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先住民族関連ニュース

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アイヌ民族に関する新法案(要旨)

2018-12-31 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/31 05:00
 「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案(仮称)」の要旨は次の通り。
 【目的】北海道及びその周辺地域の先住民族であるアイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
 【基本理念】アイヌ文化振興・環境整備に関する施策は、アイヌの自発的意思や民族としての誇りを尊重するよう配慮しつつ、講ぜられなければならない。施策は北海道のみならず、全国的な視点に立って講ぜられなければならない。何人もアイヌに対して、アイヌであることを理由として差別すること、その他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
 【責務】国や自治体はアイヌ施策を策定し、実施する責務を有する。教育活動などを通じて、アイヌの伝統等に関する国民の理解を深めるよう努めなければならない。国民はアイヌが誇りを持って生活し、その誇りが尊重される共生社会の実現に協力するよう努めなければならない。
 【基本方針】政府は施策の効果的な推進を図るため、その意義や目標を規定した基本方針を定めなければならない。
 【民族共生象徴空間】象徴空間の管理を指定法人に委託できる。国は派遣職員のほか、象徴空間の業務のため人的援助をする。
 【地域計画】地方自治体は基本方針に基づき、アイヌ文化振興・環境整備を図るための地域計画を作成し、首相の認定を申請できる。地域計画には《1》アイヌ文化の保存や継承《2》アイヌの伝統等の理解の促進《3》観光や農林水産業など産業の振興《4》地域間や国際交流の促進―などに資する事業を記載する。事業を実施しようとする者は自治体に計画作成を提案でき、自治体は作成するか否かを提案者に通知しなければならず、作成しない場合は理由を明らかにしなければならない。首相は計画が基本方針に適合する時などは認定し、公示する。計画変更には首相の認定を受けなければならない。首相や関係閣僚は自治体に計画の実施状況について報告を求め、必要な時は措置を講ずることを求めることができる。首相は計画の認定を取り消すことができる。
 【特別措置】《1》国は地域計画の認定を受けた市町村に交付金を交付できる《2》市町村が地域計画の認定を受けた時は、農水相は住民に国有林でアイヌ工芸品の製造などに利用する林産物を採取する権利を取得させることができる《3》農水相や都道府県知事は地域計画の実施のため、アイヌの伝統儀式や漁法の伝承などを目的とした、河川のサケの採捕が円滑に行われるよう適切に配慮する《4》地域計画に定められたアイヌ商品等需要開拓事業の商標登録については、登録料を軽減または免除することができる。
 【指定法人】国交相と文科相はアイヌ文化の振興等を目的とする一般社団法人または一般財団法人を、《1》象徴空間の管理《2》アイヌ文化を継承する者の育成やアイヌ文化の振興に関する業務《3》アイヌの伝統等に関する広報活動《4》アイヌ文化の振興等に資する調査研究―などを行う者として指定できる。指定法人は事業計画書と収支予算書を作成し、国交相と文科相に提出しなければならない。
 【アイヌ政策推進本部】アイヌに関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、内閣にアイヌ政策推進本部を置く。本部は基本方針案の作成や基本方針の実施をつかさどる。本部長は内閣官房長官、副本部長はアイヌ政策総合担当相、本部員は外相、法相、文科相、厚労相、農水相、経産相、国交相、環境相ら。
 【付則】この法律は公布の日から1カ月を超えない範囲で施行する。指定法人は象徴空間管理の委託を受ける前でも必要な準備をできる。アイヌ文化振興法は廃止する。政府は新法の施行後5年を経過した場合、施行状況を検討し、その結果に基づき、所要の措置を講ずる。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/263378

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アイヌ民族への視線 見直す好機 新法案に差別禁止明記

2018-12-31 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/31 05:00
 〈解説〉政府がアイヌ民族に関する新法案に差別を禁じる規定を明記したのは、民族差別をあおるヘイトスピーチをはじめ今なお根深い差別が残るからだ。新法制定を機に、道民はアイヌ民族が歩んできた歴史や現状をあらためて見つめ直すべきだ。
 政府が2015年度に行ったアイヌ民族に関する意識調査で、差別や偏見が「あると思う」と答えたアイヌ民族は72%に上ったが、国民全体では18%にとどまった。当事者の痛みに気付いていない日本国民の姿が垣間見える。
 一方、インターネットを中心にアイヌ民族の存在自体を否定しようとする差別的な言説が後を絶たない。14年に当時の札幌市議が「アイヌ民族なんて、いまはもういない」とネット上に書き込み、議会から辞職勧告決議を受けた。しかし、いまだに「アイヌには特権があり、われわれは収奪されている」といった言葉が、裏付けのないまま拡散し続けている。
 15年の意識調査でも、差別や偏見の原因として、アイヌ民族の78%が「アイヌの歴史に関する理解の不十分さ」と答えた。新法案では、国や地方自治体が「アイヌの伝統等」への国民理解を深める努力義務や国民の責務も明記した。
 新法制定時に廃止となる1997年制定のアイヌ文化振興法では、国の責務として「広報活動の充実」といった表現にとどまっており、より踏み込んだといえる。
 政府は20年に胆振管内白老町に開設する「民族共生象徴空間(ウポポイ)」を、国民がアイヌ民族の歴史や文化への理解を深めるための施設と位置づける。
 ただ、アイヌ民族や関係者の間には、政府に対する長年の不信感から「ウポポイを開設し、新法を制定しても、アイヌを利用して和人社会がもうけるだけ」といった批判が少なくない。政府には新法案が提出される来年の通常国会で、こうした疑念を払拭(ふっしょく)するような、民族の歴史と現状に向き合った議論を期待したい。(村田亮)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/263377

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アイヌ民族差別 禁止を明記 新法案の全文判明 国や自治体に理解深める義務

2018-12-31 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/31 05:00

 政府が来年の通常国会に提出を目指しているアイヌ民族に関する新法案の全文が分かった。基本理念として、アイヌ民族に対する差別や権利侵害を禁止することを明記した。国や自治体が、アイヌ関連施策を実施する責務や、「アイヌの伝統等」に関する国民理解を深める努力義務を負うことも定めた。1997年制定のアイヌ文化振興法の内容も包含し、付則には同法を廃止することも記した。
 新法案は、総則や、2020年に胆振管内白老町に開設するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の管理、アイヌ文化を生かした地域振興や産業振興の事業を各自治体がまとめる地域計画、文化伝承を目的としたサケの捕獲などに関する特別措置―など8章で構成。条文は38条から成る。
 総則では法律の「目的」としてアイヌ民族を先住民族と明記し、「民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現」と規定。「基本理念」では、アイヌ関連施策がアイヌ民族の自発的意思を尊重し、全国的な視点で講じられる必要性を書き込んだ上で、「何人もアイヌに対して、アイヌであることを理由として差別すること、その他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」と定めた。
 さらに「国や地方自治体の責務」として、アイヌ関連施策の実施や、教育や広報を通じて国民理解を深めることを挙げ、「国民はアイヌが誇りを持って生活し、その誇りが尊重される社会の実現に協力するよう努めなければならない」と国民の責務も記した。
 アイヌ文化振興法では、アイヌ文化の振興などを目的とした法人(アイヌ民族文化財団)を指定し、文化継承者の育成や調査研究などを担わせることを定めている。今回の新法案でも同様の規定を盛り込み、付則で文化振興法を廃止。指定法人の継承に関する経過措置なども定めた。
 新法案の仮称は「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案」。アイヌ文化を活用した地域振興に取り組む自治体を対象とした交付金創設と、文化伝承を目的とした国有林内の樹木採取などの特別措置―も盛り込んだ。政府は来年3月中の成立を目指す。(村田亮、古田夏也)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/263371

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