かぶれの世界(新)

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VWと東芝に共通する不正の構造?

2015-09-30 17:02:44 | ニュース
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の排ガス試験を巡る不正が連日報じられ世界が揺れている。ここまで報じられ明るみになった不正は、世界トップの自動車メーカーが顧客を欺いて商品を買わせたという、信じられないほど悪質で不道徳的な決してあってはならない振る舞いだった。

東芝の会計不正は自社の経営状況を良く見せる偽装であり、直接顧客に害を与えた訳ではなかった。一方、VWは世界の顧客を騙してインチキ商品を売りつけた、より悪質な商行為だった。VW幹部は刑事責任を問われ巨額な賠償を支払う、最悪の場合会社分割・倒産の恐れがあると推測する。その位深刻な事態だ。

だが、この日独大企業のスキャンダルには共通する問題があるかも知れない。報道によればVWの不正は2011年に開発部門のトップが違法性を指摘された、2008年リーマンショック直後の経営危機に向けて米国市場の対応、2005年頃に既に問題のソフトウェアがあった等々、疑惑だらけだ。一方、東芝の会計不正もリーマンショック翌年の3月期の経営悪化を粉飾する時に遡り、その後3代の社長にわたり不正が続いた。

共通するのは両社の不正は少数人数でやれる規模ではなく、異なる車種や事業部門が組織的に取り組んで不正が何年も続いたことだ。現場から幹部社員まで多くの社員が関わったのは間違いない。両社の責任者はある意味覚悟の悪行だったとしても、命令を受けた多くの社員の倫理意識が十分でなく内部告発されることなく何年も不正が続いたことだ。

今迄の報道では必ずしも明確ではないが、背景に上司の命令に逆らえない東芝の企業文化があったという。一方、インチキに目を瞑って仕事を続けたVW社員の倫理観の欠如の背景は何であったのか。積極的な難民受け入れなど戦争とナチの教訓から生まれたドイツに特別な文化的背景がある。今回の不正の背景は何だったのか大変興味がある。

更に早い時点でEUが異常を認識していたという情報の意味がどうなのかも気になる。欧州は世界で最も環境意識が高い、それでもVWの多くの人達が不正を続ける動機が勝ったのは何故か。東芝の会計不正が発覚後内部告発が続出したが、VWの場合はどうなのか。もう少し待ってみよう。

その点、エンロンやワールドコムなど米国のスキャンダルは非常に分かり易い。それは経営者の「強欲」が起こし、自からの職業倫理に忠実な社員が内部告発した。分かり易い不正の構図だ。一方、日独経営トップは必ずしも「強欲」とは言い切れない、地位や権力或いは名誉だったのか。日独企業の不正は外部からの告発を待つしかなかった。ドイツ人社員も上司にモノを言えない文化に染まっているのだろうか。■
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