ネット選挙運動が解禁された参院選はいよいよ終盤に入ったが、報道によれば先に実施された都議会選と同様に盛り上がりに欠けているという。高い支持率を誇る安倍政権の下で与党の圧勝が予想され、与野党が決定的に対立し世論が分断されるような争点がないことが原因のようだ。マスコミは低投票率を予想し、組織票を基盤とする自公と共産党が有利と報じている。
低投票率を予測するニュースの中で気になるのが、組織票の対極にある浮動票の動向である。ネット選挙によって投票行動がどう変わるか、特に若者の投票がどう変化し影響を与えるか、大変気になる。今日の日本経済新聞が報じたネット調査、投票に「必ず行く」の回答が少なかった。調査対象はネット回答者だけで、全体52%なのに、20歳代37%、30歳代43%と低かった。
それで無くとも参院選は1票の格差が5倍もあり、人口が少なく老人比率の高い地方に極めて有利なシステムになっている。私の直感的な印象では人口比で見ると60歳以上:40-59歳:20-39歳の比率40:35:25が、1票の格差と投票率を加味して換算すると50:35:15程度になる。これでは老人に都合の良い政治でなければ落選の可能性が極めて高くなる。
実際、近年に無い高支持率の安倍内閣で持ってしても、老人医療負担見直し、年金支給年齢引き上げなどは全て先送りした。自民党は老人世代を抑えておけば若者世代の反発など怖くない、選挙に勝てると踏んだからだ。こんな事態なのに、投票しませんと堂々とテレビインタビューに答える若者は世間知らず過ぎる。政治的にもっと無視されることになる。
テレビはそういう連中を無批判に報じ、時に政治に対する抗議の意味をもたせて報じるのには違和感がある。もしかしたら若者のテレビ離れに対する復讐かもしれないが。もっと真面目に考えると、無投票・棄権は責任を果たさず同世代の仲間を裏切る行為だと私は思う。
現実的に20-39歳代の投票率が上がりトータルの票数が大きくなるだけで、政治はそのマスを無視できなくなり政策上の考慮をせざるを得なくなる、そういう力学が働くと私は考える。世代間の投票率が逆転すれば、先ずは若者の社会保障政策等を優先し、その後原資があれば老人の為の政策を考える政治になると予測する。青年よ、政治を目指せ。■