散りぎわの花 (文春文庫) | |
小沢 昭一 | |
文藝春秋 |
赤坂のそばや「砂場」でざるそばをたぐっていたら、
ふらりとはいってきた小沢昭一さんを見かけたことがあった。
小柄で上品な白髪の老人だった。
思えば赤坂だからTBSで、ラジオの収録だったんだろうなと思う。
文章も、あのラジオの語り口そのままであって、
余韻のある上品な、しかし芸人らしさがただようい
味わい深いものである。
この本を読むまで小沢昭一が句会に30年来参加していて
作句を趣味としているのは知らなかった。
オレも句会に参加してもう10年ぐらいになるが、
いまだに作句が趣味とはとてもいえない、
句会の当日にキャッチコピーをひねるように
悶絶しながら考えているので。これでは通常常務と同じである。
オレの仕事は悶絶する仕事なのだ。
さておきこの本で驚いたのは、小沢昭一さんの句もさることながら
紹介されていた渥美清さんの句がすばらしいことだった。
破調、自由律に近い句だが
<Blockquote>いつも何かをさがしているようだなひばり
土筆これからどうするひとりぽつんと
ゆうべの台風どこにいたちょうちょ
好きだから強くぶつけた雪合戦
おふくろ見にきてるビリになりたくない白い靴</Blockquote>
渥美清は寅さんなんだな、ほんとうに。素晴らしい句だと感服しました。
小沢昭一さんの句は褒めずにすいませんでした。
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