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映画『惑星大戦争』(その1)

2018年02月24日 | まんが・テレビ・映画
今から41年前の1977年(昭和52)は、
アメリカでSF映画『スター・ウォーズ』、日本ではSFアニメ
『劇場版 宇宙戦艦ヤマト』
が公開され、大ヒットした年。





↓『スター・ウォーズ』については、こちら↓

スター・ウォーズ STAR WARS





↓『宇宙戦艦ヤマト』については、こちら↓

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち







『惑星大戦争 オリジナル・サウンドトラック』東宝レコード



これら映画の大ヒットを受けて、
日本の映画会社・東宝が製作、
1977年12月17日に公開した特撮映画が、
今回紹介する『惑星大戦争』。

わしが、『はだしのゲン』(1976年)、
『劇場版 宇宙戦艦ヤマト』(1977年)
に続いて観た3本目の映画で、
初めて女の子と一緒に観に行った
記念の映画でもあるんじゃの。



『惑星大戦争』を
女の子と観に行った?



そう。
この時代はまだ、
映画は2本立て興行の時代。

『惑星大戦争』の同時上映は、
山口百恵さん・三浦友和さん出演の
『霧の旗』じゃった。







今回は、映画『惑星大戦争』を、
次の7つのキーワードで
観ていこうと思うでがんす。





1.UFO

2.タバコ

3.アポロキャップ

4.フロンガス

5.スモーク

6.リボルバー式カタパルト射出口

7.エーテル爆弾






↓映画『惑星大戦争』の予告編については、こちら↓

「惑星大戦争(プレビュー)」YouTube





1.UFO

【ストーリー】

宇宙に浮かぶ謎の巨大戦艦。
そこから地球へ向けてUFOが射出された。
地球が大ピンチ?!





謎の巨大戦艦から射出されたUFO




1970年代後半は、
UFO(ユーフォー。未確認飛行物体。
空飛ぶ円盤・フライングソーサーとも)
がブームじゃった。

UFO=他の天体からやって来た
異星人が乗る飛行物体、という解釈で、
テレビ特番が放送され、
関連本が出版されとった時代。

『スター・ウォーズ』と
ほぼ同時期に公開された
映画『未知との遭遇』では、
UFOとの遭遇と、
人類と宇宙人のコンタクトが描かれた。

「第三種接近遭遇
(UFOの搭乗員と接触すること)」
という言葉が流行ったもんじゃ。



さかのぼって1975年夏、
東映まんがまつりの一作として
『宇宙円盤大戦争』が上映された。

この作品は、のちに
『UFOロボ グレンダイザー』
というタイトルでテレビ放送された。



翌1976年には、
東宝製作の特撮テレビ番組
『円盤戦争バンキッド』が放送された。

俳優・映画監督の奥田瑛二さんの
デビュー作でもある。



同じく1976年、日清食品からは
日清焼そばUFOが発売された。

こちらのUFOは、
うまい(Umai)、
太い(Futoi)、
大きい(Ookii)
の略じゃったのう。



『惑星大戦争』が公開される直前の
1977年12月5日には、
ピンク・レディー最大のヒット曲
「UFO」(売上:195万枚)発売され、
翌78年の日本レコード大賞を
受賞しております。





余談じゃが…。



このUFOには「ヘル・ファイター」
という名前がつけられている。

画面からは分かりづらいが、
球体型をしている。

上下セパレート式のものを、
ボルトで固定して球体型にしている。

その形状から、「お釜ファイター」と
呼ばれたそうじゃ。





2.タバコ

【ストーリー】

一方、地球・日本では…。

滝川博士(演:池部 良)のもとに、
UFOを調査していたシュミット博士が
亡くなったとの一報が入る。

その直後、
死んだはず(!)のシュミット博士が
滝川博士宅を訪ねてきて、
次のように言った。

「即刻、轟天(ごうてん)を完成させてもらいたい」




轟天とは何か?

『惑星大戦争』の舞台となる
1988年より何年か前、
世界各地でUFO騒ぎがあった。

これを「宇宙人による地球侵略の前兆」
と判断した国連宇宙局・宇宙防衛軍は、
宇宙防衛艦の設計・建造を
滝川博士に依頼した。

その宇宙防衛艦の名前を
轟天という。



やがて、UFO騒ぎが収まり、
宇宙人による地球侵略の可能性が
少なくなったいうことで、
滝川博士は轟天の建造を中止、退任した。



亡くなったという知らせが
あったとはいえ、
親友であるシュミット博士から
「ふたたびUFO騒ぎが起きた今、
宇宙人の地球侵略に対抗できるのは
轟天しかない」と言われれば、
滝川博士も「よし、分かった」と
了解しそうなもんじゃが…。



滝川「轟天は動かせん!」

シュミット「国連で完成させるから、
轟天の設計図を渡してくれ」

滝川「君には渡せんよ」

シュミット「なぜだ?」

滝川「シュミット博士は
ライターを右手では点(つ)けん。
左利きだからな」




滝川博士は、利き手で
シュミット博士を偽物じゃと見破った。





右手でライターを点ける
シュミット博士(右)と、
それを見つめる滝川博士(左)。

本編にはない、
スチール用のワンカット。




その昔、テレビや映画の中に出てくる
大人たちは、当たり前のように
タバコをプカプカと吸うとった。

わしゃタバコを吸わんけぇ、
全面禁煙や分煙には賛成じゃが、
それは現実世界での話。

テレビや映画の世界では、
タバコは小道具のひとつ。

持ち方、吸い方、煙の吐き方、
そして消し方で、その人物の
性格や気持ちを表現できるという、
非常に便利な小道具でもあるんじゃの。





3.アポロキャップ

【ストーリー】

偽物であることがばれた
シュミット博士は、自爆。
その死体の顔は、緑色だった。

この事件を宇宙人による
地球侵略と判断した政府は、
滝川博士に轟天の完成を要請。

滝川博士以下、旧乗組員たちは
潜水艦に乗って轟天建造基地に向かう。

その間、UFOは世界の主要都市を破壊し、
轟天基地に対しても攻撃を開始した。




『宇宙戦艦ヤマト』では、
発進するまでの整備を整備員が行い、
発進する直前に乗組員と交代した。

この作品では、
轟天の乗組員が完成までの整備と、
発進後の操縦も行うという設定。

艦長の滝川博士以下、
乗組員の三好(演:森田健作)、
室井(演:沖雅也)、
冬木(演:宮内洋)、
そして滝川博士の
娘ジュン(演:浅野ゆう子)たちが、
轟天の完成に向けて作業を進める。

このとき、乗組員たちが被っている、
「Gohten」と書かれたアポロキャップが
カッコえかったんじゃの。





整備中の轟天を見つめる
滝川博士(左)と三好(右)






余談じゃが…。



アポロキャップとは、
NASA(ナサ。米国航空宇宙局)で
アポロ計画のころから用いられていた、
野球帽型の作業帽のこと。





4.フロンガス

【ストーリー】

完成した轟天は、
建造基地の地下ドックから発進。

航空爆雷でUFOを迎え撃ち、これを全滅。

敵基地がある金星へ向けて進撃する。



フロンガスとはその昔、
冷蔵庫やエアコンなどの電化製品や
スプレー缶などに使われとった。

このフロンガスを
噴射口から吹き出すと、
ドドドドドーと、宇宙船や戦闘機が
飛んでいるように見えるため、
特撮番組などで使われた。

轟天も、後部ロケット噴射口や
両サイドにある垂直上昇噴射口から
フロンガスを噴射させ、
大空へと飛び立って行った。

ところが、このフロンガスが
地球のオゾン層を壊していることが
分かり、現在は使われんようになった。

ほいじゃけぇ、フロンガスを使う
飛行シーンは、今では見ることが
できんようになってしもうとるんじゃ。

残念!





余談じゃが…、



UFOを全滅させたのが、
轟天の艦橋後ろにある
煙突部から発射する航空爆雷。

ヤマトでいうところの
煙突ミサイルに相当する武器じゃの。







軽快な「轟天のテーマ」
(音楽:津島利章)をバックに、
フロンガスを噴射しながら
大空を飛翔する轟天。

(レコードジャケットより)





5.スモーク

【ストーリー】

敵の正体は、
太陽系を隔てること2万2千光年、
メシエ13と呼ばれる球状星団、
恒星ヨミの第3惑星からやって来た
銀河帝国司令官・ヘルだった。

轟天は、敵がいる金星に向かって
進撃していく。





金星大気圏に突入する轟天。




映画『惑星大戦争』は、
最初に話したとおり、
『スター・ウォーズ』
『劇場版 宇宙戦艦ヤマト』
の大ヒットを受けて製作された。



が、正月映画じゃいうのに、
製作発表が行われたのが8月29日。

脚本の第1稿が
9月13日に出来上がり(…え?)、

10月3日に準備稿(第2稿)、そして
10月12日に決定稿(第3稿)が完成
(…うそ?)したあと、クランクイン。

そして、11月26日には撮影アップ
(…ほんま?)。

…という無茶苦茶ハードな
スケジュールで撮影が行われたため、
本編3班、特撮2班という態勢がとられた。



本編中にあったように、

滝川博士「完成までの予定は?」

三好「6日かかります」

滝川「3日だ。3日で完成させろ!」

三好「ハイ」


なんて感じで撮影作業が
進められていったのでしょう。

それゆえ、『惑星大戦争』に関しては、
いい評判は聞きません(号泣)。



…しかし、しかしであります。

『ゴジラ』『モスラ』など
円谷英二監督による特撮作品で
名を挙げた、天下の東宝特撮映画。

決して手抜きの映画を
作ったりはいたしません。



たとえば、この金星の大気圏に
突入していくシーン。

大そうなセットを作ったり、
大げさな合成シーンが
あるわけではありません。

スタジオのセットの床一面に
たいたであろうスモークの中に、
ミニチュアの轟天が突っ込んでいく。

ただ、それだけ。

そして、金星の大気の中を
突っ切るときに、稲妻が走る。

敵が待ち受ける金星へ向けて
突入していく時の、
轟天の乗組員たちの緊張感が表現された
名シーンでもあるんじゃの。





余談じゃが…。



準備稿(第2稿)には、
金星に到着する直前、
轟天の秘密について
三好が滝川に問いただす場面が
あったそうじゃ。

うーん、この場面は
観たかったのう。





6.リボルバー式カタパルト射出口

【ストーリー】

金星上では、
轟天搭載のスペース・ファイターと、
敵・大魔艦のUFO(ヘル・ファイター)
とのドッグファイトが始まる。




スペースファイターは、
轟天胴体の側面にあって
拳銃のリボルバーを思わせる
カタパルト射出口から発進する。

このあたりの仕掛けが
良くできとって、
なかなかにカッコ良い。

ただ、想像してもろうたら
分かる思うんじゃが、
轟天内側で上下正しく
カタパルトにセットされても、
リボルバーで半回転して、
外側で発進するときは
上下が逆になってしまうんじゃの。

これは、宇宙防衛艦・轟天が
上下のない宇宙空間での使用を前提に
設計されたものじゃと思う。

あと、この射出口から
リボルバービームも撃てるというのは、
まったくもって謎じゃが…。





リボルバー式カタパルト射出口から
発進するスペースファイター





リボルバー式カタパルト射出口から
撃ち出されるリボルバービーム






余談じゃが…。



アニメ『エヴァンゲリオン』、
映画『シン・ゴジラ』で有名な、
特撮大好き人間の庵野秀明さん
が手掛けたテレビアニメ
『ふしぎの海のナディア』(1990年)で、
このリボルバー式カタパルト射出口や、
航空爆雷をパクっておられます。





リボルバービーム発射シーン。
ボタンを親指で押しているのが分かる。

この発射ポーズもパクられました。






7.エーテル爆弾

【ストーリー】

戦闘機同士の戦いの後は、
轟天と大魔艦の戦艦同士の決戦へ。

最初優勢だった轟天は、しかし
大魔艦の重力砲によって大破する。

その時、轟天の艦首にある
ドリルが発射され、
大魔艦へ向かって突っ込んでいく。

このドリルには、
宇宙の生成物質であるエーテルを
破壊することで、
銀河系が吹き飛んでしまうような
爆発を引き起こすという、
エーテル爆弾が仕掛けてあった。

このエーテル爆弾は、
轟天の開発中に滝川博士が
偶然発見したもので、
敵が欲しがっていたのも
このエーテル爆弾だった。







このラストは、
第1作目の『ゴジラ』(1954年)
へのオマージュ。

芹沢博士が、液体中の酸素を破壊する
オキシジェン・デストロイヤーの
秘密を守るために、
偶然ではあれ、自らが開発したものと
運命を共にするというものじゃ。

ラスト、轟天と大魔艦の
戦艦決戦は、異色の出来。

両艦がすれ違いざま、
大魔艦は両舷に備え付けた
オール(櫂)からビームを放ち、
轟天はその身を当てて
このオールを叩き折るという、
とても荒っぽいものじゃった。





【参考文献】

『東宝特撮映画DVDコレクション 34 惑星大戦争』デアゴスティーニ 2011年2月

CD『惑星大戦争 オリジナル・サウンドトラック』CINEMA-KAN 2020年






↓映画『惑星大戦争』についての関連記事は、こちら↓

シン・エヴァと惑星大戦争

映画『惑星大戦争』(その2)






今日は、映画『惑星大戦争』について、

UFO
タバコ
アポロキャップ
フロンガス
スモーク
リボルバー式カタパルト射出口
エーテル爆弾

の7つのキーワードで
話をさせてもろうたでがんす。



ほいじゃあ、またの。





全面改稿:2021年4月18日

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