長い梅雨が予想されるうっとうしい毎日ですが、
皆様いかがお過ごしでしょうか。
早くも2011年前半のクールが終了。あっというまである。
過去ドラマを振り返って、
『嗚呼もうそんなに前のドラマだったのか…』と思うとき、
時の流れの速さを感じてしまうのである。
早速ですが2011年4月クールのドラマを振り返ってみよう。
『JIN~仁~2』は予想通り、高視聴率を記録したが、
これに対して裏の『マルモのおきて』もかなりの善戦。
これも、芦田愛菜の人気?ワンコ・パワー?
それとも阿部サダヲの演技力?
この『マルモ…』をはじめ、『名前をなくした女神』
『グッドライフ』『犬を飼うということ』など
大人顔負けの子役の名演技が光った。ついでにワンコの演技力も。
一方、特殊メイクを駆使した、『リバウンド』のズッコケコンビ、
速水・相武の体当たり演技もなかなか見ごたえがあった。
『幸せになろうよ』は、やはり震災後のこの時期に結婚相談所?、
ということで予想通り不発。
今やSMAP 効果はほとんどゼロ、があらためて実証された。
失望が大きかったのは『BOSS2』。今回はおふざけがひどすぎた。
やはり刑事ドラマの中でコント的セリフは頻発させるものではない。
たまに出てくるのが良いのである。
犯罪解明ストーリーの練り上げにもっと時間をかけるべきだった。
せっかくシリーズ化が期待されたドラマだったのに、
恐らく今回で終了だろう。残念である。
さて、それでは7月クールのドラマを一通りチェックしてみよう。
夏ドラマは例年あまり期待できないが、どうだろう。
フジ月9 7/?~ 『全開ガール』 新垣結衣、錦戸亮(NEWS)、平山浩行、蓮佛美沙子、鈴木亮平、 佐藤二朗、青山倫子、荒川良々、竹内力、薬師丸ひろ子
最強の女=新垣、最弱の男=錦戸が繰り広げる、痛快子育てラブコメディー。国際弁護士をめざす新人弁護士・鮎川若葉(新垣)は勤務先の法律事務所所長・桜川昇子(薬師丸)の5才の娘・日向の世話を押しつけられる。日向を迎えに行った保育園で出会ったのが、人の良い騙されやすい人情家で下町の定食屋で料理人をしている山田草太(錦戸)だった。彼はマンションの隣に住むシングルマザーの息子・ビー太郎の育児をまかされたイクメンだった。プライドの高い若葉にとって草太は、彼女が最も嫌悪するタイプだったが、子育てを通じてお互いが成長し関わりが深まってゆく。錦戸はどのドラマでも同じ表情で出てるのが気になるが演技力は買われているのだろうか。もはや落ちるとことまで落ちている月9もやはり天才子役に期待するしかない?
テレ東月10 7/?~ 『IS~男でも女でもない性~』 福田沙紀、剛力彩芽、井上正夫、西田尚美、南果歩
原作は六花チヨのコミック『IS(アイエス)』。ISとはインターセクシュアル(intersexual)の略で、生殖器や染色体等が男性型か女性型かのいずれかに統一されておらず男女の区別があいまいな人。半陰陽とも呼ばれる。20才の福田沙紀と、今ミスドCMで売り出し中の18才の剛力彩芽が高校生役でW主演。ISなのは福田演じる星野春、戸籍上は女性となっているものの中学まで男性として生活してきた。しかし高校では男子とは認められず女子生徒として過ごすことになる。ISの事実を隠して女子を“演じて”いた春だが、クラスメートの相原美和子(剛力)をはじめ数人の女子の同級生は春がISであることを知りながら受け入れてくれる。しかし春が生まれて初めて恋心を抱いた相手はサッカー部の伊吹憲次(井上)だった。ISとして生まれた高校生の心のゆらぎ、当人を取り巻く友情、家族の絆などが描かれる。繊細でむずかしい問題を取り上げたドラマ。
フジ火9 7/?~ 『絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~』 上戸彩、宮迫博之、山口紗弥加、丸山智己、北川弘美、木村了、永田彬、南圭介、齋藤めぐみ、中原丈雄、杉本哲太、北大路欣也
2010年4月クール『絶対零度~未解決事件特命捜査』の続編。個人的にはあまり面白いとは思わなかったが、意外にも視聴率が取れたため(平均視聴率14.4%)、今クール再登場。スタート前に『絶対零度~未解決事件匿名捜査~Special』が放映され、ここで特命のメンバーが再結集されるという設定。ただし舞台は迷宮入り未解決事件を扱う『特命捜査対策室』から、現在起こっている事件を扱う『特殊犯罪特命対策室』となる。基本的に上戸は刑事役が全く似合わないことから違和感を拭い切れないのだが、前作並みの視聴率が取れるかは疑問。
フジ(関西テレビ)火10 7/?~ 『チームバチスタ3~アリアドネの弾丸~』 伊藤淳史、仲村トオル、小西真奈美、福士誠治、市川知宏、中村靖日、名取裕子、林隆三、利重剛、安田顕、尾美としのり、高橋克典
原作は海堂尊著『アリアドネの弾丸』。2008年10月クール『チーム・バチスタの栄光』、2010年4月クール『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』につづく第3弾。海堂先生の『田口・白鳥シリーズ』としては5作目の著書。シリーズの根底にある死因究明の徹底をテーマに、『AI(autopsy imaging)』をめぐる医療と法医学・警察の対立が描かれる。東城大学におけるAIセンターの設立をめぐって新型MRIの中でメーカー技術者が殺害される事件が起こる。続いて院内で拳銃による殺人も発生。この事件で病院長の高階(林隆三)が逮捕されてしまう。田口・白鳥の迷コンビが事件の真相を解明し高階の無実を晴らそうとする。最初の頃の感動がだんだん薄れてしまっているように思われるこのシリーズだが、果たして視聴率は?個人的にはもういいんだけど。
テレ朝水9 7/?~ 『新警視庁捜査一課9係(6)』 渡瀬恒彦、井ノ原快彦(V6)、津田寛治、穂のか、羽田美智子、吹越満、田口浩正、原沙知絵、中越典子
2006年4月クールからスタートした刑事ドラマのシリーズもの。今回第6シーズンとなる。これまでおおむね11~13%台の視聴率だが、前シーズンは14.7%と好調だった。登場人物はムサいオッサンばかりで、とりたてて(穂のか、羽田、中越には申し訳ないが)うら若い端麗な美女が出演するわけではないのに人気はある。『相棒』とは異なるテイストながら、『○○刑事○○』シリーズの後釜として並行して刑事ドラマの人気シリーズを確立してゆこうとする意図が見える。
日テレ水10 7/6~ 『ブルドクター』 江角マキコ、石原さとみ、稲垣吾郎(SMAP)、志田未来、ブラザートム、さくら、大野拓朗、池田成志、阿南健治、マギー、市川亀治郎、市毛良枝、小日向文世
『医療ヒューマンミステリー』。犯罪に巻き込まれて死亡しながら、正しい死因が特定されないまま闇に葬り去られようとしている犠牲者がいるという現実に立ち向かう法医学者と刑事の二人の女性。その法医学者を4年ぶりドラマ復帰の江角マキコ、ライバルの?刑事を石原さとみが演じる。この二人、意地やプライドが激突し相性は最悪。バトルを繰り広げながらも、不本意に犯罪で命を落とした人たちの声を拾い上げてゆく。タイトルの『ブルドクター』は、ブルドーザーのように豪快に仕事を進めてゆくドクターの意味とか。対抗する石原の役は、理想は高いが思うような人生を掴みきれていないアラサー女子。そんな二人に怪しく関わるエリート法医学者を稲垣吾郎が演じる。『ヴォイス~命なき者の声』の女医版といったところか。
TBS木9 前クールより継続 『渡る世間は鬼ばかり(10)』 泉ピン子、宇津井健 他
ドラマが停滞気味で果たして有終の美が飾れるのか心配な展開である。前回解決したはずの問題を再びぶり返し、同じような問答を繰り返すパターンが目に余る。橋田先生、物忘れ大丈夫か?貴子(清水由紀)、加津(宇野なおみ)、壮太(長谷川純)などキャラクターが理解不能で、歯の浮くような彼らのセリフの連発はたいがいにしてほしい。最終回もいよいよ近くなり、焦点は赤木春恵が最後に登場するかどうか。そして、なにより眞(えなりかずき)と加津がいよいよゴールイン?(しつこいよ)。
テレ朝木9 7/?~ 『陽はまた昇る』 佐藤浩市、三浦春馬、池松荘亮、ARATA、斉藤由貴、橋爪功
警察学校を舞台に繰り広げられる人間ドラマ。警視庁捜査一課の鬼刑事として活躍してきた遠野一行(佐藤浩市)が受けた辞令は警察学校の教官勤務だった。そこに待ち受けていた訓練生たちは現場の苦労など全く考えていない今どきの甘い若者ばかりだった。そんな訓練生の一人に宮田英二(三浦春馬)がいた。何でも器用にこなす優秀な訓練生だったが、警察官としての資質には疑問を持つ遠野だった。教官と訓練生のぶつかり合いを描き熱血学園ドラマ風かと思いきや、これに過去の未解決事件がからんできてサスペンスの様相も織り交ぜられている。今どきこの手のドラマをどんな視聴者が楽しむのか疑問に思ってしまうのだが…。
フジ木10 7/?~ 『それでも、生きてゆく 』 瑛太、満島ひかり、風間俊介(ジャニーズJr.)、田中圭、佐藤江梨子、福田麻由子、村川絵梨、倉科カナ、柄本明、段田安則、小野武彦、風吹ジュン、時任三郎、大竹しのぶ
脚本家・坂本裕二によるオリジナル作品。犯罪被害者の兄と加害者の妹が出会い、悲劇を乗り越え希望を見出そうと懸命に生きる姿が描かれる。友人に妹を殺害された主人公を瑛太が演じる。『おひさま』の好演が光る満島ひかりがその加害者の妹役。彼女にとっては連続ドラマ初ヒロイン。自分の怠慢で妹を殺害されてしまった深見洋貴(瑛太)は自責の念を感じていた。一方、加害者の妹・遠山双葉(満島)は周囲の白い目を避けながらひっそりと暮らしていた。事件から15年後、運命のいたずらか、二人は偶然出会う事になる…。結婚で人気低迷する瑛太の主演に加え、全体に暗い展開が予想され、高視聴率は期待できそうにもない。
TBS金10 7/?~ 『美男(イケメン)ですね』 藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft.2)、玉森裕太(Kis-My-Ft.2)、八乙女光(Hey! Say! JUMP)、瀧本美織、六角精児、山崎樹範、清水優、能世あんな、片瀬那奈、井森美幸、柳沢慎吾、高嶋政伸、萬田久子
2009年の韓流ドラマ『美男(イケメン)ですね』のリメイク。同ドラマは韓国では社会現象にもなり、日本でもブレイクしていたということだが、全然知らず…。いいかげん『イケメン』という言葉も聞き飽きてきたのだが。Kis-My-Ft2 玉森・藤ヶ谷が連続ドラマ初主演!おまけに主題歌『美男ですね』でKis-My-Ft2が待望のメジャーデビュー!ということで『てっぱん』の瀧本美織の起用も話題だが、ほとんど Kis-My-Ft2 のためにあるようなドラマ。原作ではシスターになるため修道院で修行していた双子の妹が、歌手デビューが夢だった兄になりかわって大人気バンド「A.N.JELL」の新メンバーに加入するというストーリー。藤ヶ谷、玉森、八乙女に瀧本を加えた4人が主演。瀧本は双子の兄・桜庭美男と妹・桜庭美子の2役を演ずる。TBSもえらい気合の入れようだが、こんなドラマ、中年以上は絶対見ないよ(中高年のひがみ)。
テレ朝金11:15(金曜ナイトドラマ) 7/?~ 『ジウ 警視庁特殊犯捜査係』 黒木メイサ、多部未華子、城田優、北村有起哉
原作は誉田哲也の次世代警察小説『ジウ 警視庁特殊犯捜査係』。『ジウ』は謎の殺人者。警視庁特殊犯捜査係(SIT)に所属する25歳の伊崎基子(黒木メイサ)と、27歳の門倉美咲(多部未華子)2人の女性警察官を主人公に、謎の殺人者ジウを追いかける物語。なぜ水と油のような黒木・多部のコンビかというと原作がそうだからである。黒木演じる基子は卓逸した身体能力と戦闘本能で躊躇なく人を殺せる肉体派、一方、多部演じる美咲は心優しい性格で涙もろく、すぐに感情移入をしてしまうごく普通の女性。多部は原作の美咲とは若干イメージが異なるのだが、ま、そこは多部の演技力でカバーか?凶悪犯のジウはどうやら日本人ではなく、ドラマでも外国人が演じる予定とのこと。原作も結構面白そうであり、ナイトドラマにはもったいないような作品となるかも。
日テレ土9 7/9~ 『ドン・キホーテ』 松田翔太、成海璃子、内田有紀、小林聡美、高橋克実
最強最悪、泣く子も黙る任侠集団の親分(高橋克実)が、ある日、今までとは全く違う世界で生きてゆくことになる。親分の魂がごく普通の青年(松田翔太)の魂と入れ替わってしまったのである。親分は児童相談所の職員となり、青年は任侠集団の親分に。松田が演じることになるこの『親分』が児童相談所で様々なトラブルを起こすことになる。SFコメディーで楽しそうなドラマではある。
NHK日8 継続中 大河ドラマ 『江 ~姫たちの戦国~』 上野樹里、宮沢りえ、水川あさみ、瀬戸康史、向井理、ミムラ、染谷将太、阪本奨悟、斎藤工、鈴木保奈美、岸谷五朗、鈴木砂羽、北村有起哉、袴田吉彦、萩原聖人、和泉元彌、時任三郎、豊川悦司、柴俊夫、大地康雄、市村正親、大竹しのぶ、石坂浩二、奈良岡朋子、北大路欣也
いつ好転するかと期待してきたが、脚本・演出に改善は見られず、これ以上見続けるのが本当に苦痛となってきた。
TBS日9 7/17~ 『華和家の四姉妹』 観月ありさ、水川あさみ、吉瀬美智子、真木よう子、片平なぎさ、舘ひろし
原作は柴門ふみのコミック『華和家の四姉妹』。“結婚”をキーワードに四姉妹と家族を通して女性の“幸せとは?”を描くホーム&ヒューマンドラマ! “モテ男”のパパと、一途に愛を貫く純なママの間に生まれた“華和家の四姉妹”は、未婚に離婚、婚活、彼氏ナシと、いずれも男運に見放されている。中でも、次女の竹美は、離婚を繰り返して出戻り、かつ3人の子持ちという“問題児”。竹美を中心に華和家に巻き起こされるトラブルを乗り越えながら、四姉妹たちが女性の幸せをつかんでゆくまでを描いたほのぼのドラマ。柴門ふみの原作ということでそこそこ視聴率は取れそうだ。
フジ日9 7/10~ 『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス2011』 前田敦子(AKB48)ほか
原作コミックは中条比紗也の『花ざかりの君たちへ』。2007年7月クール火曜9時枠で放送された堀北真希主演の『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス』は平均視聴率17.3%を記録した。今回 主演・前田敦子で4年ぶりに復活である。前作では主演・堀北真希演じる芦屋瑞稀が、全寮制男子校に男を装って入り込み、小栗旬や生田斗真ら演じるイケメン男子生徒との恋模様が描かれた。このドラマから水嶋ヒロ、岡田将生、城田優など多くのイケメン男優が輩出された。今回は前田敦子が主役を演じ、主題歌も AKB48 に決まっているなど、AKB 色満載である。前田が『総選挙』でセンターをゲットすれば弾みがつきそう。なお、現在イケメンメンバーやドラマのストーリーは明らかにされていない。4年前とは社会の状況も様変わりしており、前作同様好評を博せるかどうかは疑問。
今クール、残念ながら期待できそうなドラマはほとんどない。
SFものもわずかに一つ。
こんな時期にはやはり夢を与えてくれる明るいドラマが必要だろうと
思うのであるが…。
前クールはまさに子役頼み、ワンコ頼みだったが、
今クールこそは大人の俳優たちに底力を見せてもらいたいものである。