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国はつくづくマーケティング先進国だと思う。4日のテキサス・オハイオ州等の大統領予備選では大方の予想を覆しクリントン候補が勝利した。スーパー・チューズデー後連敗が続き、キャンペーン・マネージャを交代させ打ち出した選挙作戦がまんまと嵌まったようだ。
選挙の途中で戦術を修正しながら戦うのは容易ではないはずだが、あれだけ劣勢の中踏みとどまったクリントン陣営の二枚腰は生半可でないしたたかさがある。事前の予測を覆したのはこれで二度目だ。
長い選挙戦とはいえ、ここまで来て人事異動し戦術を見直して即情勢を変えるのに成功したのはマーケティングの力だと私は思う。米国で働いていた時新しく雇用したマネージャは即結果を出すことが期待され、それに応えていたのに驚いたことを思い出した。
今回話題になったのは、明け方3時にホワイトハウスに緊急事態を告げる電話が入ったとき誰が適切に対応できるかと問いかけ、演説が上手いだけのオバマと経験豊かなヒラリーと対比するスポット広告が繰り返し流された。かなり露骨で脅迫まがいといわれようとも効果があったようだ。
クリントン大統領時代、独自の世論調査を実施しながら政策を修正し危機を乗り越え、任期最後まで国民の高い支持を受けて政権を運営したことは記憶に新しい。ブッシュ大統領はIT(CRM:顧客管理プログラム)を活用し有権者情報をしっかり把握したのが勝因の一つといわれている。
しかし、本選ではベトナム戦争を経験したマケイン共和党候補の方が安全保障がらみで有権者を脅迫するならより説得力があるのは明白である。今回そんなこと言ってられない程、ヒラリーは追い詰められていたといえるが、一応オバマの勢いを食い止めた。
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口調査を見ると今回予備選をした4つの州に共通して女性票が57%、男性票が43%だった。今回女性が立ち上がり人生に一度の女性大統領実現の為に投票所に行ったのではないかと思った。しかし、ネットを調べた限りではそういう単純な分析は見かけなかった。
いつも意見を聞くメル友はヒスパニック票のお陰だろうと言い、ヒラリーの演説はオバマに比べキーキー叫んでるように聞こえると、すっかり熱が冷めた返事だった。どっちでもいいから共和党候補に勝ってくれればいいとやや投げやりで、もはや参考意見にもならなくなった。その後も女性票がヒラリーを救ったと思っている人はまだ見つかっていない。私の勝手な思い込みのようだ。
投票直後のCNNのシミュレーションによると、仮にこの後どちらかが勝ち続ける極端な例でも過半数は取れない状況なので、どちらかが降りない限り党大会でスーパー・デレゲートの投票で決着することになるようだ。最新号のタイム誌によるとオバマ支持が199対238までヒラリーに迫っていたが、今回の結果で一旦保留する動きが出てきたという。
依然オバマが有利だが、彼が優勢になり攻撃のターゲットになり防御に回った時の対応がどうか問われる。テキサスの予備選が終ったあと嫌な質問を受けてインタビューを拒否する映像は今後も繰り返し流されるだろう。今までのメディアとの蜜月関係がずっと続く保証はない。■