今シーズンのMLBは日本人投手が大活躍して例年になく面白い。松井の引退やイチローの衰えで後に続く日本人スターが出てこず、日本人打者の存在感がないのは寂しい。しかし、日本人投手の活躍が連日伝えられ、ついついテレビ中継を見る頻度が増えた。<o:p></o:p>
日本人選手以外にも注目しているのは、今シーズン巨額の金を使って補強したチームの成績だ。代表的なのはエンジェルスとブルージェイズ。両チームとも今日現在地区最下位を争う状態で全く期待外れの成績で推移している。大金を払ったのに選手もチームも成績が今一なのだ。サッカーや野球は金がないとプロ球団は強くなれないというのが定説だがどうもそうではないらしい。<o:p></o:p>
エンゼルスは昨年はプホールズ、今年はハミルトンとこの数年MLB最高のバッターといわれた選手と契約した。この二人だけで日本の何球団分もの年俸を賄えるはずだ。加えて数年に一人といわれる新人王を取った逸材がいて、物凄いバッティングオーダー組めたはずなのに苦戦している。スーパースターが普通程度の活躍しかせず、上手くつながらず勝てない悪循環に陥っている<o:p></o:p>
ブルージェイズはもっとひどい状態だ。MLB最高の遊撃手レイエスを取り、昨年サイヤング賞を取ったディッキーを補強した。思い切った補強で90年代初めに世界一になった時の再現と期待された。だが、レイエスは故障しディッキーはリーグが変わり慣れない屋内球場で苦労している。チームはエンゼルス以上にバラバラで、勝てる試合まで落とし最悪の状態にある。正に金持ち貧乏とはこういうチームのことだ。<o:p></o:p>
一方で、主力選手が次々と故障したヤンキースは、かつて活躍したがピークを過ぎチームで窓際族になったロートルを急遽補強し、彼らが往年とはいかなくともそこそこ活躍し粘り強く戦って1点差のゲームをものにし首位に立っている。割安な補強をしたといってよい。興味あるのは主力を引き抜かれたレンジャーズやカーディナルズも同様にトップを走っていることだ。<o:p></o:p>
この皮肉な現象は必ずしも初めて見るわけではないが、やはり何故そういう悪循環に陥ったのか興味がある。日本でも巨人が各チームの主力を引き抜きダントツの戦力を保持しながら中々優勝出来ない例を見ているから、不思議という訳ではない。だが、スーパースターを新たに戦力に迎い入れ、彼を戦力として最大に力を発揮させ勝利に結びつけるのは容易ではない。寧ろ難しい。<o:p></o:p>
チームに必要な補強すべき戦力がどういうタイプの選手か、どうやったらチームの為に活躍させることができるか、それを具体的に実現させるしっかりしたプランがあったのか、それが現実に上手く機能しているか適宜見直しているか、等々上手くやるのは大変なことだ。総て考えた積りでも選手が上手く適応できない場合もある。<o:p></o:p>
その意味では選手や監督だけでなく、ゼネラル・マネージャ(GM)の手腕が問われると私は思う。今年上手くいかなければ、多分両チームの監督かGMのどちらかは交代させられると私は予測する。名物監督とはいえエンゼルスのソーサには厳しいかもしれない。■