かぶれの世界(新)

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介護録08冬(1)

2008-12-02 20:38:47 | 日記・エッセイ・コラム

昨日母の住む愛媛の実家に戻り、例年通りこの後2、3ヵ月同居して母の様子を見る予定だ。最近は帰郷する度に、急激に衰える母を見るのは辛かった。今回は端から覚悟していたので、予想通りといえば予想通りの姿かたちだった。

いつも母がいる居間に入ると、小便と思われる匂いが座椅子あたりから漂ってくる。冷蔵庫の中は殆ど空っぽだった。台所の生ゴミ箱を開けてチェックすると、使い捨てオムツの強烈な匂いが鼻を突き、あわてて蓋を閉めた。実はこのことを予想してこの夏に密閉性の良いゴミ箱を買った。

このところ母の血糖値が異常に高い日が時々あった。家内がつまみ食いを監視カメラで目撃し、ヘルパーさんから冷蔵庫に買った記憶のない食料があり何か変、という申告が何度かあった。2週間前にケアマネージャのKさんから掛かりつけ医に相談して、朝夕のインシュリン投薬量を少し増やして頂いたばかりだ。

母は、私やヘルパーさんが監視しているのを感じてひどく気分を害していた。先日、家内が実家に顔を出した時、あれをするなこれをするなと、まるで監獄に居るようだと言ったそうだ。実際のところ食事以外の制限はないのだが。食欲を我慢出来ない罪悪感の裏返しの感情と理解するが、何でも食べて良いと無責任に言えば、母の健康が悪化するから言えないのが辛い。

私が傍に居てつまみ食いが見つかると、厳しく咎められるのを恐れて自制するようになると、結果的に血糖値が下がりすぎて良くないかもと心配したが、ほんの少しのインシュリンの増加量なので、変調が見られたら余裕を持って対応できる程度の様だ。

今日はこの土地の典型的な冬の天候で、朝から霧がかかり寒々としていた。昼前になって霧が晴れると、雲ひとつない晴天で日差しが暖かく気持ちがよかった。霧が晴れるのを待って急いで母の座椅子の座布団やクッションを、日当たりの良い東屋に立てかけて日干しした。

ところが実家は谷間に南向きに建てられているので、植林した杉が高く伸びた今、2時前には西側の山の端に日が隠れてしまう。たった2時間程度しか日干しできなかった。昔からこの土地に嫁いだお嫁さんは、この気候で一度は滅入ってしまうそうだ。

庭を見ると、ヘルパーさんの紹介でシニア・ボランティアの方がやられたと聞いていた、家庭菜園が綺麗に手入れされていた。夏の頃は、母がまだ元気だった春に植えたキュウリ、トマト、ナス、ネギなどが、大きく伸びた雑草に囲まれて育っていたが、今は良く耕され雑草が無い黒い土から濃い緑の野菜だけが育っていた。

柿の木は9割がた落葉していたが、柿の実は1個も残っていなかった。多分かなりの柿は母が食ったと思ったが、とぼけて母に聞くと鳥が来て食ってしまったという。「鳥は実の形が全て無くなる様な食べ方はしない」、とまで出掛かって言うのを止めた。

座布団を取り込んだ後、車のバッテリーを接続し直して動作を点検した。何の問題もない。居合わせたヘルパーさんによると、近年冬でもチェーンが必要な日は数日しかないという。その後、介護オムツを買い足しに行き、ついでに私の食料の仕入れをした。もうとっくに終ったと思っていたが、近所の山はまだ紅葉の時期、車の中はまだ暖かい秋の日差しだった。

普通ならこれで終わりだが、今日はそれで終らなかった。

夕方、血糖値を計ると36だったと見守りをしたヘルパーさんから報告があった。今朝は33だった。2度続けて異常に低い値になったのは初めてなので、運良くまだ診察をされていた掛かりつけの先生に状況を電話連絡すると、取り敢えずインシュリン投入値を元に戻すよう指示を受けた。

今まで習慣になっていた食間のつまみ食いが出来なくなって血糖値が下がったのか、母が言うように私が帰る早々うるさいことを言うから体が反応したのか、単なる測定誤差が偶然二度続いたのか。実家滞在の2日目にしてややこしいことになった。明日は介護レベル判定の見直しの為、市役所の担当の方が来る予定だ。■

コメント (2)
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