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ドイツ人の本音と誇り

2017-09-25 19:01:18 | ニュース
私は24日のドイツ連邦議会選挙で、メルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU 中道右派)が圧勝すると思っていた。だが、第一党になったものの議席を大幅に減らした上に、連立与党だったドイツ社会民主党(SPD)が大敗して連立を離脱、自由民主党(FDP)や緑の党との3党連立の道を探ることになった。

それでもメルケル首相は勝利宣言をしの首相4選は確実視されており、党内から不協和音は聞こえてこないらしい。多分、これが日本の場合なら首相は辞任を迫られることになるだろう。選挙前に有利が伝えられていた与党が何故こんな厳しい結果を招くことになったのか、私はドイツ人の本音が表れたと考える。

選挙前の予想は、メルケル首相の下でドイツ経済がリーマンショック・ユーロ危機を乗り越え雇用を改善、100万人の難民受入れで国民の安全が脅かされた時にトルコと交渉し更なる難民の流れを抑え危機を乗り切ったことを評価され、高い支持を得て圧勝するだろうというものだった。外交面ではギリシャや南欧の経済危機をドイツ主導で乗り切り、今や自他ともに欧州の盟主と認められるようになった。

最も変わったのは、トランプ大統領と英国のEU離脱の国難を乗り切って今や欧州から世界のリーダーを伺う国になった、ドイツ国民が第2次世界大戦のナチの後遺症を乗り切ったという誇りを持つようになったと考える。反イスラムで極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」が今回初めて議席を得たのは、正にその裏返しである。

私が子供の頃は欧米の戦争映画はナチが率いるドイツ兵が常に悪役で欧州大陸を席巻し、正義の味方米英兵が乗り出して欧州を救うものだった。ドイツ国民はどういう気持ちでその映画を見たのかよく分かる。最近そういった映画は少なくなり、逆にメルケル首相下でドイツが欧州を救い米英の醜態を見た。また苦い薬(労働市場改革)を克服し繁栄を手に入れた母国の姿を見た。

なのにメルケル首相は今回大幅に議席を失った。私の推測は(1)メルケル勝利が自明のものとして多くの人達が投票を棄権した、(2)難民受け入れに反発する人達が一定程度広がっているためと考える。だが、米英に比べればその比率は少なく、逆に人道的・民主的な判断をする人達の比率がそれだけ高かった、それがドイツ人の民度であり誇りだったのではないかと私は寧ろプラスに考える。

その辺を冷静に見たのは選挙結果に過剰反応しなかった市場だったと私は思う。報じられるように今後の連立協議はそれほど簡単ではなく、メルケル首相の手腕が問われているのは間違いない。しかし、メルケル首相を支える誇りを取り戻したドイツ人の民度の高さに期待したい。■

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