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鉱物の部屋へのいざない

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石が書く

2012-01-03 13:18:05 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は「石が書いた字」の話題でしたが、今日は「石が描く絵」の話題にします。

フランスの文学者ロジェ・カイヨワの著作に「石が書く」という本があります。それは「絵のある石」について書いてある本で、美しい写真と石に対する愛着に満ちた文章とからなる名著です。

この本は古本でも高い値段になっていると思います。私は15年位前に東京・早稲田の古本屋で入手しました。その本は他のロジェ・カイヨワの本とのセット販売になっており、単体の購入を希望しましたが、断られ、まとめてそのセットを購入した事を思い出します。その頃は今のように簡単にアマゾンあたりで古本を買う事ができない時代でした。

澁澤龍彦さんの「胡桃の中の世界」の中の「石の夢」の中でその本は紹介されていました。古本の楽しみはその本の発見の楽しみです。ロジェ・カイヨワの「石が書く」も当時はなかなか見つからない本でしたので、それを見つけた時は、一瞬迷ったものの、その場で購入しました。金額もさることながら、持ち帰るのが重かった事を思い出します。

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?イタリア産のパエジナストーン

この写真はシブサワ・コレクションにもよく似たものがあるトスカナ石です。トスカナ石とは澁澤龍彦さんが名付けた名前で、「風景大理石」、「パエジナストーン」とも呼ばれています。

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?トスカナ地方のあばらや石

この写真はロジェ・カイヨワが「あばらや石」と呼んだ廃墟図入りの大理石と同類の大理石です。こちらは遠山のような風景画のような趣があります。

ひとは石の中に偶然に出来た模様を絵のように認識してしまいます。それは錯覚の一種には違いないのですが、ひととは、それを尊び、愛玩できる生き物なのです。鉱物結晶を花のように思うことも、それと同じ様な人間の精神作用なのです。

今日の話題は明日に続きます。

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