【今日の 言葉】
物理学でいう「慣性」つまり、他からの力が働かない限り現在の運動状態は変化しない、というあれだが、この「慣性」をどのように発音するのか。
ある時テレビのアナウンサーが「感性」と同じにカンセイと発音していて、非常な違和感を覚えた。わしは「完成」と同じにカンセイと発音するのが標準と思っていた。
ある時、このことを科学館で話したところ、ケイコサンは完成と発音するでしょ、と言う。
しかし感性でしょと発音する人もあり、人によりさまざまであった。(若い人は感性)
完成が多かったと記憶している。(年寄りが多いから)
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これで思い出したが
水素イオン濃度を表す指数ph(つまり酸性・中性・アルカリ性を表す指数、7が中性)の発音について、やはりこれもNHK教育の番組で「ピーエッチ」と発音していた。
あれ?「ペーハー」でねえの?と思ったワシは、さっそく調べたね。
これは1957年に国際単位系で「ピーエッチ」に統一されていたのであった。1957年と言えば昭和32年だぜ、ずいぶんな昔だ、でもおかしい、ワシは中学校でも高校でも大学でもペーハーと教育されて来た。(と思う、だんだんと自信がなくなってきたぞ)
なんでやねん。
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気圧の単位「ミリバール」が「ヘクトパスカル」に変更されたのは知ってる。調べると1992年の国際単位系の変更であった。(これは想像)
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こういった言葉などの変更は案外あるもので、認めたくはないけどグルジア共和国の呼び方をジョージアに変更(缶コーヒーみたいだが、またはアメリカ合衆国の州)したり、
「いい国造ろう鎌倉幕府」1192年は「いい箱作ろう鎌倉幕府」1185年に変わったり、(1192年は源頼朝が征夷大将軍になった年)
「隠れキリシタン」を近頃では「潜伏キリシタン」という。
まだあるぞ、「エスキモー」を差別用語だとして(ワシはちっとも差別語だと知らなんだが)「イヌイット」と呼んだりするようになった。
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科学館での話に戻ると
この時ワシは慣性の発音の話に我が意を得て、地名でもそんなことがある、例えば山口県防府を私は「ぼうふ」と教わったが今は「ほうふ」と呼ぶように変わった、と話したら、そこにいた人たちは「やー、昔から「ほうふ」ですよ、多分教えてくれた先生が間違っていたんですよ。」とやんわりと教授された。
とても恥ずかしかった、余計なことは言うもんじゃないねえ。
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蛇足:ピーエッチと書いたけどピーエイチと正しく書くべきである。Eテレのアナウンサーもエッチと言ったがエッチはワシで充分、Hはエイチというべきである。キッパリ