北海道新聞 12/03 05:00
2020年東京五輪・パラリンピックを前に全国を巡る聖火リレーのルート選考が大詰めを迎え、全道各地で誘致へ期待が高まる。道内は2日間だけで上陸地も限られるため、道央エリアが有力とされるが、聖火が通れば地域の魅力を世界に発信する機会にもなる。各地の関係者は、年内に示されるルート案の調整の行方をじっと見つめている。
リレーは20年3月26日に福島県をスタートし、おおむね時計回りに日本を一周。青森県から道内を通って岩手県に引き継ぐ。道内は6月14、15両日の予定だ。
聖火は、警備車両など20台以上と移動するため、空路や鉄路は使えない。海上はフェリー移動のため、青森側は青森港や八戸港を出発し、岩手へは宮古港か八戸港へつなぐ。おのずと、既存の航路がある苫小牧港や室蘭港を経由する道央ルートが有力視される。
室蘭と苫小牧の間にある胆振管内白老町には、聖火リレースタート直後の20年4月、アイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間」が開設される。組織委は都道府県に特色あるルートを求めており、オープン間もない象徴空間を通るのは最有力だ。戸田安彦町長は「アイヌ民族と地域が歴史を重ねてきた多文化共生を世界にPRしたい」と意気込む。
室蘭市は6月に宮蘭(みやらん)航路(室蘭―岩手県宮古市)が就航したばかり。青山剛市長は「航路を象徴する取り組みにつなげたい」。冬季五輪の招致を目指し、道内最大都市の札幌市を外せないとの意見は根強い。札幌市の秋元克広市長は「1972年札幌五輪で市内を駆け巡った聖火リレーが再来すれば光栄。招致機運の醸成につなげたい」と話す。
苫小牧港は、胆振東部地震で被害の大きかった地域に近い。胆振管内厚真町の宮坂尚市朗町長は「選ばれたら復興にまい進する町が盛り上がり、町民も喜ぶ」と期待。道央以外にも函館港を備える函館市には、世界文化遺産の国内推薦候補の縄文遺跡群がある。市教委の担当者は「歴史ある街並みもアピールできる」。
ただ聖火リレーは制約が多い。組織委はリレーを1日8時間程度、ランナーは1日約80人で1人当たり約200メートルなど細かな目安を定める。1日のリレールートは6市町村に分けることができ、市町村間は車で走行することも可能だが、広大な道内を駆け巡るのは現実的ではない。それでも高橋はるみ知事は昨年5月、日ロ共同経済活動の実現を視野に北方領土や根室管内を巡るルートも提案。大内隆寛根室振興局長は「根室の魅力発信につながる」。
1964年東京大会は4ルートで聖火を運び、道内は千歳市に到着後、札幌市、小樽市などを経て函館市まで19市町村を巡った。近年は国際オリンピック委員会(IOC)が「聖火は分けずに一筆書きで100日以内」との方針を示す。
ルートを選定する道の実行委員会は青森、岩手両県と調整し、年内に大会組織委員会に案を出す。組織委は各都道府県の案をまとめ、IOCの承認を得て、来年夏までにルートを公表する。(小林史明、長谷川善威)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/254021
2020年東京五輪・パラリンピックを前に全国を巡る聖火リレーのルート選考が大詰めを迎え、全道各地で誘致へ期待が高まる。道内は2日間だけで上陸地も限られるため、道央エリアが有力とされるが、聖火が通れば地域の魅力を世界に発信する機会にもなる。各地の関係者は、年内に示されるルート案の調整の行方をじっと見つめている。
リレーは20年3月26日に福島県をスタートし、おおむね時計回りに日本を一周。青森県から道内を通って岩手県に引き継ぐ。道内は6月14、15両日の予定だ。
聖火は、警備車両など20台以上と移動するため、空路や鉄路は使えない。海上はフェリー移動のため、青森側は青森港や八戸港を出発し、岩手へは宮古港か八戸港へつなぐ。おのずと、既存の航路がある苫小牧港や室蘭港を経由する道央ルートが有力視される。
室蘭と苫小牧の間にある胆振管内白老町には、聖火リレースタート直後の20年4月、アイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間」が開設される。組織委は都道府県に特色あるルートを求めており、オープン間もない象徴空間を通るのは最有力だ。戸田安彦町長は「アイヌ民族と地域が歴史を重ねてきた多文化共生を世界にPRしたい」と意気込む。
室蘭市は6月に宮蘭(みやらん)航路(室蘭―岩手県宮古市)が就航したばかり。青山剛市長は「航路を象徴する取り組みにつなげたい」。冬季五輪の招致を目指し、道内最大都市の札幌市を外せないとの意見は根強い。札幌市の秋元克広市長は「1972年札幌五輪で市内を駆け巡った聖火リレーが再来すれば光栄。招致機運の醸成につなげたい」と話す。
苫小牧港は、胆振東部地震で被害の大きかった地域に近い。胆振管内厚真町の宮坂尚市朗町長は「選ばれたら復興にまい進する町が盛り上がり、町民も喜ぶ」と期待。道央以外にも函館港を備える函館市には、世界文化遺産の国内推薦候補の縄文遺跡群がある。市教委の担当者は「歴史ある街並みもアピールできる」。
ただ聖火リレーは制約が多い。組織委はリレーを1日8時間程度、ランナーは1日約80人で1人当たり約200メートルなど細かな目安を定める。1日のリレールートは6市町村に分けることができ、市町村間は車で走行することも可能だが、広大な道内を駆け巡るのは現実的ではない。それでも高橋はるみ知事は昨年5月、日ロ共同経済活動の実現を視野に北方領土や根室管内を巡るルートも提案。大内隆寛根室振興局長は「根室の魅力発信につながる」。
1964年東京大会は4ルートで聖火を運び、道内は千歳市に到着後、札幌市、小樽市などを経て函館市まで19市町村を巡った。近年は国際オリンピック委員会(IOC)が「聖火は分けずに一筆書きで100日以内」との方針を示す。
ルートを選定する道の実行委員会は青森、岩手両県と調整し、年内に大会組織委員会に案を出す。組織委は各都道府県の案をまとめ、IOCの承認を得て、来年夏までにルートを公表する。(小林史明、長谷川善威)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/254021