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中東ネット革命(補)

2011-02-21 17:59:41 | 国際・政治

昨晩のNHKスペシャル「ネットが“革命”を起した~中東・若者たちの攻防~」は良く出来ていた。番組を引用させてもらい、16日に投稿した私の記事を補足したい。

筋のいい火種

先ず火種になった迫力ある動画について。若い露天商の焼身自殺現場とその場にいた若者たちが政府に抗議する動画をフェースブックに投稿したのはチュニジアの若い女性だった。彼女はこんなことは絶対許せないと「100人」に送った。

これは現場の生々しい状況を伝える「動画の訴える力」と、それがフェースブックで次々と転送されてネズミ算式に伝わっていく伝播力を番組は的確に伝えていた。皮肉を言うと、最近の日本のメディアの伝える力と内容は情けない位貧しい。

ネットの攻防、現代のスペイン戦争

次にフェースブックに投稿されるメッセージは暗号化されるので、伝播経路で盗聴されても受信者以外は発信者が分からないという機能があった。これが、情報を短時間で共有し広がっていく助けとなった。

中東革命はこのネットを巡る攻防だった。エジプトでは政府当局が反政府運動の内部にスパイを送り込んで、発信者のサイトを次々と潰して行った。一方、反政府運動の若者たちは別のサイトや迂回チャネルを作って対抗した。

このせめぎ合いの結果は反政府側が勝利した。背景に世界の多くのネチズンが参戦し反政府運動を支援したのも今回の特徴だ。まるで反ファシズムの戦いに世界の若者が参加し、「誰がために鐘は鳴る」で映画化されたスペイン戦争の現代版だ。今回も多分映画化されるだろう。

火種を保つ難しさ

ムバラク前大統領が再選を求めないと発表後、反政府運動が一旦下火になった時が実は今回の革命の最大の危機だったというのは私も良く分かるし、アラブに限らず反体制運動が陥りやすい共通の罠と感じた。

大統領の「即時退陣」を求め、もう一度反政府運動の熱気を取り戻したという。その辺の人々の機微の変化を知りたいと思ったが、番組を見た限りでは私には良く分からなかった。米国からの軍経由の圧力とどういう関係だったか知りたいところだが番組では触れられなかった。

まだ革命の序章

番組を見て、明治維新時の死を恐れない下級武士たちと中東の若者の姿がダブった。実際、番組の中でも死を恐れないという表現が出てきた。暴力装置を独占する独裁政権に対抗する為にはそのくらいの覚悟が無ければ乗り越えられなかっただろう。

だが、番組の後半に冒頭に紹介したチュニジアの女性が、大統領が亡命後の混乱を見て「期待したことではなかった」と嘆くシーンがあった。明治維新では多くの若者の屍を乗り越えて優秀な人材が輩出して国を引っ張った。先行するエジプトの第二章は他の中東の手本となるだろう。

蛇足: 世界ネチズン v.s .独裁政権!

因みに中国には一説には3万人といわれる膨大な数のネット監視員がいるという。中東革命に触発されて昨日中国の12ヶ所で反政府デモが計画され、全て当局に潰されたと報じられた。推測するに中国の“ネット警察力”は世界第2位の経済以上に進んでおり、今後更に強化されるだろう。多分、現在のネットは戒厳令に近い状態だろう。

中東とは事情が全く違う。だが、今回の中東革命で世界のネチズンの力は侮れないと実感した。水面下では世界ネチズン対共産党独裁政権が現在も進行中なのではないかとふと思った。日本が無謀にも世界を相手に第2次世界大戦に突入したアナロジーは荒唐無稽の空想か。いずれにしても、良く出来た番組だった。NHKに敬意を表する■

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