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パナソニックが現実路線に軌道修正

2016-04-10 11:14:05 | ニュース
パナソニックが掲げてきた10兆円売り上げ目標を軌道修正したと先月報じられた。1面の派手な扱いではなく企業欄の地味な扱いだった。ディジタル家電等の不調で大幅な構造改革をし、カーエレクトロニクスや住宅を中心に事業立直し、18年に10兆円企業を目指すと発表した。私は旧松下のDNAで堅実な経営を続けるだろうが、そんなもので10兆円は無理だろうと予測した。

どういう原因でそうなったか詳細な事情は分からないが、結果的には予測したようになった。換言すればパナソニックは後3年しか残ってないのに目標に遠く届かない現状に直面して、現実的な路線に軌道修正したということだ。目標設定時は最高売り上げが9.1兆円に達していたので、安易に10兆円を掲げたのかもしれない。だが、構造改革後の縮小で最近は6兆円企業だった。

目標と現実がこれほど乖離した時、現場で働く社員たちはどう考えていたかは容易に想像できる。トップから毎年全く実現できる見込みのない目標を聞かされ白けていたはずだ。会社全体として目標に到達するプランが無いのに、それでも一生懸命目の前の仕事に取り組んでいたのだと思う。私に言わせれば決して健康的な状況ではない。

ここからは例によって誤解を恐れず大胆な推測をしてみたい。強引に目標達成に向かうドン・キホーテとか、東芝のように目標に向かって見かけを偽装する方に向かう人達が全くいなかったとは思わない。それも活力の現れだ。日本を代表するハイテック企業パナソニックが、目標達成の為の社内外の圧力も決して緩いはずがないと私は推測する。放置すればどこかに歪が出たはずだ。

その意味ではパナソニックが10兆円売り上げの旗を降ろし、現実路線に軌道修正したのは遅かったとしても正しい経営判断だっと思う。一線で働く管理職や社員にとっては、正しい目標設定に基づいて働きその成果に応じて報酬を受け成長していくことが極めて重要だ。それが結果として会社への信頼を生み忠誠心を育てる。

だが、現実的な目標だとしても成長志向を失った組織がどうなるか、最近のパナソニックは何とか帳尻を合わせして利益を出すだけの会社になったみたいだ。まるで失われた日本の縮図の様に成長と縁が無くなった。話題性に欠けた老舗企業のようだ。今回の判断をベースに、その次のステップとして経営者には新しい成長路線を描き社員を引っ張て行かねばならないと思う。

久し振りに経営について下から目線で語ってみた。現実に危機に陥った時組織のリーダーがどう決断し、特に悲惨な結果を招いた場合は多くの人々の注目を浴び詳細に報道され、分析されて書物等になる。だが、かつてのプロジェクトX の様に現場で必死に働いている人達に光が当たることは余りないと思う。

個人的にはハイテック企業で働いた経験から、同じ業界の東芝やシャープの苦境と現場で仕事をしている人達がどういう気持ちで働いているのか気になる。しかし、最近の報道からちっとも見えてこない。現実にはシャープからは数百人の社員が転職したという。

そんな中で先月パナソニックの軌道修正は明日の東芝やシャープにならない為の地味だが正しい経営判断だったと思う。だが、同時にある寂しさを感じた。■

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