かぶれの世界(新)

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パソコン販売失速!?

2006-06-06 14:33:34 | 社会・経済

4月半ばに早々と夏の新製品に切り替わって以来、弱含みだったパソコンの小売販売が失速し未だに浮上していない。ゴールデンウィークの販売は盛り上がらず、その後も販売金額ベースで前年同期比2割減が続いている。一体何が起こっているのだろうか。

かつてならビッグニュースだが、今では余り注目されていない。関連技術や裾野産業、ビジネス/ホーム・ライフスタイル等への影響が減少したためだ。私は現場を離れて久しいので市場の感度を失いつつあるが、さすがにこれだけ劇的な販売減を見ると何が起こっているのか気になる。手に入る情報から販売失速の原因を探ってみる。

Gfkジャパンのレポートを見ると5月第3週の販売は台数が前年比17.1%減、販売高が19.7%減だった。逆算すると販売単価は前年比2.6%下落程度で値下げが止まったように見える。2004年はオリンピックイヤーで不調だったが、昨年は4年ぶりに需要が回復し台数ベースで前年比13.6%増加したのにもう今年は失速してしまった。

2005年の販売増の要因は買い替えサイクルと価格ダウンである。世界的な過剰供給による液晶ディスプレイ等のキーコンポーネント価格の暴落がパソコンの大幅値下げを可能にした。同時にDellHPの低価格攻勢に対抗し国産メーカーも目一杯値下げ、需要を喚起し市場を活性化した。

ところがこの夏の商品は前出のように平均単価は2005年とほぼ同じであり消費者の購入意欲を喚起できなかった。今年液晶メーカーはテレビ用ディスプレイの生産を増やし、パソコン用ディスプレイの在庫水準を改善、その他のキーコンポーネントも含め卸売価格が落ち着いているようだ。

殆どのパソコン・メーカーは生産を中国にシフトしたので、人民元の切り上げが値下げ余力を奪った。メーカーの値下げ余力は無い。国内生産が主力の富士通の事業責任者はシェアを維持するために体力以上に値下げするようなことはしないといったと報じられている。

背景にはメーカーのパソコン事業に対するスタンス(コア事業の位置づけ)の変化がある。メーカーは構造改革の中で半導体やディスプレイ等のコンポーネント事業を整理縮小・切り売りし、残ったパソコン事業に資金を投入してまで(損をしてまで)守るべき事業ではない、資金投入に見合う波及効果が期待できない水平分業構造になった。

Gfk報告によればノートパソコン販売単価下落は8%、台数ベースでは前年比販売の3.5%減に留まっている。しかし、デスクトップの主要販売機種が原価高の地上ディジタル放送対応になった結果販売単価が1.7%高くなり、前年比3割以上の販売台数落ち込みというかつて無い落ち込みとなった。

パソコン・ビジネス全体を俯瞰すると商品戦略がネタ切れになったように見受けられる。構造改革でマーケティングや技術者の総数が激減した。マイクロソフトやインテルのアイデアもパンチが無い。今ホットなiPODやワンセグがパソコン販売を刺激するアイデアに繋がることもないようである。

Nikkei-BPのアンケート結果を見ると、そのほかの原因としてVISTAの販売延期が消費者の購入意欲を減退させた可能性がある。正直、今買わなければならない理由が見当たらない。2004年オリンピックイヤーの販売不振と同じように、ディジタル対応の大画面フラットテレビに顧客が流れた可能性がある。■

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