かぶれの世界(新)

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アベノミクスの恩恵

2013-05-16 22:24:54 | 社会・経済

 義弟から電話があった。声の調子で上機嫌なのがすぐわかった、その理由も明らかだった。連日の株価高騰で舞い上がっている(私に言わせれば)。昨年秋まで全く元気がなかったのに、アベノミクスのおかげで損を取り戻しお釣りがくるほど益が出たからに違いない。

 野田前首相が衆院解散を言及して以来円安が進行、それに引っ張られるように日経平均は一本調子で上昇した。二人ともリーマンショックで痛めつけられたが、最初に笑ったのは私だった。私は新興国の成長に賭け株を売ってグローバル、特に新興国関連の投資に切り替え損を取り戻した。だが、ここにきて新興国経済は停滞気味だ。

 ということで、日本株一人勝ちが鮮明になり連日の盛況に私は取り残された。一方、日本の優良株を買った義弟は異例の速度で上昇する日本株の恩恵を100%以上受け取ったという訳だ。何の面白味もない安全パイを買ったと常々義弟を揶揄してたので、彼の高笑いが悔しく聞こえた。

 実際、日本株は年初来45%上昇、2位の米国の16%、3位のドイツの10%を大きく引き離し独り勝ち状態にある。一方BRIC's諸国の株価は低迷し、日本株急騰の恩恵を被ってないのは何だか悔しい。世界の投資家にとってみると円安分を割引いて20%になるがそれでも世界1位、投機資金が日本に集まっている稀有な状況だ。

 今恩恵を受けている人たちの多くはリーマンショックをくぐり抜けてきた人たちだ。その時は割と公平に損した。リーマンショックは所謂システミックリスクで、分散投資も多様化も役に立たず総てがダメージを受けた。義弟も私もそうだった。だが、回復の道どりは投資の種類により異なった。先に回復したのは私で、後からもっと回復したのは義弟だった。今はそのタイミングだ。

 その経験のゆえに二人とも今の株高が本物かどうか自信が持てない、不安を抱えながら見守っているというのが正直なところだ。二人ともPTSD患者かも知れない。アベノミクスは素晴らしい出足で、当初懐疑的だった世界の専門家も認めざるを得ないというのが現在の評価だ。それでも、義弟も私も正直居心地が悪い。

 その大きな理由はアベノミクスの「3本目の矢」が何か心持たないのだ。参院選を直近に控え痛みを伴う規制改革が次々とトーンダウンしていると私は感じる。しかし、アベノミクスを継続して機能させるためには「経済成長を続ける枠組みの構築」が必須で、そためには思い切った規制改革が決め手であり期待されているのにだ。市場は待っている。

 象徴的なのが誰の目にも明らかな保育所の改善ですらままならない。ましてや本命の企業の競争力底上げや女性や若者の活力向上につながる改革はいまだ見えてこない。既得権益と深く繋がる混診医療や農業の株式会社化、社会保障の見直しなど全く手が付けられていない。やる気があるかどうかも分からない。

 参院選後にやる、といっても海外の投資家がそこまで待つか、実体経済が踏みこたえられるか。義弟も私もそこが自信をもって投資判断できるか、不安なのだ。だからといって今総てを売り払うかというと、もっと儲けるかもしれないという欲に目がくらんで決めかねている、というのが本音だ。しかし、こういう心配すること自体がアベノミクスの恩恵、去年までは悩むこともなかった。■ 

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