先住民族関連ニュース

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高橋知事、今年の漢字は「共」

2018-12-29 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/28 15:29
 高橋はるみ知事は28日の記者会見で、今年1年を表す漢字として「共」を挙げた。胆振東部地震などの自然災害に触れ、「道民が支え合い、共同しながら対処して、ここまで乗り切ることができた」と語った。
 また、胆振管内白老町に2020年に開設するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間」の愛称がウポポイに決まったことや、手話を言語に位置づける「手話言語条例」の制定を踏まえ、「共生を目指す社会づくりに向け、一つのきっかけとなった年だった」と振り返った。(村田亮)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/262872

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完成間近のケベック水力発電ダム、地元民には葛藤も

2018-12-29 | 先住民族関連
AFPBB News12/28(金) 17:04配信

【AFP=時事】極寒の夜、重機が岩を削るごう音がカナダ北方の森に響きわたる――。カナダ・ケベック(Quebec)州のはるか北で、米国の北東部に送電するための「クリーンエネルギー」を発電する4基の巨大な水力発電ダムがもうすぐ完成する。
 ケベック州のコート・ノール(Cote-Nord)地方の荒野を500キロ以上流れるロメイン川(Romaine River)は、4基目かつ最後の発電所の建設とともに、北緯51度の位置に建てられた文字通りの「壁」に到達しようとしている。
 電力公社ハイドロケベックの建設チームは、発電所の場所を確保するために山を徹底的に削り、発電用に貯水するための全長500メートル、高さ90メートルの堤防を建設中だ。2009年に始まったダムの建設が完成すれば、先住民が所有権を主張する、カナダで最も長い、ありのままの自然が残された川に流れる冷たく透き通った水を手に入れることとなる。
 ケベックには余剰電力がある。政府は、ケベックのダムで発電された電力を隣国の米国に売り、さらに少しでも地球温暖化を軽減する目的だ。
 ダムが完成するのは2019年。建設エリアは数キロにわたり、セメント工場や作業員用の診療所、事務室、採石所、ダイナマイト貯蔵所で埋め尽くされている。
 地域の住民にとって水力発電計画は、良くもあり悪くもある。人里離れ、経済不振の地域に新たな雇用を生んだという利点がある一方、先住民たちが古くから狩猟してきた場所が破壊されている面もある。
 先住民族イヌー族の一員であり、ダム建設現場の監督を務める男性は、「最初は反対していたが、職が必要だった。最初の給料をもらったとき、建設に対する考えが変わった」と振り返る。
 イヌー族の族長であり、セントローレンス川(Saint Lawrence River)北岸の保護地区に住む男性の父親は、ダムの建設に猛烈に反対しており、巨大な水力発電ダムに対して「環境破壊」だと激しく非難をしてきたグリーンピース(Greenpeace)などの環境保護団体から支持を得ている。
 大学の学費を支払うために建設エリアのカフェテリアで働く24歳のイヌ―族の女性は、「私たちが自然に対してしていることを思うと、悲しくなるし痛ましい」と訴え、「でも時代は変わった。どの家庭にも今では電力が必要だ」と語った。
 ケベック州では1970年代から、供給電力の9割を水力発電が占めてきた。2021年にフル運用が始まると、4基の発電所は計1550メガワットの電力を発電する。一つの市、もしくは供給予定である150万の家庭に送電するには十分な電力量だ。【翻訳編集】 AFPBB News
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181228-00000025-jij_afp-int

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災厄をはらい、生きる力を授ける来訪神 : 古代より日本各地に伝わる民俗伝承

2018-12-29 | アイヌ民族関連
ニッポン.コム 12/28(金) 15:57配信 小川 直之
トシドン、ナマハゲなど10件の「来訪神」がユネスコの無形文化遺産に登録されることになった。実は、この10件以外にも、日本各地には多くの来訪神行事が存在している。地域によって見た目の違いはあるが、共通しているのは、大晦日などの年の代わり目や、夏から秋への季節の変り目に現れ、災厄をはらい、生きる力を与えてくれることだ。
無形文化遺産代表一覧表への記載の意義
2018年11月29日のユネスコ無形文化遺産保護条約第13回政府間委員会で、日本が提案していた「来訪神:仮面・仮装の神々」の、無形文化遺産代表一覧表への記載が決定した。
2009年に登録された「甑(こしき)島のトシドン」に、国内で重要無形民俗文化財に指定されている民俗行事9件を加え、ユネスコに提案していたものである。条約にいう5分野の無形文化遺産のうち、「社会的慣習、儀式及び祭礼行事」に含まれる「年中行事(儀式rituals)」としての記載である。
代表一覧表に記載されている日本の無形文化遺産の件数は21件で、この件数は条約締結国178カ国(2018年10月現在)の中では中国に次いで多い。代表一覧表に記載されることで、「来訪神」行事は、「保護し将来に継承すべき無形文化」として国際的に位置づけられ、その継承や広報などを通じて世界各地の文化がもつ多様性と人類文化に内包されている創造性を尊重する活動が必要となる。
また、「来訪神」の行事は、広義には神祭りの一つであり、日本人の精神世界を表現しているが、少子高齢化が進む現代においては、この行事によって地域の人々の連携が深まり、地域コミュニティーの持続に重要な役割を担うことが期待される。
「来訪神」が訪れ来る日
「仮面・仮装の神々」という副題の通り、来訪神は、地域社会の行事として人間が仮面を着けたり、仮装したりして、外界から集落や家々に訪れ来る。宗教経典に記されているような神ではなく、いわば民俗信仰として伝承され、継承されている神で、神の出現は、1年のうちの特定の日に限られている。
大晦日のトシドン、小正月のスネカ、正月の決まった日や節分にやってくるアマメハギなど、「年の変わり目」であることが多い。「米川の水かぶり」は2月初午(はつうま)だが、この地方には水かぶりと同様の仮装でカセドリと呼ばれる来訪神行事を旧暦の小正月に行っているところがある。
悪石島のボゼは、正月と並んで1年の大きな節目であるお盆の時、メンドンは夏から秋へと移る節目、パーントゥも12月最後の丑の日と9月上旬で、それぞれ新年の直前と夏から秋への季節の節目である。
吉田兼好の『徒然草』(1330年頃)第19段には、京都で大晦日の夜、暗闇の中で松明(たいまつ)をともして夜中過ぎまで家々の門をたたき回る行事があるとの記述がある。何のために家々を回るのかは記されていないが、その内容は来訪神の行事であったといえる。
奈良時代初期に編さんされた『常陸国風土記』の「筑波郡」の項には、祖神(みおやのかみ)が秋の収穫祭である新嘗の晩に福慈の岳(富士山)と筑波岳を訪れた物語が記されている。福慈の神は祖神の宿泊を断り、筑波の神は快くもてなしたため、福慈岳には雪霜を降らせて人が登れなくなり、筑波岳は多くの人が登って歌い舞い、飲み食いする山にしたという。
『常陸国風土記』の祖神も外界からの来訪神であり、来訪神信仰が古代から存在していたことを示している。さらに、来訪する神を歓待することが重要であることを示唆しており、トシドンやナマハゲなど現代の来訪神も家々でもてなされている。
そして『徒然草』や『常陸国風土記』からは、神の来訪は古くから、秋の収穫祭の時や年の変わり目であったことが読み取れる。
日本各地に現れる「来訪神」
日本の来訪神行事は、ユネスコに登録された10件以外にも、現在行われているものがいくつもあるし、過去のものも含めると数多くあり、日本の民俗行事としては一般的だった。北海道のアイヌ文化にはこうした行事が確認できないので、北海道を除くと図のようにほぼ全国的に確認できる。特に、東北や九州、沖縄には来訪神の伝承とその祭りが多く残っている。
東北地方北部から北陸地方には「ナマハゲ」「アマハゲ」「アマメハギ」「ナモミ」系の名称の来訪神が多い。東北地方南部から関東、さらに九州には「カセドリ」系の名称、来訪時に戸をたたく音がもとになった「ホトホト」「コトコト」「パタパタ」などの名称が近畿地方西部から九州北部と関東の一部に見られる。
この中には仮面・仮装はしないが、訪れた家の人に見られないようにして木製の農具のミニチュアを家の中に放り込み、縁側などに置かれた餅やお金を貰って帰るという行事もあった。
福を授け災厄をはらう
大晦日の晩にやってくる甑島のトシドンは、訪れた家の子どもの普段の生活態度を尋ね、子どもをほめたり、叱って諭したりし、最後にその子の背中に「歳餅」と呼ぶ大きな丸餅を載せる。子どもはこの餅をもらって1つ歳をとるという。これは、いわゆる「お年玉」であり、餅によって新しい年を生きる力が授けられるのである。
ナマハゲやアマメハギ、アマハギは、手に包丁(模型)を持って訪れ、いろりに当たりすぎて手足にできるナモミなどと呼ぶ火斑をはぎ取ると考えられている。子どもたちの怠惰を戒め、諭す意味を持つ。カセドリの「かせ」は、「かさ(瘡)」とか「(漆に)かせる」などのように、湿疹や皮膚病の意味にも解釈できる。このことからは、来訪神は新年にあたって病気などをはらいに来るともいえる。
宮古島のパーントゥは、からだ中に塗った聖なる泉・ンマガリの泥を集落の人々や家の壁などになすり付ける。泥を付けられると、災厄がはらわれ、福がもたらされるという。薩摩硫黄島のメンドンは、手にスッベと呼ぶ枝葉を持ち、これで叩かれると魔がはらわれる。悪石島のボゼが持つ棒(ボゼマラ)の先で赤泥を付けられると悪魔ばらいになるとか、女性は子宝に恵まれるという。
石垣島「マユンガナシ」は、家々を訪ね、農作物の作り方や家の寿ぎを詞章のようにした神口(カンフツ)を唱える。
来訪神は地域ごとに様々なバリエーションがあるが、いずれにも共通しているのは、行為や言葉などによって人々に生きる力や知恵を授けたり、災厄をはらったりしているということだ。これによって人々は、豊かで健やかな生活が続くことを信じたのである。
「去来神」と「常世」
「来訪神」とは、期日を定めて集落や家々に訪れ来る神である。日本人の神信仰からいえば、「来訪神」は「去来神」の一つの姿である。「去来神」は、祭りが行われる日に神々の世界から人間界に訪れ、祭りが終わると神々の世界に帰っていく。
お盆に迎え火を炊いて迎える先祖や、正月に門松を飾って招き入れる歳神は「招来神」と呼び、姿かたちが無い。一方、神々が自ら訪ね来る「来訪神」は、目に見えるかたちで現れる実体的な存在である。
「来訪神」の仮面・仮装は、いうまでもなく日本人が考える神のイメージであり、笠や蓑を着けるのは遠方から旅をして訪れ来る姿、鬼などの面は神としての異形性―人間とは異なる存在の表現である。
「来訪神」も「招来神」も、『万葉集』など日本の古典にある言葉でいえば「常世」から訪れ来ると考えられていた。「常世」は、海の彼方にあるとか、山に、または森の中に、さらには天にあるなど、その場所はいくつもが想定され、一方ではこの場所は、死者の霊魂が行き着く他界でもあった。
最後に「来訪神」について2点付け加えておくと、民俗学・国文学者であり、歌人でもあった折口信夫(1887-1953、歌人としての号は釋迢空)は、来訪神を「まれびと」と名付け、「まれびと」が発する呪詞・寿詞が後に文学に、その動作が芸能へと昇華するという壮大な文化理論を提示している。
また、オーストリアのミッテルドルフには12月5日に出現するクランプス、スイスのウルネシュ村の大晦日のクロイセ、中国南部の広西壮族自治区には春節にやってくるマンガオという神が伝えられている。仮想・仮面の神々は、日本に限らず、実は、世界各地に見ることができるのである。
【Profile】
小川 直之  OGAWA Naoyuki
國學院大學文学部教授。博士(民俗学)。1953年、神奈川県生まれ。國學院大學文学部卒業。1994年國學院大學専任講師、助教授を経て、2003年より現職。現在、中国・南開大学外国語学院客員教授、柳田國男記念伊那民俗学研究所所長。ジャワハルラル・ネルー大学客員教授(インド)なども歴任。『日本の歳時伝承』(角川ソフィア文庫・2018年)、『日本の食文化1 食事と作法』(編著、吉川弘文館・2018年)、『折口信夫 死と再生、そして常世・他界』(編著、アーツアンドクラフツ・2018年)など多数。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181228-00010001-nipponcom-cul

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