かぶれの世界(新)

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ト-シロウが世界を揺るがす

2015-09-02 21:24:09 | 国際・政治
いま世界を賑わしている三大ニュースといえば、中国ショック(経済成長の急減速)、米大統領予備選のトランプ旋風、中東アフリカから欧州への移民急増、ではないかと私は思う。欧州の移民問題は地政学的かつ寛容な移民政策に起因したもので、何ら貢献していない身勝手な日本は一言もコメントできない。だが、世界の二大大国の中国と米国で起こっている間抜けなドタバタ劇にはいささかうんざりしている。いい加減にしろ!という気分だ。

泡沫候補のはずだったトランプ氏はメキシコ国境に万里の長城を築けとか女性蔑視発言など極端な主張を続けている。氏はカツラを被っているか否か美女に水を被せさせ話題になるといったお笑い芸人まがいのキャンペーンが機能している。真面目に政策論を展開している他候補が霞んでしまい、ドナルド氏は依然として共和党のダントツ支持率を維持しているのだ。何でこんなトーシロウに米国はかき回されっぱなしになっているのだろう。

背景には米国民の政治に対する苛立ちにも似た不満がある。トランプ氏の熱狂的な支持者は白人の中所得者で、メキシコからの不法移民に敵意を持っており共和党支持層のど真ん中にいるのだ。所得格差が開く中で欧州も米国でも不法移民の為に職を奪われ税金が使われることが許せない。欧州の極右政党の台頭や米国の茶会からトランプ氏への流れが無視できない政治の流れになっている。だが、私には政治の後退と感じる。もっと良い解を打ち出せずトーシロウにいい様にかき回されている。

主要な政策論争としてメキシコからの移民とその子供達に国籍付与の可否の他に、イランとの核合意とかキューバとの国交再開の是非等が議論されているが、トランプ氏が極端な主張をすると大うけに受けるものだから他候補がまともに反論せず先に議論が進まなくなる。結果的に米国人の好きな言葉「ショー・ストッパー」の役割を果たしている様に感じる。その間に発砲事件が続出し警察官が殺し殺されるニュースが連続して起こる。米国はどうしたのだろう。米国の良識はどこに行ったのか、メディアも役割を果たしてないように感じる。

もう一方の中国は、今世紀になって続けて来た無敵の高度経済成長が遂に停滞気味になって来た。中国経済指標は透明性がなくどの程度現実を反映しているか市場は疑っている。高度成長が続いていた間は数字の精度が悪くても心配する必要はなかった。だが、先月外為市場で基準値を下げ3日連続で元安誘導した時から中国政府の迷走が始まり、金融市場は混乱し世界の株式市場は暴落そして乱高下を繰り返し落ち着く気配を見せていない。

世界の投資家は不安を持ちながらも 、中国は日本のバブル経済とその後の経済運営を研究し同じ過ちを繰り返さないという信頼感がある程度あったと思う。だが、6月上海市場の株価暴落に対応して強引な株価対策で一旦落ち着いたが、その効き目はホンの一瞬だった。その後の一連の「強引な金融政策」は情報不足もあって、市場が文字通り疑心暗鬼となって資本流出の引き金を引くことになった。政府は意図した通りに混乱が収まらない市場への八つ当たりでヘッジファンドやインターネット発信を摘発した。だが、本当に間違ったのは政府だ。

中国政府は今迄強引な経済運営でリーマンショックを乗り切り、高度成長を続けて来た。世界第2位の巨大経済になった結果、皮肉なことに筋の通らない強引な経済政策では通用しなくなった。今や巨大経済は巨大権力に歯向かい簡単に言うことを聞かなくなった。合理的で適切な金融政策を打ちだし市場に明確に説明し信頼されないとやっていけない事態になった。力ずくで言う通りにならないこの状況に、中国政府は慌てふためき右往左往している様に感じる。

もう、共産党の権力構造の中でトーシロウが経済を何とかできる次元を超えたと理解すべきだ。そうしないと世界が迷惑することに早く気が付くべきだ。最近のニュースによると欧米で経済学を学び経験を積んだ中国系の専門家たちが失望して流出しているという。問題なのは資金流出だけではない。経済運営に欠かせない専門知識を持った人材の流出は大変な事態なのだが、それは共産党の権力構造への挑戦ということになる。多分、共産党政権には決断できないだろう。かくてトーシロウが経済運営を続けることになると私は予測する。

トランプ氏が出て来るとテレビの視聴率が上がるのだそうだ。そうすると、彼が何を主張しようとマスコミは媚びる。余りの人気に競争相手も媚びる。中国は権力でマスコミをコントロールするが、米国は出演者が視聴率でマスコミをコントロールする。その構造は全く異なるが中国も米国もトーシロウが筋の通らない理屈をゴリ押ししている。言うべき人の声が伝わらない仕組みが働く世界だ。それで世界が大揺れに揺れるのは勘弁願いたい。■
コメント
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