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郵政民営化の視点

2005-07-19 13:42:20 | 国際・政治
参院での郵政民営化法案が否決される可能性が高まったという見方が日増しに増えている。テレビや新聞は法案の内容より自民党が分裂し小泉政権が崩壊する政局のほうに興味があるようで、法案の内容やその意味についての分析が表面的で掘り下げが浅いように感じる。メディアはいつもの事ながら欧米の主要紙のように支持不支持を明確にしていない。

私は、郵政民営化は是非とも可決すべきだと考える。全国一律のユニバーサル・サービスの確保とか庶民の為の郵貯や簡易保険などへの影響があるかどうか、やってみなければわからないと思う。民営化により巨額の個人資産が民間に回り、海外を含む機関投資家が新たなビジネス機会を期待しているのは事実であろう。全国津々浦々に張り巡らされた集票マシーンが弱体化するという予測ももっともらしい。しかし、最も重要なのは底流にある政策決定プロセスの構造的な転換の戦いであると私は思う。

日本の政策決定プロセスは三層構造になっており、長い間に制度的・文化的仕組みとして機能してきた(船橋洋一氏)。即ち、(1)組織の下から上に上げる政策決定、(2)国内派と国際派の戦い、(3)決定に伴う犠牲や損失を出来るだけ「みんなで泣く」形を取る「苦痛の平準化」のプロセスである。この過程でシングル・イシュー政治家・省益死守官僚が既得権益集団の利害を調整する、いわば「強欲のプロセス」である。まさにこの「強欲のプロセス」が日本の政治のスピードと根本的な改革を阻んできた。失われた10年と世界一の財政赤字にした元凶であった。

小泉首相は従来プロセスを無視し官邸主導の政策決定を推進して来たが、郵政民営化は政策決定過程の変更だけではなく調整すべき権益の元金のかなりの部分を無くしてしまう改革の最終兵器とも言えるものなのである。つまり郵政民営化はこのプロセスの元金を一挙に300兆円以上無くしてしまう事になる。私はこの1点で郵政民営化法案を支持し、将来の政策決定プロセス転換を期待したい。国民への影響がどうなるのか良く見えない、じっくり時間をかけてよく議論をして欲しい、という意見が多いが、その批判は的が外れている。今後小泉氏ほどの執念を持ってやってくれそうな人材は見当たらない。今回しかチャンスはないのである。■


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1 コメント

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郵政民営化に対する的を射た意見に敬意を表します。 (落選させるべき議員リスト)
2005-08-08 17:51:25
郵政民営化に対する的を射た意見に敬意を表します。
郵政民営化に反対した議員は公認しないので、公認議員に投票したい。
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