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鉱物の部屋へのいざない

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大理石

2012-01-16 11:26:03 | 日記・エッセイ・コラム

昨日、高校時代の後輩O君からの書き込みがありました。実名が出ていましたので公開していません。名前を出す基準は著作物がある等、著名人は実名を出し、一般の人は頭文字を出すことにしております。

O君は正月の帰省時にご来店いただき、大理石の文鎮を購入していただきました。下の写真と同じ質の大理石です。

Dscn3757

縞模様が美しい大理石です。この形は立方八面体=ベクトル平衡体です。

今日の話題は大理石です。

大理石はきわめて地球的な岩石です。大理石は太古の微生物たちの集合体である堆積岩の石灰岩が、マグマの熱変成作用を受け、その炭酸カルシウムが再結晶してできる結晶質石灰岩のことです。

ここでは岩石的な大理石の話題ではなく、文学書「大理石」の話題にします。

「大理石」はアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの小説です。マンディアルグは20世紀のフランスの作家で、「余白の街」、「オートバイ」(両方、映画化されています。)等の作品があり、短編ですが、「ダイヤモンド」という作品もあります。「大理石」は澁澤龍彦・高橋たか子訳で1971年に人文書院から発刊されています。

小説「大理石」そのものに関しては、明日、再度書きます。

今日は私がその「大理石」を買った時のことを書きます。

「大理石」を買ったのは東京の神田デルタ・ミラージュという古書店です。そこは古書店といってもお酒が飲める不思議な空間でした。さらに画廊が併設しておりました。デルタ・ミラージュはもうありません。Web検索で探すと伝説の美術サロンとありました。雰囲気は澁澤龍彦さんの書斎や京都のアスタルテ書房に似ていました。そういえばデルタ・ミラージュもアスタルテ書房も分かりづらい所にありました。まるで辿り着くことを試されているような気がしました。

私がそのデルタ・ミラージュに行ったのは併設の画廊で鉱物展をやっていたからです。確か1997年、大谷芳久さんの鉱物コレクションの展示会でした。鉱物標本を美術品のように展示する奇妙な展示会で、私は興味深く見ました。(その大谷コレクションは愛知万博の時に愛知県美術館でも見ました。)ペヨトル工房の「夜想33鉱物」という雑誌は愛読しておりましたので、その雑誌に出ていた大谷コレクションを直に見れて良かったと思います。そのような体験が鉱物趣味にはまっていった過程でありました。

その鉱物展を見た後、隣の部屋に奇妙な古書店があり、自然にそこに入って行きました。そこは幻想文学を中心に文学書や美術書が豊富にありました。そこの雰囲気は薄暗く、ソファーがあったり、お酒も置いてありました。私はワインを一杯飲んで、面白そうな本がないか、探しました。

そこで見つけたのが「大理石」です。「大理石」の存在は澁澤龍彦さんの「胡桃の中の世界」の中の「プラトン立体」というエッセーで知ってはいたのですが、当時は読んでいませんでした。古本なのに少し高いと思いましたが、お酒も入っており、何となくその「大理石」を買ってしまいました。

明日に続く。

コメント
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