かぶれの世界(新)

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米景気後退、新たな段階へ

2008-03-15 21:55:47 | 国際・政治

邦準備銀行(FRB)は資金繰り難が危機的状況に陥った米国大手金融機関ベア・スターンズに最大20兆円に上る資金注入を決定した。従来金利の上げ下げで景気変動に対応してきた連銀が異例の処置をしたと見られている。

その理由は明らかで、従来の金利を調整する金融政策では対処できない事態になったからだ。駄目な金融機関は潰せと冷酷にいえる状態ではなくなった、ベア・スターンズがこけたら金融システム全体が将棋倒しに危機に陥る恐れがあると判断したからだ。(NYtimes3/15

だがそれでもベア・スターンズはまだ森から出ていないと今日のCNNは報じている。この所謂流動性危機を前にしてFRBの資金注入にもかかわらず、昨日のNY証券市場のダウ平均は200ドル近く下落し、12000ドル台を割って引けた。

数日前サブプライム損失問題は先が見えてきたという楽観的な声が出て一旦持ち直した、市場はまだこの先もっと悪いニュースが流れることを恐れている。欧州当局も同日国際的な金融機関に大事になる前に損失を包み隠さず公開するよう迫ったと報じられている。

金融危機が長引くと大事になる

サブプライム問題を俯瞰すると、悪いニュースは金融機関だけに限られている。勿論サブプライム延滞率が益々悪化し、雇用が2ヶ月続けて減少、消費もジリ貧になっているが、鉱工業生産は悪くないし、住宅を含め在庫水準は減少しており、総合すると米国の経済指標は悪くないのである。

だが、金融システムが資金不足になって機能不全になったまま放置しておくと何が起こるか、バブル崩壊後の日本を思い起こせば自明のことだ。

日本のバブル崩壊後、製造業が血を流して構造改革した後も、銀行が不良債権を処理せず機能不全に陥り、長期間にわたり景気は後退し消費が低迷、最終的に最悪のデフレに陥った。米国がこのシナリオに陥るのだけはどうしても避けなければいけない。

米国の対応速度は日本とは比較にならないほど早いが、それでも日本と同じ道を歩むか岐路に立っているように私には感じる。それだからこそFRBはベア・スターンズの資金不足に対し異例の直接支援を決定したのだと思う。

世界の中央銀行が対策を連動させる時

しかし、いまや市場はこの対策が十分機能するか疑心暗鬼に陥っている。バーナンキ議長は出だしの遅れはともかく大幅な金利下げを連発して来たが決定打とはならず、その間にFRBの打つ手が徐々に限られてきた。

現行の消費者物価指数が2.5%弱程度であることを考えると、FF金利を下げるといっても2%になると実質マイナス金利になる。マイナス金利になれば高インフレ誘発の可能性が極めて高くなる。インフレ対策より景気優先策をとってきたバーナンキ議長といえども「のりしろ」が少なくなってきた。

こうなると、欧州や日本の中央銀行は金利上昇を抑制し静観する訳には行かなくなった。この新しい事態を乗り越えるには各国が連携して最善の措置、即ち金利下げを実施すべきと信じる。最早、一国もしくは地域だけの論理では対処できない事態になったのだ。■

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