味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

平成の今蘇る、現代版薩摩の郷中教育 
文武両道 「空手道」と『南洲翁遺訓』を紹介するブログ

『菊と刀』をお読みになりませんか。

2010-03-16 16:13:30 | 本と雑誌

タイトル----『菊と刀』をお読みになりませんか。第397号 22.03.16(火)

 『菊と刀』を読み終えたのが昭和62年4月26日(日)でした。今から23年前のことです。この本の初版第一刷発行が昭和31年12月25日となっています。私が購入したのが、初版第27刷発行 昭和39年6月30日です。この本の内容もさることながら、「はしがき」に魅了されたのでした。爾来、こういった筆致の本を数多く読んで参りました。このブログをご覧になられ、未だお読みで無い方は是非、ご購読されるようお勧め致します。ご紹介します。

 『菊と刀』  はしがき

 戦後わが国で刊行された書物のうち、ル-ス・ベネジェクト女史の「菊と刀」ほど、ごうごうたる世評の的となったものは少ないであろう。日本の民主化が叫ばれ、日本人の性格と生活が問題にされるときいつもとりあげられるのは「菊と刀」である。本書は元来米軍当局の委嘱により、「米国はどう日本人を理解すべきか」という課題に応えるために著されたのであるが、今日においてはむしろ「日本はどう日本人を理解すべきか」という意味において、大いに読まれていることは、すこぶる興味深い。

 「菊と刀」というのは、いかなる意味であろうか。菊の栽培に秘術をつくすとともに、刀の崇拝を重んずる日本人、――この複雑な性格をベネジェクト女史は、象徴的に「菊と刀」としてとらえる。女史はいう、「刀も菊も共に一幅の絵の部分である。日本人は最高度に喧嘩好きであるとともにおとなしく、軍国主義的であるとともに耽美的であり、傲慢であるとともに礼儀正しく、頑固であるとともに順応性があり、勇敢であるとともに臆病であり、保守的であるとともに新しい生活様式を喜んで歓迎する・・・」と。

 この謎を解くために、女史はその専門とする文化人類学の方法を縦横に駆使する。一度も日本を訪れず、限られた範囲の在米日本人と接触するのみで、美事に女史は「日本人」の核心に迫り、心憎いまでに「菊と刀」の秘密を解明する。その観察はおおむね精到犀利であり、われわれ日本人が意識しないでいた面に鋭い、しかも理解に満ちたメスが充てられている。

 これを読んで思わずハッとしない日本人はいないであろう。それは多くの示唆と反省をわれわれにもたらすものである。本書が初版刊行いらい大方の支持と歓迎を受けた所以である。本会が原書(1946年刊)の翻訳権をGHQより得て、東北大学助教授長谷川松治氏を煩わして日本訳(上下二冊)を刊行したのは、1949年であり、翌年三月合本の普及版が出たが、ここに敢えて現代教養文庫の中に加えたのは、一に本書が日本人の自己反省の資料として役立ち、日本の民主化に寄与すること多かるべきを信ずるがゆえである。

 著者の経歴、ならびに本書に対する各方面の評価などについては、下巻の末尾につける「訳者あとがき」に譲ることとし、本書に寄せられた津田左右吉、和辻哲郎、柳田国男、飯島浩ニ、南博、川島武宣諸氏の学問的検討に対して深く敬意と感謝を表明するしだいである。

 1951年7月

                    社会思想研究会    土 屋  清


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