ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

              【お知らせ】

【定休日は毎週水曜日です。】【9月も毎週日曜日は休業します。】

化石3

2012-03-23 13:56:03 | 日記・エッセイ・コラム

Dscf8006

↑ナミビア産のペタライト(葉長石)

これは一見ローズクォーツに見えますが、薄いピンク色をしたペタライト(葉長石)です。その上面に見えるシダの葉のような形をした黒い模様は、一見何かの化石のように見えますが、しのぶ石(樹形石、模樹石)です。

しのぶ石は化石ではありません。しのぶ石の正体は、石の隙間に生じた二酸化マンガン鉱です。石の割れ目へ雨水や地下水が染み込み、マンガンが沈着してそのような模様ができます。

このペタライトの標本は二重に本性をごまかそうとしております。鉱物の肉眼鑑定は難しく、肉眼鑑定だけでは正確な同定は難しいものです。肉眼鑑定は多くの情報と、多くの実際の鉱物を手に取って見ると言う経験が必要だと思います。

さて、化石3、今日は偽化石である「しのぶ石」の話題です。

Dscf8010

↑京都府相楽郡加茂町法花寺野産のしのぶ石

しのぶ石は化石ではない為、堆積岩に限って産出する訳ではありません。安山岩や結晶片岩など、いろいろな種類の岩石に普通に見られます。

Dscf8013

Dscf8015

Dscf8009

↑上の三つは水晶と石英に見られる「しのぶ石」です。

水晶の中に入った「しのぶ石」(デンドライト)は宝飾として扱われます。それらはデンドリティック・クォーツと呼ばれ、中には非常に高価なものもあります。そのようなインクルージョンの面白さはその偶然性の美と希少性から人気の高いものとなっています。

しのぶ石は化石ではないのですが、生物の中にしのぶ石にそっくりの動物群がカンブリア紀にいました。それはフデイシです。フデイシの化石は分類学で有名なカール・フォン・リンネが「本物の化石以上に化石に似ている模様」と呼び、生命の化石ではないとしていました。それは電子顕微鏡が発達したおかげで生物化石だと考えられるようになりました。

フデイシの写真を見たい方はWeb検索してみて下さい。

今日の話題は偽化石と化石の話題でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする