かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

パソコン価格破壊リダックス

2008-12-03 18:08:30 | 社会・経済

久しぶりにパソコン業界の話題について一言。世界的信用不安と不景気のニュースに隠れているが、今、パソコン業界は暴風雨が吹き荒れて、かつての様なニュース価値はなくなったものの、業界を一変させるようなパラダイム変換が起こっている。

日経エレクトロニクス(12/3)の記事によると、超低価格パソコンの値下げ合戦が過熱して、国内メーカーの価格が実質4万円台になったと報じている。

超低価格パソコンは今年1月に、台湾の世界的パソコンメーカーASUSTechがEee PCを販売開始して瞬く間に市場を席巻し、今では国内ノート・パソコン販売の1/4がこの超低価格パソコンになったといわれている。

本件はいわゆる「ローエンド破壊」の典型的な例になる可能性が高いと見て、専門家の間で注目されてきた。私も、直近では今年3月初めに「パソコン商戦異常なし」で1-2年内の市場変化を予測した。

http://blog.goo.ne.jp/ikedaathome/d/20080305 

しかし、今回の実体経済の悪化はこの変化を早めたようだ。

初めはフル機能を備えていない別のカテゴリーのパソコンと見做していた(或いは戦術的に意図して区別した)大手メーカーも、超低価格パソコンが市場で受け入れられ急速に販売が伸びるのを見て、後追いで超低価格パソコンの投入をせざるを得なくなった。

従来のパソコンメーカーにとって見れば、最悪の時(景気後退で市場が縮小している時)に、最悪の商品戦略(超低価格機の投入)を強いられることになった。ビッグ・スリーの大型車が石油高騰から金融不安で売れなくなり、日本でも軽自動車のみ売れるのと同じ構図だ。

国内家電量販店のPOSデータの集計によれば11月第3週のノート・パソコン販売は前年比20+%増にもかかわらず、販売金額は前年並みだったという(GfK Japan調べ)。つまり端的に言うとノート・パソコンの平均販売単価が20%低下した。

一方デスクトップ・パソコンは絶不調で金額ベースで前年同週比27%減少したという。超低価格パソコン以外は苦戦を強いられている。トータルで見ると、平均単価の低下が利益を喰っている構図が浮かんでくる。

超低価格パソコンを客寄せに位置づけて乗り切ろうと当初考えていたパソコンメーカーも、この事態は一時的なものではないと判断し、既に本腰を入れて商品計画を練り直したと思われる。しかし、超低価格パソコンと台湾メーカーは既に市場でしっかり認知された。来年はかなり高い確度でシェーク・アウト(業界再編)が起こると予想される。■

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする