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NHK人形劇『新八犬伝』 辻村寿三郎

2011年07月31日 | まんが・テレビ・映画
「この間、辻村寿三郎の人形について話をしたんじゃが、わしが寿三郎さんを知るきっかけになったのが、NHK人形劇の『新八犬伝』なんじゃ」

「お父さんが時々、「われこそは玉梓(たまずさ)が怨霊(おんりょう)~」ってやるやつじゃね」

「ほうじゃの。1973年(昭和48)4月からの放送じゃけん、わしが小学4年の時じゃ。クラスの男子で、玉梓の真似をするヤツがおっての。「なんや、それ?」「知らんのか? NHKの『新八犬伝』に出てくるじゃん」「いや、わしゃ知らんのよ」「面白いけぇ、観てみぃや」「ほいなら、観てみるわ」」

「で、ハマってしもうたん?」

「それほどでもないが、意識して観るようになったよのう」

「辻村さんが『新八犬伝』にかかわるようになったのは、なんでなんかね?」

「東京は赤坂にあるクラブのママさんが、店に寿三郎さんの人形を飾っとられたんよ。その店に来たNHKのディレクターが人形を目にして、「この人形を作った人に会いたい」ということになったそうじゃ」



じつは「やります」と答えたその日から人形を作り始めたんですよ。
脚本があがる以前にプロデューサーにこんな感じに仕上がりますと、4、5体作って持って行ったんです。
そうしたら今までにない人形だったんでびっくりしてましたよ。

池田憲章・伊藤秀明『NHK連続人形劇のすべて』株式会社アスキー 2003年4月




「ということは、辻村さんは『八犬伝』の物語を知っとっちゃったんじゃね?」

「中学時代は、図書館で日本文学全集を読みあさって、そのころ『南総里見八犬伝』も読んどられたそうじゃ」

「この作品で、どのくらいの数の人形を作られたんかね?」

「2年間の放送で、300体以上の人形を作られたそうじゃ」

「うわー、すごいスピードじゃね。2日で1体作った計算になるよ」



歌舞伎の(里見八犬伝物の)仕事もしてたからね。おちゃのこさいさいよ。

『<10> 新八犬伝 歌舞伎様式で大ヒット』中国新聞 2011年7月19日




「「おちゃのこ(お茶の子)さいさい」なんて言葉、久しぶりに聞いたよ」

「最初は1年間の予定じゃったんじゃが、平均視聴率が20%もあったそうで、2年間放送されたんじゃ」

「辻村さんの人形で人気が出たんかね?」

「藤井凡大(ふじい ぼんだい)さんの音楽もえかったし、ナレーションを務めた坂本九ちゃんの名口上もえかったよのう。「因果(いんが)は巡る糸車」、「本日、これまで!」とかの」

「玉梓が怨霊に話を戻すけど、どんな人形なんかね?」

「こっちを観てもろうた方が早いじゃろうの」



『新八犬伝 第一話 坂本九 kyu sakamoto』You Tube



「う~ん。おどろおどろしい音楽もそうじゃけど、怨霊ってこんなんじゃろうね、と思わせる雰囲気を持っとるね」

「玉梓の人形を動かしとったのが、寿三郎さんなんじゃ」

「人形を作って、自分で動かしてと、大活躍じゃったんじゃね」

「当時は、寝る暇もなかったそうじゃ。なんせ昼間に収録して、夜に人形を作られとったそうじゃけぇの」

「玉梓の人形は、どんなイメージで作られちゃったんかね?」



恐いものを恐く見せるというのは簡単なんですが、それを記憶に留めてもらうために工夫をしたんです。
玉梓の顔は悲しい顔に作ったつもりなんですが、だから恐く感じるんだと思います。
般若(はんにゃ)みたいな顔にしただけでは怖さの質が変わってしまうんですね。

玉梓って、原作でも芝居でも、斬首(ざんしゅ)されて死んで終わりのキャラクターだったんですよ。
それ以降は出てこないんです。
でも、首を斬られて「孫子の代まで祟(たた)ってやるわー」なんて言うでしょ。
これは普通の人形じゃダメだと思って、あんなもの作っしゃったんですよ。
そうしたら、人気が出ちゃって。
いつ出るんだっていう投書が送られてきたりね。
だから石山さんも毎週登場させて、結局最後まで出ることになっちゃったんですよ(笑)。

池田憲章・伊藤秀明『NHK連続人形劇のすべて』株式会社アスキー 2003年4月




「なるほどね。玉梓はただただ恐いだけの存在じゃのうて、悲しい顔にすることで、「怖さ」を表現してみようと思われたんじゃね」

「子どものころのわしは、そんなところまで気にしとらんかった、というのが本音じゃがの」

「そういや玉梓は口を開けとったね。ほかの人形は口を開けたりしとらんかったけど」

「おぉ、よう気がついたのう」



人形を作る際、目つぶったり口開けたりするからくりはあえて付けなかった。
演技手段はただ一つ、うなずきだけ。
からくりに頼るとドラマが見えてこないのよね。
私が遣った八犬士の敵役「玉梓(たまずさ)」だけは怨霊だから、わーって口を開けたり舌を出したりするからくりを付けました。
みんなに「自分だけずるい」って責められましたけど。

『<10> 新八犬伝 歌舞伎様式で大ヒット』中国新聞 2011年7月19日




「ふーん、いろいろ考えて人形を作っとられるんじゃね」

「寿三郎さんは『新八犬伝』を手がけることで、人気作家になられたんじゃ。次回作となる『真田十勇士』については、またの機会にさせてもらおうかの」



↓新八犬伝については、こちら↓

新八犬伝をもう一度見ようよ!

『新・八犬伝OP~めぐる糸』You Tube

『新八犬伝ED 「夕焼けの空」 坂本九』You Tube




↓辻村寿三郎についての関連記事は、こちら↓

ヒロシマよりこころをこめて 辻村寿三郎

宮島の大聖院で作品展が開かれている、広島県出身の人形師は?




「今日は、新八犬伝と辻村寿三郎について勉強をさせてもらいました」

「ほいじゃあ、またの」

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