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私的・リーマンショック5周年

2013-09-13 11:53:57 | 社会・経済

リーマンショックから5年も経った。今週はもう一つその後の世界の風景を変えた大事件9.11のアニバーサリーがあった。こちらの方は(特に日本では)記憶が風化しつつあるが、アフガン・イラン戦争を経て米国の指導力低下が進み、エジプト・シリアなど今日の中東情勢の混迷の一因となっている(英国際戦略研究所)。

だがリーマンショックの記憶は未だに生々しく、世界各国にその後遺症が残っている。内外のメディアはリーマンショック後の5年間を振り返って識者の興味ある論評を報じた。記事を読んで彼等はリーマンショックが終ったと思っていないことが確認された。

私自身、過去5年間沢山の書籍や報道記事を読んできた。だが多くの人達と同じように未だに納得できる答えを得てない疑問がいくつかある。ベアスターズを救って、何故リーマン・ブラザーズは救わなかったのかという疑問だ。識者は起こったことを考えると、結果として破産させる判断はなかったという意見が多い。(ベアスターンズ救済が間違ったメッセージを送ったという指摘もある。)

だが、リーマンショックの一方の主役ポールソン財務長官を始めバーナンキもガイトナーもインタビューに答え、甚大な影響が出ると予測していたが当時の法制下ではリーマンを救う手立てはなかったと繰り返している。ポールソンは加えて救済された金融機関幹部が巨額のボーナスを得たのには仰天したと強調している(WSJ)。ともあれ残りの主要金融機関と自動車業界は救われ、世界大恐慌は免れた。それだけでも良くやったと言ってもいい。

今米国の経済回復は先進国のトップを走っている。自動車産業は復活し、新しいグローバル企業が登場した。シェールガス革命で経常赤字が大幅に改善する見込みだ。だが、国民の多くは未だに強い反感を持っていると記事は報じている。ウォールストリートは救ったのに、メインストリートはほったらかしにされ、貧富の格差が広がったという思いだ。

依然として1130万人の失業者がおり、住宅ローンを組んだ6人に1人は借金より安い住宅価格にあえいでいるという(WSJ)。この「分断されたアメリカ」が今後どっちの方向に進むか、経済より政治的な変化として現れてくるかもしれないと私は考える。

ここから得られた教訓は何か、それは異なった手法を取った欧州との違いを検証すると見えてくる。欧州も余波を受け大怪我をし、未だに病状から完全回復できず目が放せない状態だ。WSJはその差を以下のように指摘している。

 政府の金融機関救済キャンペーンにおける最大級の成功の1つは、厳しい批判の対象となった「ストレステスト(健全性審査)」にある。09年前半に導入された大手金融機関19社のストレステストは、これを満たさなかった企業に増資を強いた点で重要な意味を持つ。その後欧州でも同様のストレステストが実施されたが、その内容は米国ほど積極的でも厳しくもなかった。現在、苦境に陥っている欧州の金融機関はユーロ圏経済の足を引っ張っている。

私は妥当な指摘だと思うが、日本で政策に反対する連中が常套句「その前にやることがある」という台詞を言いたくなる。これだけ全世界に死ぬほどの迷惑を掛けておいて、一言も反省やお詫びの言葉が何処からも聞えてこないのはどういうことだ、と言いたくなる。非常に個人的だが、これが私の第2の疑問だ。「小さな迷惑は謝るが、大きな迷惑は知らん振りする」とは米国でよく聞いた。或いは経済的なことでどんな場合でも国レベルで謝る事はない、ということかもしれない。

FTは別の言い方でメインストリートの不満を論評していた。オバマ大統領登場時の国民的コンセンサスであった米国経済の不均衡是正が頓挫している。個人貯蓄率は危機発生直後には3%から6%に急上昇したものの、その後4%に近いレベルに戻っている。国民所得に占める雇用者所得の割合はGDP比62%が59%前後になり格差が拡大している。

予算削減に対し適切に対応しないと、長期的には雇用の質と成長のレベル、経済全体の安定性に影響を及ぼす。長期的に見て米国経済にとって金融危機の遺産が持続可能性に向けた転換につながらなかったら悲劇と指摘している。つまり、米国はリーマンショックの教訓を生かしてないと見ている。かもしれないが、正直良く分からない。

私にとってリーマンショックは未だ記憶に新しいが終わった事であり、過去の出来事となった。というのもリーマンショックで大きな損失を受けたが、昨年までに新興国の成長が損を取り戻してくれ、今年はアベノミクスが若干プラスにしてくれたからだ。最終的には証券会社の勧めよりも自ら情報収集し状況判断したのが幸運にも当った、自分の判断を大切にするという教訓を得た。

2009年初め頃に退職金相当の損を出し、更にそれ以前の貯蓄にも大穴を明けていた。最悪の場合でも家族を路頭に迷わすことの無い範囲の投資に留めていたし、日頃の生活スタイルを変える必要もなかった。家族に動揺を見せないよう努めた。だが、100%は開き直れず内心は酷く失望していた。親しい友人の中には当時の私は沈んでいたと気付いていたようだ。先日、娘夫婦は当時私が損したかもと案じていたと打ち明けた。

ネットや付き合いのある証券会社の情報から推測すると、リーマンショックを機会に損切りして投資を止めるか、塩漬けにした個人投資家がかなりいたのではないかと思う。その中でアベノミクスのお陰で塩漬けした投資物件が生き返った個人投資家も相当数いると報じられている。リーマンショック後は私にとって波乱の5年間だった。■

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