かぶれの世界(新)

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英米政治の同時没落の陰

2017-06-10 14:55:54 | ニュース
昨日は英国の総選挙でメイ首相が率いる保守党が過半数を割り、米国ではコミー前FBI長官がトランプ大統領のロシアゲートと司法妨害疑惑について議会証言するというビッグニュースが世界を駆け巡った。戦後世界の人権と民主主義を牽引し繁栄を導いた二大国が、ちょっと前までは予想もしなかった無残な姿を露呈した。

トランプ大統領のアホぶりは言うまでもないが、今となってはメイ首相も無謀な賭けを強行したと批判されている。理念と力(軍事力)の両面から世界をリードしてきたアングロサクソンが間違えてリーダーを選び、国内外を大混乱に陥れている。それが遠目に見える姿だ。大混乱は選んだ国民が支払うコストであり彼等は被害者とは言えない。

これは100%結果論だが、キャメロン前首相は難局を乗り切る為にEU離脱を問う国民投票をし、メイ首相はEU離脱の交渉立場を強化する為に総選挙を前倒ししたと非難された。つまり本来不要な賭けをして負けたどころか国の舵取りを誤らせ危機を招いた。本質的な問題としてEU離脱は国民の約半数が反対票を投じたのに、首相は強硬離脱に突き進んだ政策が支持を失った原因の一つだ(ファイナンシャルタイムズFT)。

もう一つメイ首相の敗因として指摘されたのは、選挙公約に掲げた社会保障予算削減が老人層の反発を招いた為だという。EU離脱の原動力となったのは老人層の票といわれるが、今回は全く違う理由で老人層がEU離脱にブレーキをかけた。トランプ大統領を生んだラストベルトの労働者と相似形だ。何れにしろ、目先のことしか考えない老人層に国策を決めさせていいのかと思わず私は呟いた。

しかし、この分析を裏返すと若者の問題がある。国民投票時に棄権した若者の多くがその後の展開を見て、EU離脱は自分たちの未来にとって脅威だと気付き今回投票所に戻って来た。投票率が上がったのは若者達の労働党への票だったという。つまり、最初から若者がEU離脱に反対していれば混乱は避けられたのだ。

こりゃ、かなりみっともない話だ。トランプ大統領の場合も粗野な振る舞いやロシアゲート疑惑の混乱が前もって分かっていれば、仮にロシアからの選挙干渉があっても予想に反して当選するする可能性はまずなかった。高い所から眺めると、英米のような安定した民主主義国のシステムがうまく機能しなかった。経済力でも軍事力でもなく、民主主義のシステムが働かなくなったところに「没落」の予兆を感じる。

同様に日本も経験不足で無能な民主党を選んだコストを、いまだに国民は払っていると私は思う。民主党は今も政権担当能力を失い「何でも反対」政党に劣化し国民は選択肢を失った。その裏返しで、安倍政権の政策は狙った成果をあげずとも高支持率を維持しているが、支持率が思い切った政策に結びつかないのだ。

かといって、野党もマスコミも森友学園とか加計学園の「政治プロセス」疑惑に熱中し、北朝鮮の原爆やミサイル実験とか中国の拡張等にどう向き合うか国の安全保障問題を疎かに扱っている。経済も同様だ。肝心の予算審議で国の在り方についてもっと白熱した議論をして欲しい。多分時間をかけて政治プロセスを調べれば何か出て来ると思うが、「安倍一強」の揚げ足取りに重箱の隅をつついている感じがしてならない。

この状態は国民が民進党を政権に就かせたコストをまだ払っているのだと私は思う。政治プロセス問題追及で民進党は自民党の支持を少しは減らせるだろうが、国民の為の政策に全く汗を流さずして自らの支持は増やせないだろう。英米の同時没落の陰で日本の民主主義システムも機能しなくなっては困ると私は憂慮する。その対策は英国の「若者の目覚め」だったように、日本でも若者が自らの未来を決める為に動くことだと思う。■
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