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宋さん、謙虚さを忘れないで

2017-03-08 16:15:45 | 国際・政治
個人の名前、特に私人の場合、を挙げて批評するのは私の趣味ではない。今回の対象はこの数年テレビ等で時々出演してユニークな意見を開陳する 宋文洲氏、特に今月6日の「 宋メール」の内容についてである。そこで「なぜ米国人が中国を好きになったか」と題してギャラップ社の調査で50%を超えたことについて自説を展開している。

ご覧になってない読者の為に要約すると、理由は留学・移民などの民間交流が深まったこと、中国が米国の最大の貿易国になったことを上げ、日本人読者に現実を知ってこそ正しい判断をして貰いたいと結んでいる。何だか有頂天になっている感じだ。彼は無邪気に金儲けの損得だけで現実を知れと言っているのだと思う。

普段の宋氏の物の見方は分かっていたつもりで、いつもは一つの意見として聞いていたが、今回は読んで勘違いも甚だしいと思わずにはいられなかった。PRC(Pew Research Center)や主流マスコミなど他の調査結果は調べたのか、と言った初歩的な質問をしたくなった。或いはトランプ大統領が中国叩きをやっても何故反論が無いのかと自問してみたらどうか。

中国の凄さは何といっても広い国土に人口13億が住み4000年の歴史を誇る巨大な国で、先進国の技術を吸収し後進国から急速に発展して世界最大のマーケットになったことだ。世界中どこに行っても中華料理店と留学生がいる。優秀な学生も多い。しかし端的に言うとそれだけ、そこに住んでいる人や政治体制が尊敬されてない。それでも世界の国々は中国市場を無視しては成り立たず、中国抜きのビジネスは考えられない。

だが一方で、中国は共産党独裁で言論の自由がない非民主主義国家なのだ。政府の都合の悪い発言をすればどうなるか世界中の誰もが知っている酷い国なのだ。チベットやウィグル等中国内で何が起こっているか宋氏は全く触れない。一国二制度を約束した香港で、出版社オウナーが拉致されたのは国家ぐるみの仕業だ。最近関係が悪化した韓国系企業には躊躇なく政治介入してくる。中国はそういう国なのだ。それでも世界中がビジネスをやりたがっていると中国は承知している。

他の国で同じことが起これば内乱や紛争が勃発しかねない事態だ。世界の民主主義国家は中国とのビジネス関係を重視し、建前は中国内政のことと口をつぐみ今日に至っている。オリンピック前の英国が突然チベットに口出ししなくなり、習近平氏を王室に招いたのもそのためだ。日中関係はもっと複雑だが、基本はビジネスを重視した関係だと私は思う。

日本や米国は言論が自由な国だ。何を言おうと構わないが、 宋文洲氏のような知識人なら視線を水平に拡げるだけでなく、もっと高い視線で物事を見て発言して貰いたいと思う。今回の論評には謙虚さを感じない。誤解しないでほしいのは個人としての中国人には何の思いもない。90年代に米国で働いた時の部下の中国人は個人的には親しい友人で、時々一緒に食事したものだ。だが、お互い意識して政治の話はしなかった。それは思いやりだと思っていたが、私の勘違いだったかもしれない。■

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