通でがんす

いろんな広島を知って、ひろしま通になりましょう!
(旧ブログタイトル:通じゃのう)

広島のセブン-イレブンが恵方巻を売り始めたのがきっかけで全国に広まったが、それは何年だった?

2010年02月02日 | 季節の話題

いつの間にか、節分に食べるものとして定着した恵方巻(えほうまき)。
由来には諸説あるが、昔から、大阪の方で食べられとったようじゃ。



【問題】
節分に、恵方に向かって食べると縁起がいいとされる恵方巻。
これが、現在のように全国的に有名になったのは、広島にあるセブン-イレブンが売り出したのがきっかけと言われていますが、これは西暦何年のことだったでしょうか?

1.1986(昭和61)年  2.1989(平成元)年  3.1995(平成7)年  4.1998(平成10)年









【正解】
3.1989(平成元)年



【解説】
事の始まりは1989年、広島県のセブン-イレブンより。

――その当時、関西の風習としてあった「節分の日にその年の縁起のいい方角(恵方)を向いて無言で太巻き寿司をまるかぶりする」という情報にもとづいて恵方巻を一部の店舗で販売したのが始まりです。

『縁起のいい風習』としてお店で紹介しながら、翌年より販売エリアが広がり、1995年には関西以西の地区に、そして1998年には全国のセブン-イレブンで恵方巻を販売するようになりました。

「まるわかり豆知識-今では、どこでも見られる恵方巻ですが…。」セブン-イレブン・ジャパン)



恵方巻は、1989年に広島のセブン-イレブンの一部店舗で売らたのが始まりなんじゃのう。
その後、1995年には関西以西の地区で、1998年には全国で売られるようになった。

こんな歴史があるとは、わしゃ、今まで知らんかったで。



…と、普通は終わりなんじゃが、ここで、「なぜ、広島なのか?」と疑問を持った方がおられる。

放送作家の、わぐりたかしという人じゃ。

以下、下記の記事を参考に進めていきます。

「予約殺到のコンビニ「恵方巻」の意外な仕掛け人を発見! 商品化に至った理由とは?」放送作家わぐりたかしの「食」ッキング!スクープ



1989年に、「広島」の一部店舗が、関西(特に大阪周辺)の旧(ふる)い風習をコンビニの商材として扱おうと思ったのはなぜなのか?

セブン-イレブン・ジャパン本社広報室に尋ねてみた。

すると、「たしかに1989年に、広島の一部の店舗が販売したということは記録されているが、どういういきさつで誰が言い出したのかは、今となってはわからない」という回答だった。

だったら独自に調べましょう!




おお、フットワークが軽いですのう。



今からちょうど20年前の1989年に、広島のセブン-イレブン加盟店のうち、恵方巻を売った店を探しだしてオーナーに聞けばわかるはず。
さあ、片っ端から電話をかけまくるぞ!




人に会って話を聞く。
取材の基本ですのう。

ここで、「広島市中区舟入(ふないり)の松本さんのところかな」という情報を入手したので、連絡をとってみた。



松本さん(舟入店オーナー)「恵方巻、売りましたよ。1989年で間違いありません」

わぐり「松本さんが、恵方巻を売ろうと言い出したんですか?」

松「今は本社の役員をやってる野田さんっていう人が、当時、広島にいてね。彼が仕掛けたんですよ」




当たり前じゃが、当時の広島では恵方巻を食べる習慣がなかったんじゃ。
わしも、それまでは食べたことがなかったんよのう。



わ「そこでいきなり恵方巻を売ろうったって、売れるもんじゃないですよね?」

松「あのですね。商品は、売れるものではなく、売るものなんです。お客さんにこんな物があるんですけどよかったらいかがですか、と声を掛けて売りました。商売とはそういうものです」




「商品は、売れるものではなく、売るものなんです」

ええ言葉じゃ。
商売人は、かくあらねばいかんのう。

で、先ほど出てきた仕掛け人の野田靜眞(のだ しずま)さんは、当時29歳。



広島市にある加盟店7~8店舗を担当するOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)だった。
加盟店オーナーと一緒になって売り上げを伸ばして利益を上げるよう努力する。
提案力や発想力が求められる。

ある時、加盟店オーナーとの会話の中で、「大阪には節分に恵方巻を食べる風習がある」と知った。

初耳だった。
がしかし、その瞬間、ピンッと来た。

「仕掛けてみよう!」




なんか、『プロジェクトX』のような話になってきたのう。
ナレーションが、田口トモロヲの声で聞こえてきた。
おお、中島みゆきの歌が、頭の中を駆けめぐっとるぞ。
♪ 風の中のすばる 砂の中の銀河~



まだ地方のコンビニ草創期(そうそうき)ともいえる当時、お客さんとのコミュニケーションを大切にするフレンドリーサービスを強化しようとしていた時期だった。

「恵方巻」をきっかけに、お客さんとどんどん会話をしようと考えた。
同時に、加盟店オーナーを盛り上げるイベントにもなる。

売り上げも伸びれば、一石二鳥だ。

店頭では「切れてない太巻き」を、「恵方巻という風習があるんですけど、ご存じですか? 今年の恵方は~」と声をかけて売った。

狙いは当たった。

加盟店オーナー達は喜んだ。




すげえのう。
なんか、感動したで



というわけで、今では普通に売られとる恵方巻。
これは1989年、広島市中区舟入にあるセブン-イレブンで売られたのが始まりじゃそうな。

恵方巻を売り出した仕掛け人の野田さんは、コンビニで「おでん」や「おせち」の仕掛け人でもあるそうじゃ。



それらは実は単なる商品アイテムではなく、季節ごとのイベントだったのだ。
季節感のあるイベントを盛り上げて、加盟店を盛り立てて、客とコミュニケーションをより深めて、おまけに売り上げも増えて、みんなハッピー!




商売をしたことがないわしが言うのもなんじゃが、商売の基本は、「客と店員のコミュニケーション」じゃないんかのう。



むかしの小売店(八百屋・肉屋・魚屋など)では、当たり前にあった風景。



「いらっしゃい。今日は○○がおいしいよ」

「じゃあ、みっつもらおうかな」

「ありがとうございます。じゃあ、おまけにもうひとつ入れときましょう」

「ついでに、××ももらえるかしら」

「今朝、△△でとれた新鮮なものがありますよ」

「それ、お願いね」

「へい、毎度!」



今は、小さな店でも、パック詰めにされた商品を、機械音を出すレジを通すだけ。
売り場で、客と店員が言葉を交わすこともほとんどない。


「切れてない太巻き」を、「恵方巻という風習があるんですけど…」と声をかけて売ったのは、立派な「客と店員のコミュニケーション」じゃ。
それがあったけえ、恵方巻も売れたんじゃないんかのう。



今日は、恵方巻について勉強をさせてもらいました。
今日もひとつ勉強になったでがんす。



ほいじゃあ、またの。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 住吉神社の「焼嗅がし神事」... | トップ | 映画監督・マキノ雅弘の作品... »

コメントを投稿

季節の話題」カテゴリの最新記事