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民主党政権誕生の意味

2009-09-02 23:20:47 | 国際・政治

政策を支持しないのに何故民主党か?

830日の総選挙は民主党の地滑り的な圧勝と、自公連立政権の歴史的敗北に終った。昨日の朝日新聞の世論調査によると、選挙民は政権交代を望んだが、子供手当てや高速道路無料化等の政策には反対という興味ある結果が報じられている。政策はさておき、もう自民党にやらせるわけには行かないという意味で明確な意思表示だった。

ここで民主党政権の誕生はどういう意味合いを持つか議論したい。今回の選挙戦では、与野党やメディアなど謂わば全会一致で小泉改革を(部分)否定するところからスタートした。だが、基本に戻り光と影を明らかにし、考え方と実行の両面から具体的に論争すべきだった感じる。

上記の世論調査結果から、国民の間での判断基準は個々の政策内容ではなく、1)どちらが「政策をどう決めるのか、約束したことを必ずやる」政策の決め方を提案しているか、更にはもっと単純に、2)どちらの言っている事を信用できるか、であったと私は解釈する。

官僚主導政治のルーツ

圧倒的勝利を受けて民主党代表はその第一声で官僚主導の政治を変えると宣言した。言い換えると官僚主導の政策決定プロセスを変えるということであり、それが最も重要で最初に手をつけなければならない、と宣言したと解釈した。それでは官僚主導の政治とは何だろうか。

1)    国民の為の議会民主主義: 鳩山代表はインタビューに答えて、今回の政権交代は明治維新以降の(主権在君)官僚政治を、国民の意思に基づく真の議会民主主義政治への転換をするものだと説明した。第2次世界大戦敗戦後も日本の官僚制度が精神だけでなく制度として今日まで続いているという考えだ。

2)    1940年体制の終焉: 全ての国家の資源を戦争遂行のため最適化する官僚政治が、皮肉にも最も効果的に機能したのは戦後の奇跡の復興であった。野口悠紀夫氏はこれを40年体制とよび、バブル崩壊後はこの護送船団といわれた日本式官僚政治で逆に経済を停滞させたと指摘した。政権交代は政治主導の意思決定システムへの変化を目指す。

3)    1955年体制の打破: 保守合同し自民党が誕生、政権をとる意欲の無い社会党とのもたれあいの政治が始まった。この55年体制は既得権益を代表する族議員が内閣・官僚に働きかけ政策決定する、所謂[「政官業の鉄のトライアングル」を構成した。

私の現状認識は、精神において明治以降変わらない官僚体質と、55年体制で補完され完成した40年体制、これらを総合したトータルの政策決定プロセスと考える。故橋本首相は初めて根本的な変革をプランし、小泉改革が具体的にその一部に着手したと私は理解している。

民主党は小泉改革を継承する?

国民は小泉改革を圧倒的に支持したが、後継の首相が国民の了解も無になし崩しに改革を逆行させた。民主党の官僚政治の打破は、形は違うものの考え方において小泉改革がとった政策決定プロセスの延長線上にあり大差ないと考える。

私は民主党政権の誕生の意味は、政策決定プロセスを国民の手に取り戻すという観点で小泉改革を継承し、国民は民主党を支持したのだと解釈する。もう自民党には任せられない、民主党の政策は反対だが、民意を反映した政治をしてくれるなら試しにやらせてみようと判断した。

だが、国民も自ら選んだ結果に対して責任を共有しなければならない。特に喫緊の問題は安全保障と外交と経済回復であり、一手の間違いや手順前後が国を誤ることになる。国民は不安を抑えて民主党を選択し、見守っている。大局は絶対に外せない。国民の1%の支持も得てない党と連立する為に、国の基本方針を妥協するのは308議席を与えた国民に対する裏切りになる。

国民の不安に応えよ、革むるに憚るなかれ

日本には「最初の100日などない」と偉そうに言う大物言論人を見たが、気にすることはない。今まで肝心な情報にアクセス出来なかったのだから、初めて知って驚くこともある。間違えたと思えば即座に修正する勇気を持って欲しい。多くの国民はそういう姿勢を民社党に期待している。

私にも不安感がある。民社党首脳陣にどういう世界観があるかということだ。世界の反応を見ると、日本全体としてオバマ大統領が誕生した世界の潮流・変化に乗れずもたついている、ひたすら内向きになって取り残され存在感を失っているとの見方が気になる。かつて国民を煽って戦争を焚付けたのは新聞だし、今回はメディアがポピュリズムを煽って政治に持ち込んだと認識して意思決定するバランス感覚が必要だ。

申し訳ないが麻生首相の記憶が残っている暫らくの間は、前任者よりはマシだといって言い訳すればよい。変えなければならないのに変えないのが最も不幸な結果を招く。オバマ大統領就任時に思ったことだが、先ずは出来るだけ早く小さな成功でも良いので国民に見せることだ。支持率を失った後のパフォーマンスは効き目が少ない。■

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