月2日午後2時から、福岡市中央区舞鶴2の市健康づくりサポートセンターで「ケルト・アイルランドフェスティバル㏌福岡」を開く。民話「お話を知らなかった若者」などの語りや歌、アイリッシュハープとバンド「Tabula Rasa」の演奏がある。入場料は一般前売り3500円(当日300円増)、高校生以下1500円(当日のみ)。

 また6月23日午後2時からは、同区のアクロス福岡でアイルランドの詩人、イェイツの研究者、早稲田大の栩木(とちぎ)伸明教授によるセミナー(無料)を開催。・・・・・・

・・・・・

 問い合わせは日本ケルト協会事務局(092・574・0331)。【山崎あずさ】

https://mainichi.jp/articles/20240526/ddl/k41/040/175000c


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沈没船に財宝か=数兆円規模、政府が調査開始―コロンビア

2024-05-26 | 先住民族関連

時事通信2024/05/25

南米コロンビア沖のカリブ海で沈没したスペイン海軍の帆船「サンホセ号」(2022年6月、コロンビア大統領府の提供映像より)(AFP時事)

© 時事通信 提供

 【サンパウロ時事】南米コロンビア政府は、同国沖のカリブ海で3世紀前に沈没した帆船の調査を開始した。船には金貨など数兆円規模の財宝が積まれているとみられ、「宝探し」によって実際に見つかるのか関心が集まっている。

 船は当時南米を支配していたスペイン王国が所有していた海軍の「サンホセ号」で、全長40メートル。1708年に英艦隊の攻撃で沈没した。金貨やエメラルドなど現在価値で200億ドル(約3兆1400億円)を超える財宝を積んでいたという試算もある。世界の「トレジャーハンター」が長年探し求めたが、コロンビア政府が2015年、水深600メートルの深海の底に沈んでいることを突き止めた。

 同国政府は今月22日、調査の第1段階として遠隔地からセンサーを使うなどして、科学的な探査を行うと発表。船に関する状況を詳しく把握する方針だ。財宝が見つかれば、将来的に海中から引き揚げるとみられる。

 同時に、船が沈む海域を「考古学保護区」に指定すると宣言。船を国の歴史を知る上で重要な史料と位置付け、文化遺産としてアピールする狙いがある。AFP通信によると、コレア文化相は「これは宝物ではない。そのようには扱わない」と語った。

 沈没船を巡ってはスペイン政府のほか、財宝が先祖から奪われたものだとしてボリビアの先住民も権利を主張。米国の会社は1980年代にコロンビア政府から取り付けた承認などを理由に、約100億ドル分の権利があるとして、22年12月に常設仲裁裁判所に提訴した。 

関連するビデオ: 18世紀に沈没した船の財宝は誰のもの?南米の先住民族が権利争いに名乗り(字幕・11日) (Reuters)

https://www.msn.com/ja-jp/news/world/沈没船に財宝か-数兆円規模-政府が調査開始-コロンビア/ar-BB1n2jx3?ocid=BingNewsSearch


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JICAと毎日新聞 熱帯林保全シンポを共催 3カ国の担当者ら約120人参加

2024-05-26 | 先住民族関連

文化通信2024年5月25日

国際協力機構(JICA)と毎日新聞社が開催したシンポジウム「地球の肺を守ろう」でのパネルディスカッション=東京都新宿区で2024年5月20日、毎日新聞社撮影

   毎日新聞社と国際協力機構(JICA)は5月20日に、熱帯林の保全策を議論するシンポジウム「地球の肺を守ろう」(外務省、林野庁など後援、住友林業など協賛)を東京都内で開催した。赤道付近の広大な熱帯林は、地球温暖化の原因となる二…続き、

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https://www.bunkanews.jp/article/381035/


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ウイルス学者が警鐘、温暖化で解けゆく永久凍土から目覚めた「未知のウイルス」がもたらす脅威

2024-05-26 | 先住民族関連

クーリエジャパン5/25(土) 11:00

フランスのエクス・マルセイユ大学の名誉教授で、ウイルス学者のジャン・ミシェル・クラブリーは10年ほど前に、1グラムの永久凍土(凍結状態が複数年継続する北極圏の土壌)を解かして3万年前のウイルスを復活させ、アメーバに感染させることに成功した。

【画像】ウイルス学者が警鐘、温暖化で解けゆく永久凍土から目覚めた「未知のウイルス」がもたらす脅威

そして最近の研究では、シベリアの7地点で採取した、最も古いものでは4万8500年前までさかのぼる永久凍土のサンプルから、「ゾンビウイルス」とも呼ばれる5グループのウイルスを新たに発見した。

気候変動が進むなか、北極圏では気温上昇が他の地域よりも急速に進んでいる。そのためクラブリーは、こうした種類の発見を珍しい科学の話題ではなく、「永久凍土のウイルスがもたらす公衆衛生上の脅威」として扱うべきときが来たと考えている。スペイン紙エル・パイスが、彼に話を聞いた。

リスクをもたらす「三つの要素」

──永久凍土からウイルスが現れてパンデミックを引き起こすというのは、恐ろしい考えですが、信じがたい気もします。

きちんと研究して、リスクを理解し、それを最小限にとどめる対策をする必要があります。重要な点は三つあります。一つ目は、永久凍土には未知のウイルスが眠っていること。二つ目は、気温の上昇によって永久凍土の融解が進んでいること。そして三つ目は、北極圏での人の移動が増えつつあることです。

──何かが起こる可能性が高まっているんですね?

そうです。そして思い出してほしいのは、アメリカ大陸に病原菌を持ったヨーロッパ人が来たとき、先住民がどうなったかということです。人類が未知の病原菌と遭遇すれば、人口が激減するような大惨事になりかねません。

──新型コロナウイルスのようなパンデミックですね。

それよりはるかにひどいことが起こります。たしかに、新型コロナウイルスは深刻な危機でしたが、コロナウイルス全般については、すでに多くのことがわかっています。これまでの何十年にもわたる研究があるので、きわめて迅速にワクチンを用意できました。

今回わかったのは、既知のウイルスの新しい型でも、非常に深刻なパンデミックが起こりうるということです。そして、そうした過去のウイルスが、いまも永久凍土の中に眠っている可能性があります。

しかし完全に未知のウイルスの場合には、ゼロから研究を始めなければなりません。ワクチン製造までには数年かかるでしょう。

「ウイルスは、ヒトを病気にせずとも大惨事を引き起こせる」

──未知のウイルスが存在するというのは本当ですか?

はい、すでに何種類か発見されています。

──どんな方法で?

私たちの研究チームは、永久凍土を少量解凍して、顕微鏡で観察しました。着目したのは、観察しやすい単細胞生物のアメーバの変化です。多くの場合、アメーバに変化はなく、そうなるとそのサンプルにウイルスはいないことになります。

しかしアメーバが死んだ場合もあって、そのサンプルには、アメーバを攻撃して増殖することに特化したウイルスが存在しているらしいとわかりました。私たちはそのウイルスを培養して、詳しく調べたのです。こうした方法をとったのは、安全のためです。

──安全のため、というと?

ウイルスが感染する相手は決まっていて、アメーバに感染するウイルスは他の生物を攻撃しません。私たち人間への危険はないのです。私たちが扱っていたのが、ヒトやヒトの祖先にあたる生物種の死体が凍ったものだったら、話は違っていたでしょう。

──なるほど、永久凍土には未知のウイルスがいるわけですね。ただ、永久凍土の融解は本当にリスクといえるのでしょうか? 永久凍土は北半球の面積の5分の1という広大な土地を占めていて、そこはほぼ無人の地域です。それに永久凍土の表層は毎年、融解と凍結を繰り返しています。ウイルスは太陽光や熱にさらされると、生き延びられません。

2016年に、シベリアで炭疽症の大流行が起こり、トナカイ牧畜を営むコミュニティに影響が出ました。炭疽症の原因は細菌ですが、これが病気の原因となる芽胞を作ります。そしてこの芽胞は、基本的にはウイルスとそれほど違いません。芽胞は、不活性な粒子の形で何百年あるいは何千年も凍結保存され、その後再活性化しました。

ウイルスも再活性化でき、必要なのはただ宿主を探すことだけです。そして、その宿主はヒトとは限りません。次のパンデミックは、この凍った北極圏の土壌、永久凍土から放出されたウイルスによって引き起こされる可能性があります。

──宿主がヒトとは限らないとは、どういう意味ですか?

永久凍土から放出されたウイルスが川に入り込んで、サケに感染したとします。ウイルスはそのサケを宿主とします。そして増殖して、その地域のサケを死滅させてしまいます。同じことがウシでも起こる可能性があります。人間の生活に不可欠な農作物でもありえます。ウイルスは、ヒトを病気にせずとも大惨事を引き起こせるのです。

永久凍土で起きている変化

──永久凍土には、人間に影響をおよぼすような未知のウイルスがいるのですね。ただ、永久凍土があるのは無人の土地です。

そうとも言えなくなってきています。気温が上昇すれば、居住可能な土地は北に広がっていくでしょう。さらに永久凍土のある地域は、ハイドロカーボンや金属、レアアースの埋蔵量がかなり豊富なので、採掘場が次々と開かれています。地下深くへと掘削が進み、ダストが舞い上がり、大量の土壌が搬出されつつあるのです。

──リスクを減らすにはどうすればよいでしょうか?

そうした採掘作業の従事者が重病になった場合、飛行機でモスクワに運ばれる可能性が最も高いですが、こうした対応は避けるべきです。現場で治療しなければなりません。つまり、充分な医療機器と患者の隔離スペースがあり、検疫手段が整備され、訓練を受けたスタッフがいる施設を用意するということです。

特に重要なのは、どんなに小さくとも、リスクがあるのだという認識を世間に広めることです。そして、地元住人との協力が大事になります。

──それはどうしてでしょうか?

永久凍土のある地域で何か妙なことが起こっているとまず気づくのは、そうした地域を日常的に移動している、地元の人々であることが多いからです。自然の変化や、いろいろな病気を目撃するのは彼らです。地元の人々に、そうした緊急事態を外部へ伝える必要性を理解してもらって、そのサポートをしなければなりません。

Oriol Güell

https://news.yahoo.co.jp/articles/add9dce486de7db11e84a4211a18fc1076257e2d


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あっと驚くエンディング! Netflix、U-NEXT、AppleTV+で今週見るべきおすすめ配信ドラマ

2024-05-26 | 先住民族関連

GQ 5/24(金) 20:31

左上から時計回りに:『私のトナカイちゃん』、『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』、『シュガー』の3作品をチェックする

最後まで読めないストーリー展開やどんでん返しがある配信ドラマ、Netflix『私のトナカイちゃん』、U-NEXT『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』、AppleTV+『シュガー』の3作品を紹介する。

3作品のあらすじとみどころを写真でチェックする

――『私のトナカイちゃん』――

 

■タイトルに騙されないで! しっかりダークなコメディ作品

 

主人公のドニーは売れないコメディアン。バブでバーテンダーとして働きながら生計を立てていたが、ある日マーサと名乗る女性が店を訪れる。お金がないから何もオーダーできないと泣くマーサに同情したドニーは、紅茶を無償で提供する。すると翌日からマーサは、ダイエットコークを一杯だけ頼み、料金も支払わず開店から閉店まで居座るようになる。自称弁護士のマーサは、ドニーを”トナカイちゃん”と名付け褒めちぎり、毎日何十通ものメールを送りつける。弁護士なのにお金がないという矛盾をおかしいと思いつつ褒められると突き放せないドニー。しかし、ついに毎日無償で飲み物を提供するのはおかしいと、代金を請求するとマーサは突如暴力的になり、店を出禁になってしまう。ドニーがインターネットで彼女のことを調べると、マーサにはストーカーの罪で逮捕歴があった。

■主人公を演じたリチャード・ガッドの実話を元にした

公開翌週にNetflix世界ランキングで1位を獲得し話題になったミニシリーズ。本作は主人公ドニーを演じた作家でコメディアンのリチャード・ガッドの実体験を元に作られた一人芝居をドラマ化したものだ。際限なく常軌を逸していくマーサは猟奇的で恐ろしいのだが、なんとも煮えきらないのがドニー。観ている方は早く警察に行って!とやきもきするも、コメディアンとしては泣かず飛ばず。お金もなく、彼女にも愛想を尽かされたドニーにとって自分を褒めてくれるのはマーサしかおらず、無下に警察に突き出すことができなかった。しかもドニーは心に大きなトラウマを抱えており、自分を愛することができなかったのだ。

マーサは狂気に満ちている一方でユーモラスでチャーミングな部分もある。彼女を演じたジェシカ・ガニングの演技は見事で、つい心を許してしまうドニーの気持ちも分からなくはない。中盤まではもしかして心を病んだストーカーと負け犬コメディアンが結ばれるラブストーリーなのか、と思わせるが、残念ながらそんな甘い物語ではない。

■落ちるところまで落ちた自己肯定感

物語中盤、ドニーのトラウマの原因が明かされる。それは許しがたく悲しい出来事で、それ以来ドニーは自分を大切にすることができなくなってしまった。そこに現れたのが怖いほど執拗に愛情表現をするマーサというわけだ。名声を得るために自分を犠牲にしたことに自己嫌悪の念を持ち続けるドニー。自身の性的嗜好を変えてしまうほどの壮絶な体験を乗り越えるために、ドニーは驚くべき行動に出る。鑑賞後もしばらくマーサの笑い声とドニーのトラウマが心にずしんと横たわり、考えを巡らせてしまう作品だ。

Netflixシリーズ『私のトナカイちゃん』独占配信中

――『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』――

■太陽が昇ることのない極夜に起きた失踪事件

舞台はアラスカ州エニス。12月末、極夜が始まった日を境に街の外れにある科学研究所に勤める学者たちが全員忽然と姿を消してしまう。地元警察署長のダンヴァーズと州警察官のナヴァロが事件の捜査にあたるが、この二人には過去に確執があり、捜査は一筋縄ではいかない。季節は極夜ゆえ、太陽が昇ることはない日が続く中、街の辺境に住む女性からの通報を受け駆けつけた警察官たちは、氷原で折り重なるようにして凍っていた科学者たちの遺体を見つける。しかも彼らは服を着ていなかった。一体彼らの身に何が起こったのか。溶けることのない氷の下に眠る呪われた真実が明らかになる。

■ジョディ・フォスターとカーリー・レイスの名演

シリーズ4作目となる本作は、前作の『トゥルー・ディテクティブ/猟奇犯罪捜査』から5年を経て待望のカムバックを遂げた。これまでのシリーズと同様、猟奇的な殺人事件を追う2人の刑事のバディもので、本作は初の女性コンビとなった。警察署長リズ・ダンヴァーズを演じるのが、ジョディ・フォスター。相棒のナヴァロ役は、俳優兼プロボクサーのカーリー・レイスが演じた。有能だが思いやりに欠け、継娘ともうまくいっていない白人のダンヴァーズ、母や友人の死を乗り越えられず、女性の不遇に対しての過度の思い入れをもつ先住民の血を引くナヴァロ。心が壊れてしまっているふたりは、まるで合わせ鏡のようでもあり磁石のS極とN極のようでもある。事件が解決に向かうにつれ、傷ついたふたりの心も再生していく。

■企業による環境汚染や資本主義への警笛

舞台となるエニスは実際にある街ではないが、アラスカ州最北端の地域、ノース・スロープ自治区をベースにしているという。極夜が始まった日に事件が起こるため、各シーンが朝の時間帯なのか夜なのか、明確にはわからないという極夜体験ができるのも、本作のおもしろさのひとつだ。環境汚染、貧困、先住民との確執、女性蔑視など、さまざまな社会問題や、極北の地に伝わる言い伝えや心霊現象などをストーリーに巧妙に取り入れ、ミステリーものとして成立させているのは見事。敵対していた女性たちが共闘していくシスターフッド要素も満載で、あっと驚くエンディングに心を打たれる。前作までは8エピソードで構成されていたが、本作は6エピソードというのがファンとしては残念だったが、今後もシリーズが続いていくことを期待したい。

『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』U-NEXTにて見放題独占配信中

――『シュガー』――

■ロサンゼルスが舞台のクライムミステリー

舞台はロサンゼルス。私立探偵のジョン・シュガーは、ハリウッドの大物映画プロデューサーから行方不明の孫娘オリヴィアを捜す依頼を受ける。オリヴィアの父や兄に話を聞きに行くも、「いつもみたいに呑み歩いているだけで、すぐ帰って来るさ」と取り付く島もない。むしろ捜査なんかしてくれるなといった態度。どうやら彼らには知られては困る秘密がある様子だ。巧みに妨害をかわし捜査を続けるシュガーだったが、オリヴィアが所有する車のトランクに死体があるのを見つける。しかし翌日その死体は消えており、オリヴィアを追っているのは自分だけではないと気づく。

■映画オタクのための映画オタクによるドラマ

ジョン・シュガーを演じるのはコリン・ファレル。オリヴィアの継母を『ブレイキング・バッド』でスカイラー役を案じたアンナ・ガンが演じた。シュガーは、映画好き、というか映画オタクという設定で、家に侵入する時、ウィスキーを飲む時など、往年のモノクロ映画の同じようなシーンを脳内再生し、ハンフリー・ボガートやグレン・フォードになりきる。作中ではそれらの往年映画のモノクロ映像が挿し込まれ、何の映画だっけとネタ探しをするのも映画好きには楽しい。無論、リファレンスなど分からずとも楽しめる。

■モダンな男らしさを一体どこで身につけたのか

また探偵ものといえば、主人公のモノローグが定石だが、本作でも”まるで映画の主人公のような”シュガーの独白は多い。『復讐は俺に任せろ』のグレン・フォードや『大いなる別れ』のハンフリー・ボガートなどハードボイルドな人物に憧れる一方、シュガーはとてもスマートで現代的。捜査の過程で、深夜に女性の自宅を訪れ夜の誘いを受けるものの、その振る舞いはとても紳士的で一夜をともにすることはないし、暴力をとことん嫌っている。往年映画の”ハードボイルドな男らしさ”とは異なる男性像がそこにはあり、一体どこで身につけたスマートさなのだろうか、と疑問に思うだろう。さらにシュガーは複雑な過去をもち、身体にも何かしらの疾患があるようだと匂わされる。所属している組織も謎で、事件は一歩一歩解決に向かうものの、シュガーの出自に関しては謎が深まるばかり。あまりネタバレはしたくないが、意表を突かれすぎて思わず笑ってしまうエンディングであることは伝えておく。

『シュガー』AppleTV+で配信中

編集と文・遠藤加奈(GQ)

https://news.yahoo.co.jp/articles/5009f0b744d908a0e71d378b09d634530857720a


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