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鉱物の部屋へのいざない

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トパーズ

2012-08-17 12:00:40 | 日記・エッセイ・コラム

昨日の話題はペリドットでしたが、古代ギリシャ・ローマ時代はそれはトパーズを指していました。

今日の話題はアルミニウムやフッ素を含むケイ酸塩鉱物であるトパーズです。

実は、日本でも西洋の鉱石学が伝わるまで水晶と黄玉(トパーズ)を区別するすべを知らなかったそうです。

水晶にしてはやや硬すぎ、細工に困る石が次々に採掘され、その石が高値で売れた事から注意を引くようになり、その石で財を成したのが高木勘兵衛(トパズ勘兵衛)だったそうです。

トパズ勘兵衛は明治20年に「金石舎」を創設しました。この「金石舎」にかかわった人たちには鉱物趣味の人にとっての有名人が名を連ねます。長島乙吉、宮沢賢治、保科百助(五無斎先生)、皆さんビッグネームです。

さて、今日の写真は国産のトパーズではありません。

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ブラジル ミナスジェライス州 産 トパーズ(Topaz)

このトパーズはかなりのサイズで一見巨大な水晶のように見えますが、柱状の結晶にタテの条線があり、水晶よりも透明感があるのでトパーズである事が分かります。トパーズには大型結晶のものがあり、私は十年ほど前に滋賀県の田上鉱物博物館で巨大なトパーズの結晶を見た事があります。かつては日本でも巨大トパーズは採れたようです。

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ブラジル ミナスジェライス州 産 トパーズ(Topaz)

このトパーズは蝕像水晶のように表面がザラザラしています。トパーズ的なツルツルの表面ではなく、その質感が珍しい標本です。

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パキスタン産 トパーズ(Topaz)

この標本は水晶と共生しているものなのですが、両方とも透明ながら、その結晶の形態の違いでトパーズがメインの標本だと分かります。

トパーズの魅力はそのクッキリとした結晶面です。トパーズらしいシャープな結晶には鉱物ならではの美があると思います。それは水晶にも通じる鉱物的な美しさです。そういう意味でこの標本はひとつで二度おいしい標本です。

数年前になりますが、名古屋ミネラルショーで水入りトパーズを見かけました。水入り水晶はよく見かけますが、水入りトパーズにはなかなか出会えません。これまでに一瞬の迷いで逃した鉱物標本は多々ありますが、その水入りトパーズもそのような縁のなかった鉱物標本のひとつです。

トパーズは宝石鉱物ですが、鉱物標本の原石は比較的安価です。鉱物趣味の人にとっても人気の高い石だと思います。



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