今日は孔雀石です。
孔雀石は昨日の藍銅鉱と同じく銅の二次鉱物です。成分は銅のサビである緑青と同じ炭酸水酸化銅です。
孔雀石のイメージは「石の花」です。そのイメージはどこから来るかと言うとロシアのパーヴェル・バジョーフの短編集「石の花」(ウラル地方の民話集「孔雀石の小箱」に収められている)から来ています。孔雀石の形態は被膜状、粉状、微結晶の塊状や層状などの集合体で産出します。そのような孔雀石の模様の中には植物的なイメージのものがあります。
この孔雀石は丸玉に加工されたもので、その表面の模様がまるでシダ植物のように見えてしまいます。孔雀石の英語起源のマラカイトはギリシア語(アオイ科の植物の名称)に由来しています。マラカイトの模様は植物的なフラクタルな形態を持ち、石の花というイメージに合っています。
ブラジル産 孔雀石(Malachite)
この孔雀石は葉片状の結晶の集合体です。この標本から来るイメージもどことなく植物的です。
コンゴ民主共和国 産 孔雀石(Malachite)
この標本は鍾乳石状のマラカイトです。上の写真の断面や下の写真からは鍾乳石と同じように同心円状に成長した跡が読み取れます。これらの標本が産出した現場はどんな所だったのでしょうか?
もしかすると、この地球のどこかには孔雀石で出来た巨大な鍾乳洞があるかも知れません。そのような鍾乳洞の光景を是非見てみたいものです。思わず夢想してしまいました。
モロッコ産 孔雀石(Malachite)
この標本は孔雀石の微細な針状結晶の集合体です。全体の形もユニークなのですが、その質感は細かい毛のような印象です。見る角度によっては短い毛の犬の肌のような印象もあります。
孔雀石には、植物的な印象のものや、鍾乳石的な印象のもの、動物的な印象のものまであり、様々なイメージを楽しめる良さがあると思います。孔雀石の良い所はその多様性なのです。